中学校でSDGsを授業する~2030年まで残り4年、暗記で終わらせない授業案~

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「SDGsについて授業をしたいけれど、何を扱えばよいのか分からない」
そのような先生に向けた、中学校で使えるSDGsの授業案です。
SDGsには17の目標があります。
貧困、飢餓、健康、教育、ジェンダー、水、エネルギー、働き方、産業、不平等、まちづくり、消費、気候変動、海、陸、平和、パートナーシップです。
しかし、17の目標を一つずつ説明して、名称を覚えさせるだけでは、SDGsを学ぶ授業としては十分ではありません。
2026年現在、SDGsが採択された2015年から10年以上が経過しました。
2030年まで残された期間は、もう長くありません。
だからこそ、これからのSDGsの授業では、
「SDGsとは何かを知る授業」から、「SDGsを材料にして現在と未来の社会を考える授業」へ
進める必要があります。
この記事では、1時間から3時間程度で実施できる中学校向けの授業案を紹介します。

SDGsの基本

SDGsは、Sustainable Development Goalsの略で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。
2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に掲げられた国際目標です。
17のゴールと169のターゲットから構成され、2030年までの達成を目指しています。
そして、SDGsを理解するうえで欠かせない理念が、
「誰一人取り残さない(Leave no one behind)」
です。
SDGsは開発途上国だけの目標ではありません。
先進国を含め、すべての国が取り組む普遍的な目標です。(SDGs)
まず教師自身が、この原点を押さえておく必要があります。

2026年のSDGsは「あと4年」

SDGsについて授業をするとき、
「2030年までに達成する17の目標です」
と説明するだけでは、現在地が見えてきません。
2026年7月、国連は最新の『The Sustainable Development Goals Report 2026』を公表しました。
そこには、成果と同時に、厳しい現状も示されています。
傾向を評価できる139のターゲットのうち、目標達成に向けて順調、または中程度の進展をしているものは36%です。
一方、49%は進展が遅く、15%は2015年の基準より後退しています。
つまり、
SDGsは「順調に達成へ向かっている」と単純に説明できる状態ではありません。
しかし、「SDGsは失敗した」と結論付けるのも正確ではありません。
2015年以降、安全に管理された飲料水を利用できるようになった人は約10億人増え、安全に管理された衛生サービスでは約12億人増えました。
世界人口の92%が電気を利用できるようになり、インターネット利用率も40%から74%まで上昇しています。
社会保障制度によってカバーされる人口も、世界人口の半数を初めて超えました。
一方で、現在も約23億人が食料不安に直面し、約21億人が安全に管理された飲料水を利用できません。
ジェンダー平等については、国連が評価するターゲットのいずれも現状のままでは達成軌道に乗っていません。
ここが、2026年にSDGsを授業する最大のポイントです。
「できている」「できていない」の二択ではなく、何が進み、何が進まず、それはなぜなのかを考えます。

「2026年のデータ」と言うときの注意

生徒に統計資料を提示するときには、一つ注意が必要です。
『The Sustainable Development Goals Report 2026』は2026年7月に公表されていますが、掲載されているすべての数値が2026年に測定されたわけではありません。
国連は、2026年6月時点で利用できる最新データや推計値を使って報告書を作成しています。
指標によって、実際にデータが得られた年は異なります。(UNSD)
これは、生徒の情報活用能力を育てる教材にもなります。
「2026年版の報告書だから、全部2026年のデータなのでしょうか」
「調査された年はどこに書かれていますか」
「世界平均と日本の状況は同じでしょうか」
このように問いかけます。
データを見るだけでなく、そのデータが何を表しているのかを確認する習慣を育てます。

日本のSDGsの現在地

世界の状況だけではなく、日本についても確認します。
日本政府は2025年、4年ぶり3回目となる「自発的国家レビュー(VNR)」を国連で報告しました。
VNR2025では、日本について、目標3「健康・福祉」、目標8「経済成長と雇用」、目標9「インフラ、産業、イノベーション」、目標13「気候変動」などで進展が確認された一方、目標5「ジェンダー」、目標10「不平等」などには課題があると整理しています。
つまり、
「SDGsは遠い国の問題」
ではありません。
貧困。
不平等。
働き方。
ジェンダー。
人口減少。
高齢化。
地域社会。
エネルギー。
気候変動。
防災。
これらは、日本社会そのものの課題です。
さらにVNR2025では、2030年だけではなく、2030年以降の持続可能な社会も見据えることが明記されています。
2026年の授業では、ここまで扱いたいところです。

SDGsとESDの違い

学校でSDGsを扱うときには、「ESD」についても理解しておくと授業の方向が明確になります。
ESDは、Education for Sustainable Developmentの略で、「持続可能な開発のための教育」と訳されます。
簡単に整理すると、
SDGsは、世界が目指す目標です。
ESDは、持続可能な社会をつくる人を育てる教育です。
文部科学省は、小学校・中学校学習指導要領の前文に「持続可能な社会の創り手」の育成を位置付けています。
これは一部の教科だけに関係するものではありません。
学校教育全体で育てていくものです。(文部科学省)
UNESCOもESDについて、知識を得るだけではなく、批判的思考、システム思考、問題解決、協働などを含め、持続可能な未来について考え、判断し、行動する力を育てる教育として位置付けています。(ユネスコ)
そのため、
「17の目標を覚えました」
「SDGsのマークを知りました」
で授業を終わらせないことが重要です。

17の目標を暗記させることを目的にしない

17の目標を知ることには意味があります。
しかし、
「1番は貧困」
「2番は飢餓」
「3番は健康」
と番号を暗記すること自体を授業の中心にする必要はありません。
むしろ、生徒に考えさせたいのは、
17の目標が互いにつながっていることです。
例えば、食料問題を考えます。
そこには、
貧困。
飢餓。
健康。
水。
働き方。
生産と消費。
気候変動。
海洋環境。
陸上生態系。
など、複数の目標が関係します。
一つの問題を一つのSDGsだけに当てはめるのではありません。
社会の問題は複数の要因がつながっていることを考える教材としてSDGsを使います。
日本の学習指導要領におけるESDについて検討した研究でも、持続可能な社会の創り手の育成は、特定の学習だけではなく、教科横断的に位置付けることの重要性が指摘されています。(J-STAGE)

「自分にできること」だけで終わらせない

SDGsの授業では、
「私たちにできることを考えましょう」
という活動がよく行われます。
もちろん大切な活動です。
食べ物を無駄にしない。
水を大切にする。
電気を無駄にしない。
ごみを減らす。
差別をしない。
こうした個人の行動には意味があります。
しかし、ここだけで授業を終わらせないことが重要です。
例えば、海洋プラスチックの問題を考えます。
「ポイ捨てをしない」
だけでは問題は解決しません。
商品の設計。
製造。
包装。
販売方法。
回収制度。
自治体のごみ処理。
法律。
企業の責任。
国際的なルール。
さまざまな仕組みが関係します。
そこで、
「自分にできること」から、「社会として何ができるか」へ思考を広げます。

SDGsを「よいこと探し」にしない

SDGsという言葉には、肯定的なイメージがあります。
そのため授業でも、
「環境によいことをしましょう」
「みんなに優しくしましょう」
という方向だけに進みやすくなります。
しかし、現実の社会課題は、それほど単純ではありません。
例えば、
再生可能エネルギーを増やしたい。
しかし、発電施設の建設によって自然環境や地域住民への影響が生じる場合があります。
食品を安く提供したい。
しかし、生産者の所得や労働条件にも目を向ける必要があります。
便利な商品を大量に供給したい。
しかし、資源利用や廃棄物の問題があります。
地域を観光で活性化したい。
しかし、住民の生活環境との両立も考えなければなりません。
現実には、
一つの目標を進めることで別の問題が生じることがあります。
だからこそ、
「何が正解ですか」
ではなく、
「誰にとってよいのでしょう」
「困る人はいないでしょうか」
「短期的にはどうでしょう。長期的にはどうでしょう」
「環境、経済、社会の三つから見るとどうでしょう」
と問いかけます。
SDGsを教師の価値観を教える教材にするのではなく、複雑な社会を考える教材にします。

授業の中心発問

この授業では、中心となる発問を次のように設定できます。
「2030年に向けて、私たちはどのような社会を選ぶのか。」
「どのような社会になるのか」ではありません。
「どのような社会を選ぶのか」です。
持続可能な未来は、誰かが完成させて届けてくれるものではありません。
個人、学校、地域、企業、行政、国、国際社会など、さまざまな主体の選択によって形づくられます。
この発問を授業全体の軸にします。

1時間で行うSDGs授業

50分程度で行う場合は、17目標すべてを詳しく説明しません。

1時間で行うSDGs授業素材ダウンロード

パワーポイントファイル、ワークシート、読み原稿の順です。
発問については、詳細まで記載していないので、加工の上、ご活用ください。

導入

黒板またはスライドに、
「2030」
とだけ示します。
教師
「2030年、皆さんは何歳になっていますか。」
生徒に計算させます。
中学生にとって2030年は、遠い未来ではありません。
高校生、大学生、社会人など、それぞれの次の段階を生きている時期です。
教師
「2030年には、世界が達成しようとしている目標があります。何でしょう。」
ここからSDGsへ入ります。

SDGsの基本確認

17のゴールと169のターゲット、「誰一人取り残さない」という理念を簡潔に説明します。
ここでは説明に時間をかけすぎません。

2026年のデータ提示

次の数字を提示します。
36%
教師
「何の数字だと思いますか。」
予想させます。
その後、
「国連が2026年に評価したSDGsのターゲットのうち、順調または中程度の進展をしている割合です」
と説明します。
続いて、
49% 15%
を提示します。
49%は進展が遅いターゲット、15%は2015年より後退しているターゲットです。
教師
「この数字を見て、SDGsはうまくいっていると思いますか。うまくいっていないと思いますか。」
すぐに正解を言いません。
一人で考えさせます。
その後、理由を含めて交流します。

成果のデータ提示

次に、2015年以降の成果も提示します。
安全に管理された飲料水を利用できる人が約10億人増えたこと。
電気を利用できる人が世界人口の92%まで増えたこと。
インターネット利用率が40%から74%へ上昇したこと。
これらを提示します。
教師
「先ほどの考えは変わりましたか。」
ここが重要です。
最初の判断を変えても構いません。
新しい情報によって判断を修正することそのものが学習です。

まとめの発問

教師
「2030年までにすべて達成できない可能性があるなら、SDGsには意味がないのでしょうか。」
この問いで考えさせます。
「目標を全部達成できなければ失敗」
「少しでも改善すれば成功」
という二択ではなく、
目標を持つ意味、進捗を測る意味、行動を続ける意味
へ考えを広げます。

2時間で行うSDGs授業

2時間確保できる場合は、1時間目で世界の現在地を理解し、2時間目で身近な社会課題へつなげます。

2時間で行うSDGs授業素材ダウンロード

パワーポイントファイル、ワークシート、読み原稿の順です。
発問については、詳細まで記載していないので、加工の上、ご活用ください。

1時間目 世界の現在地

1時間目は先ほどの授業を行います。
最後に、生徒一人ひとりが17目標から、
「もっと知りたい目標」
を一つ選びます。
「一番大切な目標」を選ばせる必要はありません。
17の目標に上下関係をつくらせるより、自分が調べたい入口を選ばせます。

2時間目 自分と社会をつなぐ

選んだ問題について、
「現在―未来」
「個人―社会」
という二つの軸で考えます。
例えば食品ロスなら、
現在・個人
「食べられる量を考えて選ぶ」
現在・社会
「店舗や給食で廃棄量を把握する」
未来・個人
「消費行動を継続的に見直す」
未来・社会
「生産、販売、流通の仕組みを変える」
というように考えられます。
この活動で大切なのは、個人の努力と社会の仕組みを対立させないことです。
個人の行動も必要です。社会の仕組みを変えることも必要です。
教師
「自分一人ではできないことは、誰ならできますか。」
と問いかけます。
企業。
学校。
市町村。
国。
国際機関。
地域住民。
さまざまな主体が出てきます。
SDGsの目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」の意味も、ここで具体的になります。

3時間で行うSDGs授業

3時間確保できる場合は、「トレードオフ」を考えるところまで進めます。

3時間で行うSDGs授業素材ダウンロード

パワーポイントファイル、ワークシート、読み原稿の順です。
発問については、詳細まで記載していないので、加工の上、ご活用ください。

1時間目 SDGsと2026年の現在地

国連の最新データを使って、成果と課題の両方を考えます。

2時間目 身近な問題の分析

班ごとにテーマを一つ選びます。
例えば、
学校給食の食品ロス。
制服。
学校の電気使用。
使い捨てプラスチック。
通学と交通。
地域の公園。
外国にルーツを持つ人との共生。
防災。
地域の人口減少。
など、学校や地域に実際に存在する課題を扱います。
ここでは17目標のどれに該当するかを当てることより、
「この問題には、どの目標が関係しているでしょう」
と複数のつながりを探します。

3時間目 簡単には決められない問題を考える

例えば、
「学校に太陽光発電設備を増やすべきか」
というテーマを扱います。
環境面。
費用。
災害時の活用。
設備更新。
設置場所。
発電量。
景観。
廃棄。
さまざまな観点があります。
教師
「SDGsに関係することなら、必ず実施した方がよいのでしょうか。」
と問います。
そして、
「誰にとって」「いつまで」「どのような影響があるか」
を考えさせます。
最後に、
「自分たちならどう判断するか」
を根拠とともにまとめます。
これが、SDGsを「正しい答えを覚える授業」から「社会について判断する授業」へ変えるポイントです。

資料を比較する授業

SDGsの授業では、一つの資料だけを使う必要はありません。
例えば同じ問題について、
国連の資料。
日本政府の資料。
自治体の資料。
統計資料。
新聞記事。
企業の資料。
NPO・NGOの資料。
などを比較できます。
ただし、情報源によって立場や目的が異なります。
そこで、
「誰が作った資料ですか」
「いつ作られた資料ですか」
「元のデータは何ですか」
「事実と意見は分けられますか」
「別の資料ではどう説明されていますか」
と問いかけます。
SDGsの学習は、情報活用能力を育てる絶好の機会でもあります。
最初に確認する資料は、国連、政府、自治体、国際機関、統計機関などの一次資料を基本にすると安全です。

日本について考える発問

世界の課題を扱った後、日本へ戻します。
教師
「日本はSDGsを達成できている国でしょうか。」
最初に予想させます。
その後、日本政府のVNR2025を提示します。
健康・福祉、経済成長と雇用、産業・イノベーション、気候変動などで進展が確認される一方、ジェンダーや不平等などでは課題が確認されています。
そこで、
「先進国ならSDGsをほぼ達成しているのでしょうか。」
「日本にとって『誰一人取り残さない』とは、誰を考えることでしょう。」
「世界の問題と日本の問題はどこでつながっていますか。」
と発問します。
「外国を助けるSDGs」という理解から、
自分たち自身の社会を考えるSDGs
へ転換します。

「誰一人取り残さない」を具体化する

「誰一人取り残さない」は、きれいな言葉として覚えさせるだけでは十分ではありません。
教師
「『誰一人』とは、具体的に誰でしょう。」
と尋ねます。
例えば、災害時を考えます。
高齢者。
乳幼児。
障害のある人。
日本語で情報を得にくい人。
旅行者。
経済的に厳しい家庭。
医療的な支援を必要とする人。
同じ「避難してください」という情報でも、受け取る条件は異なります。
ここから、
「全員を同じように扱うこと」と「誰一人取り残さないこと」は同じでしょうか。
という問いにも進めます。
SDGsを、人権や包摂、公平性について考える教材として扱うことができます。

行動宣言で終わらせない

授業の最後に、
「私が今日からできること」
を書かせる方法があります。
これは有効です。
しかし、
「電気を消します」
「ごみを拾います」
「食べ残しをしません」
だけで終わると、SDGsの問題を個人の善意だけに還元してしまう可能性があります。
そこで、最後は三つを書かせます。
自分でできること
周囲と一緒にできること
社会の仕組みとして必要だと思うこと
です。
例えば食品ロスなら、
「自分が食べられる量を選びます」
だけでなく、
「給食の残食量を調べます」
「なぜ残るのかを調査します」
「学校で改善できる仕組みを考えます」
まで進めます。
行動することは大切です。
しかし、
まず知り、考え、根拠を持って判断したうえで行動すること
を大切にします。

生徒に「SDGsを疑わせる」

ここでいう「疑う」とは、SDGsを否定することではありません。
書かれていることを無条件に正しいと受け入れず、自分で考えるという意味です。
教師
「17の目標だけで、世界のすべての問題を表せるでしょうか。」
「2030年になったらSDGsは終わるのでしょうか。」
「目標を達成したかどうかは、誰がどのように判断するのでしょう。」
「世界共通の目標と、地域ごとの事情がぶつかることはないでしょうか。」
このような問いを扱います。
UNESCOがESDで重視する能力の一つにも、既存の規範や考え方を問い直し、自らの価値観や行動を省察する批判的思考があります。(ユネスコ文書)
SDGsのロゴを見て、
「よい活動ですね」
で終わるのではありません。
本当に持続可能なのかを考えること自体がESDです。

2030年の先を考える

中学生にぜひ考えさせたい発問があります。
「2030年12月31日が終わったら、持続可能な社会づくりも終わるのでしょうか。」
当然、終わりません。
SDGsは2030年を目標年とする国際的な枠組みですが、気候変動、貧困、不平等、人口、平和、生物多様性などの課題が2030年に突然なくなるわけではありません。
日本政府のVNR2025でも、2030年以降の持続可能性に関する議論やルール形成を見据えています。
今の中学生は、2030年以降の社会を長く生きていきます。
だから、
「SDGsを達成する人」
だけではなく、
「SDGsのその先を考える人」
を育てたいところです。

教科の中でSDGsを扱う

SDGsだけの特別授業をつくらなくても、各教科の学習の中で扱うことができます。
社会科では、貧困、人口、産業、エネルギー、国際協力、人権などと結び付けられます。
理科では、気候変動、生態系、エネルギー、資源などと結び付けられます。
技術・家庭科では、消費、生産、食品、エネルギー、製品設計などと結び付けられます。
国語では、複数資料を比較して意見を書く学習につなげられます。
数学では、統計データやグラフを読み取り、数値に基づいて判断できます。
英語では、国連等の英語資料を題材に世界の課題について考えることができます。
道徳では、公正、公平、生命、自然、社会参画などの価値について、多面的・多角的に考えることができます。
総合的な学習の時間では、地域課題の発見、調査、提案、実践、振り返りまで展開できます。
実際、国内のESD研究でも、教科の通常の学習とSDGs・ESDを結び付ける授業実践が蓄積されています。中学校理科を対象とした実践研究や、地理教育における持続可能性を軸にした探究の検討も報告されています。(J-STAGE)

授業づくりで大切にしたい10の視点

1.17目標の暗記を授業の目的にしません。
2.国連や政府などの一次資料を確認します。
3.世界の課題だけでなく、日本や地域の課題へつなげます。
4.一つの問題と複数のSDGsとの関係を考えます。
5.「自分にできること」だけで終わらせません。
6.個人、学校、地域、企業、行政、国、国際社会など、複数の主体を考えます。
7.メリットだけでなく、デメリットやトレードオフも考えます。
8.一つの資料を無条件に信じず、データの出典や年を確認します。
9.教師の考える「望ましい行動」に生徒を誘導しすぎません。
10.2030年だけでなく、その先の社会まで考えます。
SDGsの授業で最も避けたいのは、
「SDGsとは17の目標です」
「環境を大切にしましょう」
「自分にできることを書きましょう」
だけで終わることです。
それも入口としては意味があります。
しかし、そこから先があります。

SDGsを材料に社会を考える

SDGsは、授業の「答え」ではありません。
社会を考えるための共通の物差しの一つです。
一つの社会課題について調べます。
複数の資料を比較します。
異なる立場から考えます。
目標同士のつながりを考えます。
利益を得る人と負担する人を考えます。
現在だけでなく未来を考えます。
自分だけでなく社会の仕組みを考えます。
そして、
「では、自分たちはどうしたいのか」
を考えます。
学習指導要領が求めているのは、SDGsに詳しい子どもを育てることだけではありません。
持続可能な社会の創り手を育てることです。 (文部科学省)
2030年まで残された時間が少なくなった今だからこそ、
「SDGsを教える授業」から、「SDGsを使って社会を考える授業」へ。
そのような授業にしていきたいと考えます。

参考資料

国際連合「The Sustainable Development Goals Report 2026」
国際連合「Transforming our world: the 2030 Agenda for Sustainable Development」
外務省「SDGsとは?」
外務省「持続可能な開発目標(SDGs)に関する自発的国家レビュー(VNR)2025」
文部科学省「学習指導要領におけるESD関連の記述」
UNESCO「Education for Sustainable Development」
J-STAGE「学習指導要領における持続可能な開発のための教育の位置づけと今後の課題」
J-STAGE「持続可能な開発目標(SDGs)の観点を含めた植物に関する中学校理科授業の開発と実践」

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