授業開始テストで学年の荒れと戦う

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*本記事は、学校が荒れている場合の参考としてご覧ください。

*学年主任や主幹教諭など、それなりの立場の先生が参考にしてください。本記事を職員会議等で提案される場合は、それなりの覚悟が必要です。

くれぐれも無理なさらずに。

——記事はここから——-

(日直)「起立。これから○○の授業を始めます。礼」
(教師)「着席」
多くの教師がやっていることです。
ある学年の生徒指導担当の教師が、所属している学年教師に次のように指示をしました。
1.授業開始時に「起立、礼」を必ずさせること。
2.「起立」の後、静かになってから、「礼」を言わせること。
3.「礼」の時に全体を見渡し、全員ができていなかったら、やり直しを日直にさせること。
4.教師が「着席」と言う前に座ったら、もう一度立ってやり直しをさせること。
この指示を守ろうとした初任者のA教師が休職に追い込まれました。

初回の授業からその兆候がありました。
日直が「起立」を言った後、静かにならないうちに、「礼」と言いました。
当然、A教師は「ダメです。もう一度やり直しです」と言って、やり直しをさせようとしました。
しかし、「昼食」「昼休み」後の5時間目ということもあり、なかなか静かになりませんでした。
A教師は、静かになるまで待っています。
ここまでで、既に2~3分費やしています。
さらに待ちましたが、静かにならないので、「静かにしなさい」という指示をしました。
やや静かになったものの、完全には静かになりませんでした。
「B君、静かにしなさい。みんなに迷惑がかかっていることが分からないの」
このようなやり取りが続きました。
最終的に静かにさせて、「礼」をさせることができました。
次は、「着席」です。
やはり、「着席」を言う前に座る生徒がいました。
ここでも、A教師は言われたことを必死に守ろうと、「礼」「着席」を繰り返しさせました。
ようやく着席はできたものの、ここまで費やした時間は8分。
最悪の雰囲気での授業スタートとなりました。
また、授業時間が奪われました。
A教師は、提案した力のある教師に相談しましたが、次のように言われたのです。
「最初はできなくて当たり前です。でも、A先生が最後まで繰り返しやりきったのはOK。絶対に譲ってはいけないところだからね。」
次の日の同じクラスの授業で、また、日直が静かになる前に「礼」言いました。
同じようなやりとりがはじまります。
今度は10分かかりました。
なかなか静かにならないので、周りの生徒もおしゃべりを始めたのです。
そして翌々日、やはり同じでした。
翌週の4回目、ついにA教師は先週のようにやり直しをさせませんでした。
この後は、どのようになっていくか想像できると思います。

問題点は何なのでしょうか。
「A教師がやり直しをさせなかったこと」でしょうか。
それは違います。
初任者に、
1.授業開始時に「起立、礼」を必ずさせること。
2.「起立」の後、必ず静かになってから、「礼」を言わせること。
3.「礼」の時に全体を見渡し、全員ができていなかったら、やり直しを必ず日直にさせること。
4.教師が「着席」と言う前に座ったら、もう一度立って必ずやり直しをさせること。
という指示をしたことです。
この指示を初任者に1年間必ず守らせることに、大きな無理があったのです。
私はクラス全員の生徒に1年間やりきらせる自信はありません。
もし、やり続けることができたとしても、「静かになるまで待つ時間」や「やり直しをさせる時間」で膨大な授業時間を奪われることになるでしょう。
また、そういう注意を与えている時間、真面目な生徒はじっと立って嫌な時間を過ごしているのです。

真面目な生徒が救われないのです。
授業開始が安定していなければ、落ち着いた授業はできません。
私が学年主任をしていた学年では、授業開始は「授業開始テスト」を必ずさせていました。
「自分も同じことをやっている」という教師はたくさんいるでしょう。
しかし、この取り組みは、「ある教科」だけの取り組みではありません。

5教科はもちろんのこと、できる教科すべてでやる

のです。
これがポイントです。
他の実技教科であっても、授業開始に決まったことをするように提案しました。
結果、音楽、美術、技家については、同様のテストをすることになりました。
体育についても、「体育の授業開始の整列は、授業開始テストと同じ」と体育の先生が言うようになりました。
どの教師もこのようにするようになった理由は簡単です。
この方が、「楽」だからです。
最初の2~3週間は、正直しんどいです。
しかし、これを乗り越えたら、後は本当に授業開始の不安定さがなくなります。
授業開始の共通のルールがあれば、生徒は分かりやすいし、取り組みやすいのです。
さらに、実施する教師に、次のことを徹底してもらいました。
・全員が座っていなくても、チャイムが鳴り始めると同時に配り始めること
・チャイムが鳴り終わるまでに座っていない生徒がいたら、「アウトです」と告げること
・テスト用紙の様式を次のようなB6用紙に統一する(事前に印刷して、職員室の所定の位置においておく)

<イメージ>「授業開始テスト」
test
授業開始テストワードファイルダウンロード
・問題は、原則として黒板に書くこと(簡単な問題なら口頭も時には可)
・問題は、誰でもできる極めて簡単な問題にすること
・問題数は、5問にすること
・問題を解いた後、すぐに解答を提示し丸つけを自分でさせること
・真面目に受けていない生徒(白紙、字が読めない、丸つけをしていない)は、返却時「アウトです」と告げること
・すぐに回収し、授業時間内にチェック(ハンコ)をして、返却すること
・アウトの生徒の名前を学年ホワイトボードに書いておくこと
・テスト直前であろうが、テスト返却時であろうが、生徒指導があろうが、必ず授業開始テストをすること(教師の都合で「やる」「やらない」を変えない)
・用紙配布から用紙回収まで「3分以内」にすること

他学年所属で、本学年に授業に来てもらっている教師には、職員会議で提案する前に周到な「根回し」をして協力を得ました。
そして、アウトの生徒を終礼時に担任がもう一度伝えます。
この授業開始テストでアウトの生徒は、放課後1つの教室に集まって、いわゆる「ペナルティ」を受けることになります。
「ペナルティ」は、誰でもできる内容にします。
「漢字」「英単語」「理科用語」などを繰り返し決まった分量を書くのです。
集中してやれば、15分程度で終了する量です。
この一連の流れは、学年便り、学年集会、保護者説明会で、事前に伝えておきます。
4月から始めます。
最初の1週間が勝負でした。
女性初任者の授業で「アウト」の生徒が多く出ました。
しかし、初任者でも気が楽なのです。
理由は簡単です。
「ルールがあり、やることが完全に決まっていて、できていなかったら、アウトと事実だけを伝えればよかった」からです。
1日目、合計12名の「アウト」の生徒がでました。
放課後、その12名の生徒を指導するのは、最初の1週間、「学年教師全員」でした。
とは言っても、「教師全員で囲んで、雰囲気を重くしてさせる」ことが目的ではありません。
学年教師全員で、意識的に温かい雰囲気で行いました。
貴重なコミュニケーションの場ともなりました。
アウトの生徒も笑顔でペナルティをして帰っていきました。
2日目は5人、3日目は6人、4日目は3人、5日目は3人、
2週目に入り、6日目は5人、7日目は2人、8日目は2人、10日目で0人を達成しました。
学年便りでも大きく取り上げました。
もし、チャイムが鳴り終わるまでに、「座っていない生徒がいる」「何かトラブルがある」状態でも、用紙さえ配布して問題を口頭でも言っておけばいいのです。
真面目な生徒は授業開始の瞬間から勉強することができます。
授業開始テストでできなかった問題の解答を3回書いて、暗記しようとする生徒が出てきました。
それをほめてクラスに紹介したところ、クラスのほとんど全員がそのようにしていました。
授業開始を安定させることで、荒れは少なくなります。
中学2年生であれば、5教科だけでも1週間で国4社3数3理4英4合計18回の共通ルールの授業開始テストを受けることになります。
1年間では、18回×35週=600回以上です。
1年後の専用ファイル(B6サイズ)は、綴じきれないほどの分厚さになります。

「先生、綴じられへーん(笑)」

と、生徒は言ってきます。
この厚みが、生徒自身の自信へとつながっていきます。