高校入試直前の進路だより|受験前に生徒・保護者へ伝えたい15のこと

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高校入試が近づくと、進路だよりに何を書けばよいのか迷うことがあります。
集合時刻。
持ち物。
体調管理。
試験当日の注意。
交通機関のトラブル。
受験票。
面接。
緊張への対処。
伝えたいことはたくさんあります。
しかし、受験直前だからこそ、情報を詰め込みすぎないことも大切です。
受験生に必要なのは、不安を増やす大量の注意事項ではありません。
「何を確認し、何が起こったらどう動けばよいか」が分かる情報
です。
また、高校入試の制度や手続きは毎年変わる可能性があります。
この記事では、特定年度の細かなルールを固定的に書くのではなく、どの年度でも使える進路だよりの考え方を中心に整理します。
※入試日程、集合時刻、持ち物、スマートフォン等の扱い、遅刻時の対応などは、必ず受験する高校・教育委員会が当該年度に公表する最新の募集要項、実施要項等を確認してください。

1.受験直前号の役割は「不安をあおること」ではない

入試前になると、
「人生が決まる」
「絶対に失敗できない」
「ここまで来たら気合いだ」
といった言葉を使いたくなることがあります。
しかし、高校入試は重要な機会ではあっても、一回の試験でその人の人生すべてが決まるわけではありません。
必要以上に重圧をかける必要はありません。
進路だよりで伝えたいのは、
「ここまで準備してきたことを、できるだけ落ち着いて発揮するために何をしておけばよいか」
です。
緊張しても構いません。
不安になっても構いません。
緊張しないことを目標にするのではなく、緊張した状態でも確認すべきことを確認し、一つずつ行動できるようにします。

2.最初に「最新の公式情報を確認する」と伝える

入試に関する情報で最も重要なのは、学校のうわさでも、先輩の経験談でも、インターネット上の体験談でもありません。
その年度の教育委員会・受験校が公表している公式情報です。
特に確認したいのは、
・試験日
・集合時刻
・集合場所
・検査内容
・持ち物
・使用できる筆記用具
・時計等の扱い
・スマートフォン等の扱い
・服装に関する指定
・昼食の有無
・交通機関の遅延時の対応
・体調不良時の対応
・合格発表方法
・入学手続
などです。
制度は変わります。
例えば大阪府では、令和9年度選抜、つまり2027年2月・3月に実施される公立高校入試について、出願、合格発表、入学検定料・入学料の納付をオンライン出願システムで行うことが公表されています。(大阪府公式ホームページ)
数年前の経験をそのまま現在の生徒に伝えないことが重要です。

3.進路だよりに具体的な時刻を書きすぎない

以前は、
「8時30分までに登校」
「9時から試験」
「30分前に到着」
など、一般的な時刻を進路だよりに書くことがありました。
しかし、この書き方は避けた方がよいでしょう。
高校や選抜方式によって異なるからです。
進路だよりには、
「受験校の案内に書かれている集合時刻を確認する」
と書きます。
そのうえで、
・自宅を何時に出るか
・どの交通機関を使うか
・乗り換えはどこか
・通常より余裕を持てるか
を本人が確認します。
可能なら、事前に経路を一度確認しておきます。
「30分前なら絶対大丈夫」という数字ではなく、
自分の受験会場までの移動を具体的に想定しておくこと
が大切です。

4.持ち物は「ブログの一覧」より受験校の要項を優先する

持ち物についても同じです。
以前の記事では、
受験票、鉛筆、消しゴム、時計、上靴、定規、コンパス、弁当、生徒手帳、テレホンカードなどを一覧にしていました。(応援の空)
しかし、現在は受験票の扱いも、時計やスマートフォンの扱いも、入試によって異なります。
そこで、進路だよりでは次のようにします。

前日までに確認するもの

□ 受験に必要な書類
□ 筆記用具
□ 受験校から指定された持ち物
□ 昼食・飲み物が必要か
□ 上履きが必要か
□ 時計を持参できるか
□ スマートフォン等の扱い
□ 交通費・ICカード等
□ 防寒・雨天への備え
そして、
「必ず受験校の最新の案内と照合すること」
と添えます。
一律の持ち物リストを正解にしないことが大切です。

5.スマートフォンを「絶対禁止」とブログで断定しない

以前の記事には、
「携帯電話の持ち込みは厳禁」
とあります。(応援の空)
これは削除します。
現在は、スマートフォン等について、持参自体を禁止する場合、電源を切ることを求める場合、所定の方法で管理する場合など、実施者によって取扱いが異なります。
したがって、
受験校・教育委員会が示す当該年度の指示に従う
ことだけを明確に伝えます。
過去のルールを現在のルールとして教えないことは、進路指導では非常に重要です。

6.生活リズムは「○時に寝る」ではなく睡眠時間から考える

受験直前になると、
「今日はもう少し勉強してから寝よう」
と就寝時間を削りたくなる生徒もいます。
しかし、睡眠を削り続けることは勧められません。
厚生労働省の健康情報では、中学生・高校生について、8~10時間程度の睡眠が一つの目安として紹介されています。(健康日本21アクション支援システム)
ただし、
「全員22時に寝る」
など、学校が一律の就寝時刻を決める必要はありません。
起床する必要がある時刻から逆算し、
自分に必要な睡眠時間を確保する
ことを伝えます。
入試前日だけ急に生活を変えるのではなく、できれば少し前から試験当日の時間帯に合わせて生活を整えておくとよいでしょう。

7.前日は「最後の追い込み」より準備を整える

入試前日になって、
「まだ覚えていない」
「ここもやらなければ」
と思うことがあります。
学習すること自体は問題ありません。
しかし、不安から深夜まで勉強を続けて睡眠を削るより、
・受験会場を確認する
・集合時刻を確認する
・持ち物を準備する
・交通経路を確認する
・翌朝の起床時刻を決める
・必要な連絡先を確認する
といった準備を済ませることも重要です。
「勉強だけ」が受験準備ではありません。
安心して会場へ行き、検査を受けられる状態を整えるところまでが準備です。

8.服装は「印象をよくするため」ではなく公式の指示を確認する

以前の記事では、
「清潔で中学生らしい服装」
「だらしない格好は受験校の先生の印象を悪くする」
と書いていました。(応援の空)
この表現も削除します。
服装について指定があるなら、その指示に従います。
指定がなければ、学校から必要な案内を行います。
服装や髪型について、必要以上に「面接官からどう見えるか」を強調するのではなく、
受験に集中でき、当該選抜のルールに沿った状態で参加すること
を基本にします。
なお、文部科学省の2026年6月30日通知では、試験当日の痴漢被害への不安等を踏まえ、地域の実情によっては私服での受検を可能とすることも配慮例として示されています。(文部科学省)
「制服でなければならない」と一般論で決めつける時代ではありません。

9.当日は「周囲と比べない」

試験会場に行くと、
周りの受験生が自分より賢く見えることがあります。
難しそうな参考書を持っている。
余裕がありそうに見える。
友達と答え合わせをしている。
しかし、周りの様子から自分の合否は分かりません。
自分がすることは変わりません。
問題文を読む。
指示を確認する。
解ける問題から取り組む。
分からない問題に時間を使いすぎない。
最後に見直す。
一つの教科が終わったら、次へ切り替える。
周囲を評価するより、自分が今できることに集中する。
これだけで十分です。

10.試験中は「監督者の指示に従う」が基本

答案用紙の扱い、筆記用具、問題冊子、途中退室、落とし物などについても、ブログで細かなルールを決める必要はありません。
基本は、
問題冊子等に記載された注意事項を読み、試験監督者の指示に従う
ことです。
何か分からないことが起こったら、自分で勝手に判断せず、手を挙げるなどして監督者に確認します。
受験番号等の記入についても、当日の指示に従います。
「消しゴムを落としたら絶対に自分で拾ってはいけない」といった細部を一般ルールとして教えるより、
困ったことが起きたら監督者に確認する
という原則を教える方が応用できます。

11.遅刻・交通トラブルは「自分で何とかする」と考えない

電車が止まる。
バスが遅れる。
事故に遭う。
体調が急に悪くなる。
予想していなかったことが起こる可能性があります。
このとき最も避けたいのは、
「もう間に合わないから受験できない」
と本人だけで判断することです。
対応は選抜によって異なります。
そのため、
異常事態が起きたら、学校や受験校など、事前に指定された連絡先へ速やかに連絡し、指示を受ける
と伝えます。
文部科学省も、病気・事故等の本人に帰責されない事情や、自然災害、試験会場へ向かう途中の事故・事件、痴漢被害等によって受検機会を失わないよう、追検査や試験時間の繰下げなど柔軟な対応に努めるよう実施者へ求めています。(文部科学省)
だからこそ、生徒側が勝手に「もう無理だ」と判断しないことが大切です。

12.受験票を忘れた場合も自己判断しない

以前の記事には、
「受験票を忘れても、生徒手帳等で本人確認ができれば受験できると思います」
という記述があります。(応援の空)
「できると思います」という不確かな情報を、入試記事に残すべきではありません。
受験票等を忘れた場合は、
取りに戻るべきかどうかも含めて、自分だけで判断しない
とします。
受験校、学校、教育委員会等が定める手順に従います。
進路だよりには、緊急時の連絡先を明確に掲載しておくとよいでしょう。

13.体調不良や受検上の配慮は早めに相談する

ここは、以前の記事より大幅に充実させたい部分です。
病気。
けが。
障害。
月経随伴症状。
日本語指導の必要性。
その他、受検時に配慮を必要とする事情。
「当日になってから何とかする」のではなく、早めに学校へ相談します。
文部科学省は2026年6月30日の通知で、疾病等により受検上の配慮が必要な生徒について、事前相談への対応を求めています。また、障害のある生徒について、本人・保護者の希望や障害の状態等を踏まえ、別室受検や試験時間の延長など適切な配慮を行うよう示しています。(文部科学省)
大阪府も、障がいのある生徒や日本語指導が必要な帰国生徒等について、受検上の配慮に関する情報を専用ページで案内しています。(大阪府公式ホームページ)
必要な配慮を申し出ることは、特別扱いを求めることではありません。
本人が適切な条件で受検機会を保障されるための手続き
として考えます。

14.不登校経験がある生徒にも正確な進路情報を届ける

現在の進路指導では、この視点も欠かせません。
学校への登校日数が少ないからといって、
「高校進学は難しい」
と一括りにしてはいけません。
文部科学省の2026年通知では、不登校経験のある生徒について、出席状況だけをもって不利益に扱わないこと、多様な学びの場での努力を適切に評価することが望ましいと明示されています。(文部科学省)
学校外の教育支援センター。
フリースクール。
自宅でのオンライン学習。
さまざまな場所で学びを続けている生徒がいます。
進路だよりや進路説明会の情報が、
「毎日学校に来ている生徒だけに届く仕組み」になっていないか
も確認したいところです。

15.合格だけを進路指導のゴールにしない

受験直前はどうしても、
「合格すること」
に意識が集中します。
もちろん、本人が希望する高校への合格を願います。
しかし、中学校の進路指導はそこで終わりません。
どんな高校で何を学びたいのか。
その高校でどのように過ごしたいのか。
高校卒業後にどのような選択肢があるのか。
自分は何を大切にしたいのか。
進路は、高校名を決めることだけではありません。
また、不合格という結果になった場合にも、その生徒の価値が否定されたわけではありません。
次にどのような選択肢があるのかを一緒に考えます。
進路指導とは、「合格させる仕事」だけではなく、一人ひとりが次の学びへ進むことを支える仕事
だと考えます。

16.そのまま使える「受験直前号」チェックリスト

進路だよりの最後に、次のようなチェック欄を付けると実用的です。

数日前までに確認

□ 試験日を確認した
□ 集合時刻を確認した
□ 集合場所を確認した
□ 交通経路を確認した
□ 受験校の最新の案内を読んだ
□ 必要な持ち物を確認した
□ スマートフォン等の扱いを確認した
□ 昼食の必要性を確認した
□ 困ったときの連絡先を確認した
□ 受検上の配慮について必要な相談を済ませた

前日に確認

□ 必要な書類を準備した
□ 筆記用具を準備した
□ 受験校指定の持ち物を準備した
□ 天気・交通情報を確認した
□ 自宅を出る時刻を決めた
□ 起床時刻を決めた
□ 十分な睡眠時間を確保できるようにした

当日の朝

□ 体調を確認した
□ 持ち物をもう一度確認した
□ 時間に余裕を持って出発する
□ トラブルがあった場合は自己判断せず連絡する
このくらいで十分です。
入試直前の生徒に、さらに20個、30個の注意を増やす必要はありません。

17.進路だよりの最後に伝えたい言葉

最後は、強い言葉で奮い立たせなくてもよいと思います。
例えば、次のように伝えます。
「ここまで準備してきた時間は、試験当日だけのためにあったわけではありません。
分からなかった問題を考えたこと。
計画どおり進まず、やり直したこと。
先生や友達に質問したこと。
進路について迷ったこと。
そのすべてが、これからの自分につながっています。
当日は緊張しても構いません。
うまくいかない問題があっても構いません。
一問ずつ、自分のできることをしてください。
そして、困ったことが起きたら、一人で判断せず、周りの大人に助けを求めてください。
皆さんが、自分の力をできるだけ発揮できることを願っています。」
受験前に教師ができることは、
「絶対大丈夫」
と結果を保証することではありません。
必要な情報を正確に伝え、生徒が安心して当日を迎えられる条件を整えること
です。
それが、受験直前の進路だよりで最も大切な役割だと考えます。

参考資料

大阪府「令和9年度公立高等学校入学者選抜」 (大阪府公式ホームページ)
大阪府「公立高校を受験する際の『配慮』が必要な方へ」 (大阪府公式ホームページ)
文部科学省「高等学校入学者選抜等における配慮事項等について(令和8年6月30日)」 (文部科学省)
厚生労働省「睡眠の質 大丈夫ですか?」 (健康日本21アクション支援システム)

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