1.定期テストで出題する「暗記事項」の適切な量を知ること
常識を逸脱するような量を暗記範囲にしてはいけません。
例えば一般的な公立中学校で、1年生や2年生の段階で次の量は多過ぎると言えるでしょう。
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社会で、
・国名プリント(地図上に40か国)
・都市名プリント(地図上に40か国)
・各国の自然プリント(地図上に40か所)
・他にも授業プリントが10数枚
これを1回のテストで実施する。
各教科共通して、
・(2学期中間テストにもかかわらず)1学期で習った範囲も含む(20点分)
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などです。
生徒に「適度な量」を暗記をさせるのは賛成ですが、上記は常識を逸脱しています。
そもそも「学習指導要領」に、1回の定期テストの範囲で、そんなに覚えるようには書いていないでしょう。
また、100も200もの「用語」を家で一人で覚えるなんて、「できる生徒」しかできません。
考えてください。
自分が中学生だとして、苦手な教科、例えば「英語の単語を150個がテスト範囲」だったら無理でしょう。
暗記が苦手な「できない生徒」は、「勉強が嫌いになる」「その教科が嫌いになる」のです。
入試直前のまとめとして、そのようなプリントを配布する場合などは、まだ理解できますが・・・。
2.「暗記事項」の量の多少に限らず、授業中にできるようになるまで指導すること
次のようにするだけでは、「授業中にできるようになるまで指導したこと」にはなりません。
<例>
・国名プリントを配布する。
・答えを言う(生徒は解答を書き込む)。
・練習用プリントも配布する。
・「次のテスト範囲に入るから」と伝える。
これは、「説明しただけ」です。
では、どう考えればいいのか。
これはあくまで目安ですが、そのようなまとめプリントは、50個程度が限界ではないでしょうか。
ちなみに、50問でも授業中にできるように指導することは難しいことです。
例をあげて考えてみましょう。
50問を授業中にできるようになるまで指導するために、50問を小分けにして、
授業内に小テストを毎時間実施する
とします。
例えば、2学期期末テストまで1カ月半(7週)あるとして、
・週3時間の教科であれば、授業時間は7週×3時間=21時間。
・毎回5問の小テストを実施するとして、出題可能問題数は、合計5問×21時間=105問。
となります。
50問のプリントであれば、105問÷50問=約2回が、授業で繰り返すことのできる回数です。
2回では少ないでしょう。
私なら、「授業内でできるようになるまで指導する」ために、少なくとも3回は繰り返す計画を立てます。
ということは、逆算すると、
105問÷(割る)3回=35問が、生徒ができるようになるまで指導できる問題数の限度
になります。
35問なら、7週間で授業内に3回繰り返してできることになります。
そこまで考えずに、多くの量をテスト範囲に設定するのは、あまりに乱暴すぎるのです。
中学校や教科の特性があるので、十把一絡げにできませんが、一般的には、おおよそそれくらいだということです。
ちなみに、ここまで説明してきたことは、4(5)観点のうちの「知識・理解」だけです。
他の観点もあります。
それらも総合的に考えなければならないのです。
また、別の記事にできればと思います。
<まとめ>
「このプリント、テストで出すから、家でしっかり暗記しておくように」は、指導の放棄。
中学校と言えども、「授業中にできるようになるまで指導すること」、これが基本。