授業アンケート「教科の授業の内容はよく分かる」をよくしたい時に考えること

府下全域で実施されていた授業アンケートの結果が委員会から届きました。
授業アンケート項目「教科の授業の内容は分かる」の5段階評価のうちの最上位の選択肢「そう思う」を選んだ生徒の割合が、学校で1位(府平均差でも)でした。
他の先生の平均を25%以上、上回りました。
ちなみに、残りのアンケート項目も1位でした。

さて、授業アンケートについては、賛否両論あるところです。
しかし、組織を変えようと思えば、誰もが分かる明確な基準で、結果を残しておくべきだというのが私の持論です。
今回は、後輩の先生にどうしたらできるかと相談されたので、今後の自分自身のためにも、その時に話した内容を記事にします。

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1.そもそも「教科の授業の内容はよく分かる」とはどのような状態か?

この種のアンケートで論じられることですが、そもそも「教科の授業の内容はよく分かる」とは、どのような状態かを考える必要があります。
私は、この質問項目を見て、 生徒が 「そう思う」を選ぶには、次のような条件が必要だと思っています。

(1)「授業があっという間に終わる」と生徒が感じること
(2)「授業内」に生徒が
問題を 解けるようにしておくこと
この2つです。
「たった2つ?」と思われるかもしれませんが、私が意識しているのはこの2つです。

2.「授業があっという間に終わる」と生徒が感じるために必要なこと

これも語り尽くされていることですが、50分同じような作業が続く授業をしないことです。
「5~10分の作業を5~10セット」というイメージです。
観察実験のように、生徒が主体的・対話的になれる場面であれば、25分まではOKでしょう(いわゆるスモールステップです)。
私自身、同じことを50分受け身で続けることができません。
いちいち説明が必要な5分ではなく、説明をしなくても勝手に生徒ができる5分を意識します。
私の教科は理科ですが、授業の基本形を説明します。

<実験がない場合>
(1)授業開始テスト(3分)
(2)「(発問)なぜ、○○か」を個別で考える(3~5分)
(3)班でシェア及び発表用レポートの作成(5分)
(4)教材提示装置での班別発表(5~10分)
(5)パワポで教師が説明(5~10分)
(6)問題演習及び教え合い(5~10分)
(7)(2)~(6)をもう1セット(20~25分)
  ※(7)は、代わりにミニ実験をやることがあります
(8)授業終了テスト(2分)

<実験がある場合>
(1)授業開始テスト(3分)
授業開始時に、前時の復習テストをしています。
5問です。
2、3回繰り返せば、ほぼ全員が5点満点を取れるような内容です。
例えば、天気用図記号、原子の記号、太字の用語などです。
(2)実験の目的及び実験方法の説明(5分)
「モノ」を見せながら、できるだけ説明を短くしています。
(3)生徒実験(15分~25分)
(4)片づけ及びレポート作成(5~10分)
(5)班別発表(10分)
「テンポよく発表」を意識させてやります。
次の班は近くで待っておくように指示しています。
(6)まとめ(5分)
(7)授業終了テスト(2分)
こんな感じです。
遅い班に合わすようなことはしません。
発想を逆にして、遅い班には、早い班に追いつくような明るい支援・指導を意識します。

私が授業の最後のチャイムが鳴る10秒前に「はい、授業終了します。挨拶お願いします」と言った瞬間に、「えっ、もう授業終わり?」と言われることが目標です。
ちなみに私の授業は現在オール理科室なので、班の形にする時間は必要ありません。

3.「授業内」に生徒が問題を解けるようになるために必要なこと

「問題を解けるようにしている状態」は、「先生の説明を理解している状態」とは異なります。
極論すれば、理解していなくても構いません。
それでも、問題は解けるのです。
この項目で低評価の先生の授業は、「理解させようとし過ぎている」のです。
理解させようとすると、説明が自然と長くなります。
説明が長くなると、余計に生徒が「分からない」と感じてしまいます。
「短時間で説明して分からない」ものは、「長時間説明しても分からない」場合が多いのです(個別指導は別)。

実際に「授業内」に生徒が問題を「できる状態」にするには、これも使い尽くされた言葉ですが、
「回数をこなすこと」
です。
「授業開始時」「授業途中」「授業終了直前」「次の授業で」「次の次の授業で」「定期テスト2週間前に」「定期テスト1週間前に」「前日に」等、とにかく回数です。
さて、回数と言っても、「問題を解く回数」だけではありません。
その知識や理解すべきことについて、授業内で振り返った回数です。
例えば、
・言う
・書く
・解く
・友達に説明する
・黙読する
・見る
・聞く
などです。
これらを、生徒が覚えにくい、理解しにくい内容を中心に授業中に繰り返し学習します。
その中心が「授業開始テスト」「授業終了テスト」です。
私の授業の生命線ともいえる部分です。

生徒が覚えにくい、理解しにくい内容について、先生側が把握する力も必要になってきます。

本格的には、過去の公立高校の入試問題の分析も必要です。
正答率が悪い問題(そのような名前の問題集があります)についての研究も必要です。

効果的にしようと思えば、学校で生徒が買った「問題集」を事前に解いて、その類似問題や類似文章を授業で取り扱います。

とにかく「授業を聞いたら、問題集が解けた」と生徒が感じるような創意工夫をします。
さらに、「授業で解けるようになった問題の類題」を定期テストの1番や2番の問題で出題すれば、「授業でできるようにした問題が出題されている!」と生徒が感じます。
そしてこれが、生徒の「授業が分かりやすい」につながるのです。

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