中学生が勉強したくない100の理由~意欲が出ない背景と教師・保護者にできる支援~

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「勉強したくない」
「やらなければいけないのは分かっているけれど、始められない」
「勉強しても意味がない」
「机に向かっても、すぐに別のことをしてしまう」
中学生から、このような言葉を聞くことがあります。
大人は、つい、
「やる気を出しなさい」
「将来困るよ」
「みんな頑張っている」
「スマートフォンばかり見ているからだ」
と伝えたくなります。
しかし、「勉強したくない」という一つの言葉の背景には、さまざまな理由があります。
疲れていて、頭が働かない。
授業の内容が分からない。
どこから分からなくなったのか、自分でも説明できない。
努力しても結果が出なかった。
失敗することや、間違いを見られることが怖い。
家庭で落ち着いて勉強できない。
友人関係や学校生活のことで頭がいっぱいになっている。
何のために勉強するのか、納得できていない。
同じ「勉強したくない」という言葉でも、必要な支援は異なります。
意欲の問題に見えて、実際には睡眠、体調、学習上のつまずき、人間関係、家庭環境、発達上の特性、評価への不安などが関係していることもあります。
この記事では、中学生が勉強したくないと感じる理由を、10の分野に分けて100項目紹介します。
これは、生徒を分類したり、原因を診断したりするための一覧ではありません。
本人との対話を始め、学びやすい環境と支援を考えるための手がかりです。

中学生が勉強したくないときに、最初に考えたいこと

勉強しない状態を見て、すぐに「怠けている」「根性がない」と判断しないことが大切です。
勉強したくないのではなく、勉強できる状態ではないことがあります。
やり方が分からないこともあります。
失敗を避けるために、最初から取り組まないようにしている場合もあります。
まず、次のように尋ねます。
「一番困っているのは、どんなことですか」
「始めることが難しいですか。続けることが難しいですか」
「分からないことと、面倒なことでは、どちらに近いですか」
「学校の授業と家での勉強では、どちらがつらいですか」
「少しだけやりやすくするとしたら、何を変えたいですか」
すぐに助言するのではなく、本人が感じている困難を具体的にします。

1.睡眠・疲労・体調に関係する10の理由

1.睡眠時間が足りていない

夜遅くまで起きていたり、朝早く起きなければならなかったりすると、授業中の集中や家庭学習を続けることが難しくなります。
中学・高校生の睡眠時間は、8時間から10時間程度が参考として示されています。睡眠不足が続いているときに、本人の意志だけで学習量を増やそうとしても、うまくいかないことがあります。

2.眠っても疲れが取れていない

睡眠時間は確保できていても、寝つきが悪い、夜中に目が覚める、朝起きても疲れているという場合があります。
睡眠の長さだけでなく、日中の眠気や疲労感も確認します。

3.部活動や習い事で疲れている

帰宅時間が遅く、食事、入浴、翌日の準備を終えると、学習する体力が残っていない場合があります。
本人の努力不足ではなく、一日の予定そのものが過密になっていないかを見直します。

4.成長期の身体的な疲れがある

中学生は、身体が大きく変化する時期です。
理由を説明できないだるさや眠気が続くこともあるため、「気合いで乗り越える」ことだけを求めないようにします。

5.頭痛、腹痛、月経に伴う不調などがある

痛みや不快感がある状態では、学習に集中できません。
繰り返す場合は、養護教諭や医療機関への相談も検討します。

6.空腹で集中できない

朝食を取れていない、夕食が遅いなど、食事の状況が学習へ影響することがあります。
生活全体を確認せずに、「集中力がない」と決めつけないことが大切です。

7.薬の影響や体調管理上の事情がある

服薬によって眠気が出ることや、治療のために体力を消耗していることがあります。
家庭や養護教諭と連携し、必要な配慮を確認します。

8.視力や聴力の問題で授業が分かりにくい

黒板や画面が見えにくい、教師の説明が聞き取りにくいことで、授業についていけなくなる場合があります。
本人が「見えない」「聞こえない」と言い出せないこともあります。

9.教室の光、音、暑さ、寒さが負担になっている

蛍光灯の明るさ、周囲の話し声、空調、座席位置などが強い負担となり、学習へ集中しにくい生徒もいます。
環境を調整することで参加しやすくなる場合があります。

10.心身の不調が続いている

急に意欲が低下した、眠れない、食欲がない、強い不安が続くなどの変化がある場合は、勉強の問題だけとして扱わないことが大切です。
担任だけで判断せず、養護教諭、スクールカウンセラー、保護者、医療機関などと連携します。

2.学習内容の理解とつまずきに関係する10の理由

11.授業内容が分からない

説明を聞いても理解できなければ、学習に取り組むことは苦痛になります。
まず、どの単元や内容から分からなくなったのかを確認します。

12.前に学んだ内容が身に付いていない

中学校の学習は、以前に学んだ内容の上に積み上がります。
数学の計算、英語の基本語句、漢字の読みなどに抜けがあると、現在の内容だけを繰り返しても理解しにくい場合があります。

13.問題文の意味が読み取れない

知識はあっても、長い文章や複雑な指示を読み取ることが難しい場合があります。
問題を短く分ける、重要な条件へ線を引くなどの支援が必要です。

14.ノートの取り方が分からない

黒板を全て写そうとして説明を聞けない、何を記録すればよいか判断できないなど、ノート作成自体が負担になっていることがあります。
完成形だけを示すのではなく、記録する内容を具体的に教えます。

15.覚え方を知らない

教科書やノートを何度も読むだけで、覚えたつもりになっていることがあります。
思い出す練習、間隔を空けた復習、短い確認問題など、学習方法を具体的に教える必要があります。

16.質問の仕方が分からない

「全部分かりません」としか言えず、どこを質問すればよいか分からない場合があります。
「ここまでは分かる」「この言葉の意味が分からない」と整理する方法を一緒に考えます。

17.授業の進度が速すぎると感じている

考えている途中で次へ進む、ノートを書き終わる前に画面が変わるなど、学習速度が合っていないことがあります。
資料を後から確認できるようにするなどの手立てを検討します。

18.課題が難しすぎる

何から手を付けても解けない課題は、意欲を失わせます。
現在の理解に合った課題から始め、少しずつ難度を上げます。

19.課題が簡単すぎる

すでに理解している内容を何度も繰り返すことが、苦痛になる生徒もいます。
発展的な課題や別の方法で考える課題を用意します。

20.学習上の困難に気付かれていない

読む、書く、計算する、注意を保つ、手順を整理するなど、特定の学習活動に強い困難がある場合があります。
努力不足として扱わず、本人の教育的ニーズを把握し、特別支援教育コーディネーターなどと支援を検討します。

3.失敗経験と自己評価に関係する10の理由

21.努力しても結果が出なかった

長時間勉強したのに点数が上がらなかった経験が続くと、「何をしても無駄だ」と感じることがあります。
学習時間ではなく、方法や取り組んだ内容を一緒に検討します。

22.間違えることが恥ずかしい

答えを間違えたときに笑われた、教師から強く指摘された経験があると、挑戦を避けるようになります。
間違いを学びの材料として扱える教室をつくる必要があります。

23.自分は勉強ができないと思い込んでいる

過去の成績や周囲の言葉から、「自分には能力がない」と決めつけていることがあります。
得意・不得意を固定せず、具体的にできるようになった部分を伝えます。

24.他人と比べられることがつらい

兄弟姉妹、友人、平均点などと繰り返し比べられると、自分の学習を諦める場合があります。
過去の本人との比較を基本にします。

25.高い目標を求められすぎている

常に高得点や上位を期待されることで、失敗への恐怖が強くなります。
挑戦できる目標と、安心して失敗できる環境が必要です。

26.褒められることが負担になっている

人前で褒められることや、「次も期待している」と言われることが重圧になる生徒もいます。
本人が受け取りやすい方法で、具体的な事実を伝えます。

27.自分の努力を認められない

結果が十分でなければ、途中の工夫や改善を全て失敗と考えてしまうことがあります。
結果と過程を分けて振り返ります。

28.完璧にできないなら始めたくない

間違いのないノート、全問正解、予定どおりの学習を求めるあまり、最初の一歩を踏み出せない場合があります。
「5分だけ」「1問だけ」から始められるようにします。

29.過去の失敗を繰り返し責められている

以前の成績や提出忘れを何度も持ち出されると、「どうせ信用されない」と感じます。
現在の行動と、これからの改善に焦点を移します。

30.努力している姿を見られたくない

頑張って失敗することを避けるために、「勉強していない」と見せようとする場合があります。
努力をからかわない集団づくりが必要です。

4.課題・宿題・評価に関係する10の理由

31.宿題の量が多すぎる

複数教科から課題が出され、全体量が把握されていないことがあります。
学校全体や学年で課題量を調整する視点が必要です。

32.課題を出す目的が分からない

同じ問題を大量に解く理由や、提出する意味が理解できないと、作業として受け止められます。
何を身に付ける課題なのかを説明します。

33.提出することが目的になっている

理解せずに答えを写してでも提出することが評価されると、学習の意味が失われます。
提出の有無だけでなく、理解と改善へつながる課題にします。

34.期限が重なっている

定期テスト、レポート、作品、行事準備などが同時期に集中することがあります。
教科間で予定を共有し、見通しをもてるようにします。

35.課題の指示が分かりにくい

どのページを、どの形式で、いつまでに行うのかが曖昧だと、始められません。
指示を短く具体的に示します。

36.課題を小さく分けられない

「テスト勉強をする」という大きな目標だけでは、何から始めるか分かりません。
「教科書の見開き1ページを確認する」など、行動できる単位へ分けます。

37.評価基準が分からない

何をすれば評価されるのか不明確だと、不安や諦めにつながります。
学習の目標と評価の観点を、生徒にも分かる言葉で共有します。

38.点数だけで評価されていると感じる

考え方、工夫、改善が見られず、点数だけで判断されていると感じる場合があります。
学習過程へのフィードバックを行います。

39.テストで強い緊張を感じる

理解していても、試験場面で頭が真っ白になることがあります。
練習方法や環境を調整し、必要に応じて校内で支援を検討します。

40.やり直しの機会がない

一度の失敗で評価が確定すると、改善しようという意欲を失います。
誤答を振り返り、学び直す機会をつくります。

5.授業と教室環境に関係する10の理由

41.授業が説明を聞くだけになっている

長時間、受け身で説明を聞き続ける授業では、集中を保ちにくい生徒がいます。
考える、試す、説明するなどの活動を適切に取り入れます。

42.学習の目的が示されていない

何を学び、何ができるようになるのかが分からないと、活動だけをこなすことになります。
授業の目標と見通しを共有します。

43.授業の内容が生活や社会と結び付かない

学んでいる内容が、どこで使われるのか分からない場合があります。
無理に実用性を強調する必要はありませんが、その教科で考える価値を伝えます。

44.教師の話が長い

重要な内容であっても、一度に多くの説明を受けると理解が追い付きません。
説明を分け、理解を確認します。

45.指示が一度しか示されない

口頭で一度説明しただけでは、手順を覚えられない生徒もいます。
板書、画面、カードなどで確認できるようにします。

46.授業中に質問しにくい

「そんなことも分からないのか」と思われそうで、質問できない場合があります。
質問を歓迎する雰囲気と、個別に尋ねられる方法をつくります。

47.人前で発表することを強く求められる

全体の前で話すことへの不安が強く、授業そのものを避けたくなる場合があります。
ペア、記述、端末など、表現方法を選べるようにします。

48.グループ活動が負担になっている

話合いが得意な生徒だけが進める、役割がない、関係が悪い相手と組むなど、協働が負担になることがあります。
目的、役割、人数、参加方法を設計します。

49.授業中にからかわれる

発言、読み方、字、運動、失敗などを笑われる環境では、安心して学べません。
個人への指導だけでなく、教室全体の関係を見直します。

50.教室に安心できる居場所がない

座席、友人関係、教師との関係などによって、教室にいるだけで緊張する場合があります。
学習意欲の問題だけでなく、安全と安心の問題として捉えます。

6.教師や友人との関係に関係する10の理由

51.教師に否定されていると感じる

注意や訂正ばかりが続くと、「自分は嫌われている」と受け取ることがあります。
行動への指導と、本人への尊重を分けます。

52.教師によって言うことが違う

提出方法や授業のルールが教師ごとに大きく異なると、対応するだけで疲れます。
必要な共通事項は、学年や学校で整理します。

53.質問しても十分に聞いてもらえない

勇気を出して相談したのに、すぐに答えを与えられたり、努力不足と判断されたりすると、相談を諦めます。
最初に困り方を聴きます。

54.教師の期待を重く感じている

「あなたならできる」という言葉が、励ましではなく、失敗できない圧力になる場合があります。
本人の希望と負担を確認します。

55.友人から成績をからかわれる

点数が低いことだけでなく、点数が高いことや、勉強していることをからかわれる場合もあります。
成績を材料に序列化しない集団づくりが必要です。

56.友人関係の悩みで頭がいっぱいになっている

仲間外れ、けんか、恋愛、SNSの問題などがあると、勉強へ注意を向けられません。
学習支援だけでなく、人間関係への支援が必要です。

57.いじめや嫌がらせを受けている

学校へ行くこと自体に強い不安がある状態で、学習意欲だけを求めることはできません。
安全確保と組織的ないじめ対応を優先します。

58.周囲に助けを求めることを弱さだと思っている

質問や相談を避け、一人で抱え込む生徒がいます。
助けを求めることも学ぶ力の一部であると伝えます。

59.授業で役割や居場所を感じられない

いつも同じ生徒が発言し、自分は必要とされていないと感じる場合があります。
多様な参加方法を設けます。

60.信頼できる大人が学校にいない

困ったときに相談できる人がいなければ、学習上の問題も放置されやすくなります。
担任以外にも、養護教諭、教科担当、部活動顧問、相談員など複数の相談先を示します。

7.家庭環境と生活条件に関係する10の理由

61.静かに学習できる場所がない

家族が同じ部屋で過ごしている、騒音がある、机がないなど、環境上の理由で集中できない場合があります。
学校の自習場所や地域の学習支援を検討します。

62.家庭で世話や家事を担っている

きょうだいの世話、介護、家事などを多く担い、学習時間を確保できない場合があります。
本人の時間管理だけの問題として扱わず、必要な支援へつなぎます。

63.経済的な理由で教材や通信環境を用意できない

問題集、文房具、端末、通信費などが負担となることがあります。
家庭を責めず、就学援助や自治体の支援制度を確認します。

64.塾へ行けないことを不利に感じている

周囲が塾の話をする中で、自分だけ学習機会が少ないと感じる場合があります。
学校の授業や補充学習で学びを保障することが基本です。

65.家族から勉強を強く管理されている

時間、点数、順位を細かく管理され、自分で決める感覚を失っていることがあります。
本人が選べる部分を増やします。

66.家庭で勉強を否定されている

「勉強しても意味がない」「早く働けばよい」などと言われ、学習への価値を見いだせない場合があります。
家庭を批判するのではなく、本人の希望を聴き、進路情報を提供します。

67.家庭の不安やトラブルがある

家族関係、病気、失業、転居などの不安があると、学習へ集中しにくくなります。
スクールソーシャルワーカーなどとの連携を検討します。

68.生活の時間帯が家族と合わない

家族の仕事の都合などで、夜遅くまで起きている、食事が不規則になる場合があります。
現実に合わせて、学習時間を再設計します。

69.家庭で成績について責められる

テスト返却後に強く叱られることを恐れ、テストや勉強自体を避ける場合があります。
結果だけでなく、困っている内容と次の方法を話し合います。

70.家族に相談しても理解されないと感じている

「言い訳だ」と否定される経験が続くと、困り事を話さなくなります。
助言より先に、本人の説明を聴くことが必要です。

8.スマートフォン・ゲーム・生活習慣に関係する10の理由

71.スマートフォンが近くにあると気が散る

通知、動画、SNSなどは、短時間で注意を引きます。
本人の意志だけに頼らず、学習中は別の場所へ置くなど環境を変えます。

72.ゲームを途中で止めにくい

対戦や共同プレイでは、自分の都合だけで終了しにくい場合があります。
開始前に終了時刻を決めるなど、具体的な方法を考えます。

73.短い動画に慣れ、長い課題へ集中しにくい

次々と刺激が変わるコンテンツと、教科書や問題演習では求められる集中が異なります。
短い学習時間から始め、徐々に延ばします。

74.オンライン上の人間関係が気になる

返信、既読、グループでの会話などが気になり、端末から離れられないことがあります。
単なる依存と決めつけず、関係上の不安を確認します。

75.スマートフォンが唯一の安心できる場所になっている

家庭や学校でつらさを感じている場合、オンライン上の活動が逃げ場になっていることがあります。
取り上げるだけではなく、現実の生活で安心できる関係や場所を増やします。

76.学習にも端末を使うため区別しにくい

教材を見るつもりで端末を開き、別のアプリへ移動してしまうことがあります。
学習用アカウントや集中機能などを活用します。

77.動画を見ながら勉強している

音や映像がある方が落ち着く生徒もいますが、内容によっては理解を妨げます。
一律に禁止せず、学習後にどの程度理解できたかを確かめます。

78.生活の予定を自分で管理できない

帰宅後に何をするか決められず、気付けば夜になっていることがあります。
予定を細かく書き過ぎず、最初の行動だけを決めます。

79.休憩と学習の切替えが難しい

5分休むつもりが長時間になる、逆に長く勉強し過ぎて疲れる場合があります。
時間を知らせる仕組みを使います。

80.スマートフォンをめぐって家族と対立している

使用時間の話合いが、叱責や取り上げの応酬になっている場合があります。
学習、睡眠、連絡、娯楽を分けてルールを考えます。

9.学ぶ意味・進路・自己決定に関係する10の理由

81.何のために勉強するのか分からない

将来のためと言われても、将来を具体的に想像できない生徒もいます。
遠い将来だけでなく、今できることが増える意味を伝えます。

82.興味のない内容を学ぶ意味を感じない

全ての教科に強い関心をもつ必要はありません。
社会の見方を広げることや、将来の選択肢を残すことなどを説明します。

83.希望する進路が決まっていない

目標がないから勉強できないと責めるのではなく、さまざまな人や仕事、学び方を知る機会をつくります。

84.希望する進路に勉強が必要ないと思っている

実際に必要な学力や資格、選考方法を具体的に調べます。
脅すのではなく、正確な情報を示します。

85.進路を大人に決められている

本人の希望が聞かれず、期待された進路へ進むためだけに勉強している場合があります。
本人が考え、選ぶ機会を保障します。

86.目標が大きすぎる

志望校合格、成績上位など、遠い目標だけでは日々の行動につながりません。
今日行う一つの課題へ落とし込みます。

87.目標が他人のものになっている

親や教師の期待を満たすことだけが目的になると、監督されない場面で続きません。
本人が大切にしたいことを確認します。

88.選択できる余地がない

課題、順番、方法、場所、時間を全て決められると、受け身になりやすくなります。
目標を保ちながら、方法を選べるようにします。

89.勉強以外に大切にしたいことがある

部活動、創作、友人、家族との時間などを大切にしている場合があります。
学習と対立させず、時間配分を考えます。

90.将来を考えること自体が不安

進路を決めるよう急かされることが、学習から逃げたい気持ちにつながる場合があります。
決定を急がず、情報を集める段階から支えます。

10.支援の不足や不適切な声かけに関係する10の理由

91.「やる気を出せ」と言われるだけである

やる気は命令によって生まれるものではありません。
何が難しいのかを具体的にし、始めやすい条件を整えます。

92.将来の不安で脅されている

「勉強しなければ人生が終わる」といった言葉は、一時的に動かしても、不安や反発を強めます。
正確な進路情報と選択肢を伝えます。

93.長時間勉強することだけを評価される

机に向かった時間が長くても、理解につながらない場合があります。
学習方法と理解した内容を振り返ります。

94.休むことを怠けと見なされている

疲れているときの休息まで否定されると、回復できません。
休む時間と始める時間を分けます。

95.本人の話を聞かずに原因を決められている

スマートフォン、性格、家庭のしつけなど、大人が原因を決めつけている場合があります。
本人の見方を聴きます。

96.できない課題を繰り返し与えられている

同じ形式を繰り返せばできるようになるとは限りません。
難しさの原因を確認し、教材や支援方法を変えます。

97.支援を受けることを特別扱いだと感じている

補助資料や別の方法を使うことを恥ずかしいと感じる場合があります。
多様な学び方を、誰でも利用できるものとして整えます。

98.大人同士が連携していない

教師、保護者、塾、支援者が異なる方針を示すと、生徒が混乱します。
本人を中心に、目標と役割を共有します。

99.結果が出る前に支援を終えられる

数日取り組んでも成績が変わらず、「効果がなかった」と判断される場合があります。
小さな変化を確認しながら、一定期間続けます。

100.勉強以外の困り事が解決されていない

不安、いじめ、家庭問題、健康問題などがあるとき、学習だけを改善しようとしても進みません。
最も困っていることから支援します。

中学生が勉強したくないときに避けたい言葉

「やればできる」

励ますつもりでも、「できないのは、やっていないからだ」と受け取られることがあります。
「どこなら始められそうですか」と尋ねます。

「みんな頑張っている」

他人との比較は、焦りや諦めを強めることがあります。
本人の変化と困り方に注目します。

「将来困るよ」

将来の不安を強めても、今日の行動が明確になるとは限りません。
今日行うことを具体的にします。

「スマートフォンを取り上げる」

端末使用が問題の一部である場合もありますが、背景を確認せず取り上げるだけでは解決しません。
睡眠、学習環境、人間関係なども確認します。

「やる気がない」

本人の人格や性格を表す言葉として使わないことが大切です。
「今は始めにくい状態」と、変えられる状況として捉えます。

「このままでは駄目」

何が問題で、次に何をすればよいかが伝わりません。
具体的な行動を一緒に決めます。

教師にできる10の支援

1.困り方を具体的に聞く

勉強全体を嫌がっているのか、特定の教科や活動が難しいのかを確認します。

2.学習の出発点を確認する

現在の学年内容だけでなく、必要な既習事項まで戻ります。

3.課題を小さくする

最初から大量に与えず、短時間で完了できる課題から始めます。

4.選択肢をつくる

取り組む順番、教材、表現方法などを選べるようにします。

5.学習方法を具体的に教える

「勉強しなさい」ではなく、覚え方、問題の解き方、振り返り方を教えます。

6.達成状況を具体的に伝える

「頑張った」だけではなく、できるようになったことや改善した方法を伝えます。

7.教室環境を見直す

授業の分かりやすさ、質問のしやすさ、間違いへの反応などを確認します。

8.校内で情報を共有する

担任だけで抱えず、教科担当、養護教諭、特別支援教育コーディネーター、スクールカウンセラーなどと連携します。

9.家庭へ責任を押し付けない

家庭での管理を強めるよう求めるだけではなく、学校でできる支援を示します。

10.学習以外の困り事へつなぐ

健康、いじめ、家庭状況などが関係している場合は、必要な専門職や関係機関へつなぎます。

保護者にできる10の支援

1.最初に話を聴く

すぐに解決策を示さず、何がつらいのかを聞きます。

2.点数だけを尋ねない

学習方法、分かった内容、困った問題について尋ねます。

3.他の子どもと比べない

兄弟姉妹や友人ではなく、本人の変化を見ます。

4.生活全体を確認する

睡眠、食事、部活動、スマートフォン、家庭での役割などを確認します。

5.学習場所を調整する

静かな場所が難しければ、学校、図書館、地域の学習場所なども検討します。

6.始める時間を一緒に決める

長時間の計画ではなく、最初の10分に何をするかを決めます。

7.監視しすぎない

学習中に何度も確認すると、対立が増えることがあります。
確認する時間を決めます。

8.学校へ具体的に相談する

「やる気がありません」だけでなく、いつ、どの教科で、何が起きているかを伝えます。

9.支援制度を利用する

就学援助、相談機関、学習支援など、利用できる制度を学校や自治体へ確認します。

10.家庭だけで解決しようとしない

長期間続く場合や、心身の不調が見られる場合は、学校や専門機関へ相談します。

一週間の学習を立て直す簡単な方法

1日目 困っていることを一つ決める

「数学の文章問題が分からない」など、範囲を絞ります。

2日目 今できるところを確認する

簡単な問題から始め、どこで止まるかを見ます。

3日目 10分だけ取り組む

長時間ではなく、始める経験をつくります。

4日目 人に説明する

学んだ内容を、教師、家族、友人、自分自身へ説明します。

5日目 思い出す練習をする

教材を閉じて、覚えていることを確認します。

6日目 できなかった問題を一つやり直す

全てではなく、一つを選びます。

7日目 方法を振り返る

何分取り組んだかだけでなく、どの方法が役立ったかを確認します。

学校として組織的な支援が必要な場合

次のような状態がある場合は、担任や教科担当だけで対応せず、校内で情報を共有します。
・意欲の低下が長く続いている
・急に成績や提出状況が変化した
・遅刻、欠席、保健室利用が増えた
・強い不安や身体症状がある
・いじめや人間関係の問題が疑われる
・読み書きや計算などに著しい困難がある
・家庭の経済状況や生活状況が学習へ影響している
・本人が「消えたい」など、生命に関わる言葉を発している
校内では、担任、教科担当、学年主任、養護教諭、生徒指導主事、特別支援教育コーディネーター、管理職、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどが、それぞれの専門性を生かします。
本人の困り事、学習状況、家庭の状況、これまでの支援、今後の役割分担を整理します。

不登校の生徒の学びを「止まったもの」と考えない

学校へ登校していない時期があっても、本人が学びたいと思ったときに学べる環境を整えることが重要です。
教育支援センター、校内教育支援センター、オンライン学習、民間施設、自宅での学習など、学び方は一つではありません。
一定の要件を満たす場合には、学校外や自宅での学習を出席扱いとしたり、その成果を成績評価へ反映したりすることも可能です。
登校だけを唯一の目標にせず、本人の社会的自立と学びの継続を支えます。

中学生が勉強したくないときに最も大切なこと

勉強したくないという言葉を、反抗や怠けだけで説明しないことです。
本人にとっては、
分からない。
疲れている。
怖い。
恥ずかしい。
意味を感じられない。
始め方が分からない。
助けを求められない。
という状態かもしれません。
必要なのは、強い言葉で動かすことではありません。
困り事を具体的にする。
学習を始められる大きさにする。
方法を教える。
安心して間違えられる環境をつくる。
生活や健康を整える。
本人が選べる部分を増やす。
学校と家庭が役割を分担する。
必要な専門職へつなぐ。
こうした支援を重ねます。
学習意欲は、生徒の内側だけにある固定的な性質ではありません。
課題の難しさ、授業の分かりやすさ、人との関係、生活環境、体調、過去の経験などによって変わります。
「やる気のない生徒」と決めつけるのではなく、
「今、何が学ぶことを難しくしているのか」
と考えることから、支援は始まります。

参考資料

文部科学省『生徒指導提要』令和4年12月改訂
文部科学省「特別支援教育」
文部科学省「こどもの貧困対策の推進」
文部科学省「就学援助制度について(就学援助ポータルサイト)」
文部科学省「不登校対策(COCOLOプラン等)について」
文部科学省「不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について」令和6年8月29日
文部科学省「不登校児童生徒の出席扱い・成績評価について」令和8年4月7日
厚生労働省『健康づくりのための睡眠ガイド2023』

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