不登校生の担任なったら最初に考えること~中学生への対応の基本~

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目次

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□はじめに

この本は、次のような先生に向けて書きました。
・「不登校を克服させた先生のキラキラ経験談」を読んですごいなとは思うけど、自分はそこまで時間をかけてできない。限られた時間の中で自分ができる方法を知りたい。
・今年度初めて不登校生を担当している。三者面談を控えているが、どのような点に注意して話をしたらよいかを知りたい。
・不登校生の担任をしているが、保護者や生徒の気持ちを掴んでいる気がしない。
・不登校生の進路指導で気をつけることを知りたい。
・不登校のことで悩んでいる先生に対して、少しでもアドバイスをしたい。


不登校の問題は、根深い問題です。特に年度途中において、「このやり方なら必ずうまくいく」というような魔法は存在しません。基本は、保護者や生徒に思いを馳せて、できることをコツコツやっていき、信頼を積み上げていくこと、これが基本です。
さて、私は不登校の専門家ではありませんが、担任として、多くの不登校生を担当してきました。
壁に当たる度に、本を読んだり、専門家に聞いたりして、対応してきました。
不登校生を担当する中で、分かったこと、見えてきたことがあります。
この本の結論になりますが、先に伝えたいと思います。
次の3つです。
・生徒や保護者に思いを馳せること。
・生徒や保護者のエネルギーをためること。
・中学校での登校はゴールではないこと。

この3つの内容を、本書では繰り返し述べています。
ミドル以上の先生、また初任者の先生にとっても「そんなことは当たり前」と思うようなことも書いてあるかもしれませんが、そこはご容赦いただきたいと思います。

さて、本書では、「これだけは」と思うことに絞り、書き綴りました。
すべて、経験に裏打ちされた内容です。
「不登校」の問題は本当にデリケートなものです。十把一絡げに、また計算通りに物事は進みません。「信じては裏切られ」の連続です。
また、生徒自身は、「学校を遠ざけたい、知りたくない、思い出したくない」と思う一方で、「みんなに置いてけぼりにされたくない」という複雑な思いも持ち合わせています。そのような生徒に思いを馳せながら対応していくことになります。特効薬もありません。生徒のエネルギーを奪うようなことをせず、エネルギーを貯めることができるような支援をすること、これが本丸です。
(ここまで読んでいただいて、「これは違うな」と思われた方はこの先を読まない方がいいでしょう。いろいろな考え方があります。何度も言いますが、私は専門家ではありません。この記事に書いていることは、長年不登校生を担当してきて、「これは、まあ(最大公約数的に)正しいかなぁ」と思うことを書き綴っているだけですので。)
もう一度言います。
ゴールは、「(短期的な視点で)中学校で登校させること」ではありません。
次のステージに向けて、いかに生徒のエネルギーをためることできるか、ということです。
次のステージというのは、生徒によって違います。
高校なのか、大学なのか、社会人としてなのか。
保護者の願いも聞きながら、それらを見極めていくことが中学校段階でのポイントです。
「本人の体調が回復したときの環境を整えておくこと」
「勉強はいつでもできるし、学校に来ることだけが人生じゃない」
「つらければ、明日のために今日をしっかり休む。休むと決めたならしっかり休む」
こんなことも意識しながら、保護者や生徒と接していきましょう。

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□進路指導の基本的な考え方

私は、担当が多くの場合中学3年生ということもあり、今まで多くの不登校の生徒を卒業させてきました。
紆余曲折はもちろんありましたが、「生徒自身が高校ではこんなことをしたい」と思う学校を自己決定してきたことは、私の財産でもあります。
大切なのは、「生徒自身が自分の体調と相談して、自分が実際に卒業できそうな高校を自己決定すること」です。具体的には「週(月)に数回登校」「ウェブ動画を見てレポート」「午後から登校」「チューター生徒」「10時登校」「家から近い」など様々なタイプがあります。自分で学習方法や登校時間・回数を選べることもポイントです。
繰り返しになりますが、希望的観測をもって「卒業できるだろう」といった進路先では、卒業できなくなること多数あります。「今の体調と相談して、ここまでだったらできる」という場所を、自分で調べて選ぶ(いわゆる自己選択・自己決定)ということが大切です。
まとめると、
・(体調と相談して)自分ができることから、進路先を選ぶ。
・自分がやりたいことがある高校を自分で選ぶ。
このような選び方をすれば、高校の担当者から「○○さん、高校に来ていません」と聞くことは少なくなります。
道でばったり会っても、生き生きした表情をしていますし、今でも年賀状をくれたりもします。中学校に訪問する高校の先生からも「○○さん、がんばって出席していますよ」という声を多く聞きます。
「ゴールをどこに設定するか」ということも大切です。
その部分で保護者と不一致な状況であれば、今後いろいろな話をしていっても、満足な話し合いができなくなります。私の場合は、不登校生の場合のゴールは、「進路選択した進路先」の「次の進路」です。例えば、今が中学3年生の12月であるのなら、ゴールは4カ月先の4月ではなく、3年4か月後の4月です。そのことを保護者と話をして、ある程度合意できるのであれば、進路指導はうまくいくでしょう。例えば、現在不登校で、「4か月後のゴールを考えること」は現実的に厳しいと言えるでしょう。しかし、3年4か月後のゴールを考えるならば、次の進路先はその準備期間と捉えることができます。そのような長期的な視点も大切です。
その一方で、担任の先生との関係性により、保護者の考えを変えることが難しい場合もあります。そのような場合は、少なくとも、希望する進路先が「不登校の受け入れの実績があるかどうか」、「受け入れ態勢はどうか」ということを確認して、必要に応じて保護者へ伝える必要があるでしょう。

□不登校生の状況~学級の生徒への伝え方~

これは極めてデリケートな問題です。学級の生徒が「○○さんが最近学校を来ていない。さぼっている」と話すような状況は絶対に避けたいところです。そうならないように、早い段階で「学級の生徒にどのように伝えておくか」ということを、保護者や生徒と相談しておく必要があります。例えば、起立性調節障害等の診断が出ている場合は、その病名を言うのか、あるいは隠しておくのか。隠しておくなら、どのように学級の生徒に説明するのか。私の場合は、診断が出ている場合は、その病名は言わず、その病気の症状を話すようにしていました(診断名を言うとそれが独り歩きしてしまう可能性があるため)。「皆さん、よく聞いてください。○○さんは、朝を中心に血圧が下がりやすくなる病気にかかっています。血圧が下がると、頭が痛くなったり、ぼっとしたり、体が重くなったり、何もやる気がなくなったりと、とてもつらい病気です。かといって、その状態が1日ずっと続くわけではありません。夕方になると、調子がよくなる場合もあります。その時は、遊んだりすることもできます。しかし、その時に無理をしすぎると、その後体調が悪化することもあります。基本はさっき言ったようなつらい状態が続く病気です。皆さん、熱を出して寝込んだことはありませんか。そのような体の状態です。これからも、このような状態が続く可能性が高くなります。勉強面などで不安をかかえることが多くなりますが、皆さん、協力してほしいと思っています」ということを本人と保護者の了解を得て伝えるようにしています。

□最初に確認しておくこと

最初が肝心であることは言うまでもありません。
まず、前担任から、引継ぎを受けていることを確認します。
不明な点が出たら前担任や関係する先生に細かく確認します。
それをもとに、担任として保護者と連絡を取り合うことのできる最初の日に連絡をします。
直接家庭訪問をするか、来校してもらうのがいいのか、保護者の願いをしっかり聞きながら日程を調整します。
最初の面談時の留意点は、繰り返しになりますが、
・希望的観測を言いすぎないこと(期待させすぎないこと)
・約束しすぎないこと
になります。
また、聞いている時は、必ずメモを取りましょう。
最初の話は経験からすると30分~1時間程度になります。
それでも短いくらいです。
保護者が話したいことを読み取って積極的に話を聞きましょう。例えば、次のような内容が考えられます。
・生い立ち
・不登校になった経緯
・父親(母親)のこと
・友人関係
・家庭生活
・進路
・テスト
・行事
・趣味
・性格
・欠席連絡の方法
・生徒への連絡のタイミング
保護者にどのような願いがあるのか、とにかく最初が肝心です。
最初の面談をもとに、1年間の見通しを立てていくのです。
また、最初にしっかり話を聞いておくと、保護者は「思いを伝えられた」という安心感も出てきます。

□一人では対応しない

どこにでも書いてあることですが、一人で対応せず「チームで(複数人で)」対応することが大切です。これからどのように対応していくかを、組織として短期的・中期的・長期的に考えることも言うまでもありません。
やってはいけない流れとして、
「一人で対応」

(無計画に)最初にいろいろやりすぎる

続かなくなる

生徒が見捨てられたと感じる

不信感

余計に学校から遠ざかる
このような流れを本当によく見てきました。
こうならないように、1年間を通して、継続してできる対応を最初に決めておくのです。
担任の先生を中心にコーディネートをして決めていきますが、担任の先生だけでできるものではありません。
校内生徒指導、不登校担当、学年の先生、部活の先生、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、市の担当者、管理職と連携することも必須です。

□約束したことへの対応

保護者や生徒と話しているといろいろな質問をされます。
例えば、
・提出物と評価の関係はどうなっていますか。
・実力テスト・定期テストを受けなかったらどうなりますか。
・○時間目から学校に行っていいですか。
・修学旅行に行くか、行かないかはいつまでに判断すればいいですか。
・副教材は買ったほうがいいですか。
・特定の教科だけ行く(行かない)ことはできますか。
・欠席が多ければ入試では不利になりますか。
・授業ノートのコピーをもらうことはできますか。
・授業のようすを録音(録画)して、見せてもらうことができますか。
また、すぐには答えられない質問も出てきます。
そんな時は、「分かり次第電話します」が当然基本となります。
そういう約束をした場合は、当たり前のことですが、できるだけ早く、答えることが原則です。
早く答えることは、それだけで信頼を積み上げることにもつながります。
例えば、放課後家庭訪問で質問をされて、「分かったら電話しますね」と言ったならば、直帰せずに学校に戻り、調べた上で、意図的にその日のうちに電話する場合もあります。
いわゆる「選択」と「集中」の話になりますが、この対応は「労力や時間をかけてでもすること=集中」と私は思います。保護者からすれば、「すぐに対応してくれた」「いざというときに安心できる」そんなことが頭に残ります。今後、何か学校側にミスがあった時でも、寛大に見てくれる可能性も高いのです。好循環になり、結果的に校務の効率化にもつながると思います。また、生徒に何かアクションしてほしい時でも、協力してもらえることが多くなります。

□「思いを馳せる」とは

・不登校生に思いを馳せる
・保護者の思いや願いを知る
一番難しく、一番重要な原則です。
「1年を無難に現状維持で過ごそう」と思っているだけは難しいでしょう。
「難しいかもしれないが、生徒や保護者の立場に立って、ほんの少しでも前に進むようにしたい」そんなことを腹の底から思えなければ、不登校生の問題は解決しません。
まずは、その覚悟をするということです。
小手先だけのテクニックは、すぐに見破られてしまいます。
不登校生はそれを見抜きます。
不登校生のことを落ち着いて集中して考える時間を、定期的にもつことも必要になってきます。
そんなことを1年間繰り返していくと、生徒や保護者に少しずつですが変化が見られるようになってくるのです。


□外部の不登校支援施設で確認しておくこと

教育支援センター、フリースクール、NPO団体等があります。地域の状況をよく調べ、保護者や生徒にしっかりと説明できるようにしておきましょう。確認しておきたいことは、「そこでの出席が、学校での出席になるかどうか」です。出席については非常にデリケートな問題となります。市等の教育支援センターでは出席扱いになることがほとんどだと思いますが、フリースクールの場合はそうはいきません。教育課程、履修状況、市等の方針を確認しながら、学校長が総合的に出席扱いにできるかどうかを最終的に判断することが多いようです。しっかりと調べたうえで、後にトラブルにならないようにしておきましょう。馴染みの薄いフリースクールであれば、担当者が当該施設に見学に行き、担当者から説明してもらうケースもあるでしょう。

□期待を裏切る可能性のあることは言わない

今まで何度も述べているように、「負担のかかること」や「準備が必要となること」を避ける方が無難でしょう。それは保護者に対しても同様です。
例えば、「また来るね」と言うと生徒は、一時的には「また来てくれるんだ。嬉しい」と思う場合もあるかもしれませんが、時間が経つと、多くの生徒は、「いつ来るのかな?」と期待感と不安感を持ち続けながら待つことになります。これはエネルギーを消耗します。
また、実際にはそんなに時間が立ってなくても、生徒は時間がたったように感じてしまいます。「また来るね」と約束したのに、先生はなかなか来てくれない」と思うことにつながりかねません。ひどい場合になると、極論になりますが、「この先生は、約束守ってくれない」と思い始め、信頼関係も崩れます。その後いくら電話しても、いくら誠意を伝えても、膠着状態になるケースが多くあります。家庭訪問で話をして、最後の決め台詞は、「ありがとう!楽しかった!」。このような気持ちを伝えることが最善でしょう。次の日程が決まっている場合であっても、「次は○月○日の○時ですね。急な生徒対応があって遅れるかもしれません。その時は許してくださいね」などと伝えるのがいいでしょう。


□起立生調節障害の生徒への対応

これについては多くの本が出版されています。研修を受けたことがある人もいるでしょう。
委員会などのホームページにも掲載されています。
徹底的に勉強していただきたいと思います。勉強すれば分かりますが、この病気は「心の病気」ではありません。「身体の病気」です(2次障害として心の病気になることもありますが)。
さて、実際に診断が出ている生徒に対しては特に配慮が必要です。起立生調節障害について調べるほど、生徒に対して「やってはいけない声掛け」「NG思考」が出てきます。
例えば、
「仮病じゃないのか。」
「ちょっと頑張れば、昼前なら来られるのではないか。」
「本当に頭が痛いのか。」
「勉強から逃げているだけじゃないのか。」
「1時間位だったら、朝でも来られるのではないか。」
「提出物ぐらいやったら出せるのではないか。」
このようなことを思っていると起立性調節障害の生徒を追い詰めてしまいます。
どこまでが甘えでどこからが甘えじゃないと言う線引きは、そもそも非常に難しいのです。
起立性調節障害は、
・「頭が痛い」
・「ぼっとする」
・「体がだるい」
・「エネルギーが出ない」
・「やる気が起きない」
そんな症状が不規則に続きます。
熱が出ていて体調が悪い状況と思ってください。
繰り返しになりますが、本やインターネット等で、最新の起立性調節障害についての情報を調べ、理解を深めておきましょう。
ドクターが言うことをしっかり守っているかどうかの確認も大切です。
また、「行きたいけど行けない」そんな気持ちを理解すること気持ちを理解することも対応の基本です。
保健室の先生の考え方も確認しておきましょう。各都道府県で起立性調節障害を専門に診察する医者がありますので、情報を仕入れておきましょう。

□進路指導で確認しておくこと

多くの生徒が選択する全日制の一般的な高校合格をゴールにしてしまうと、入学後厳しい現実が待っている場合が多くあります。中学校ではほとんど登校できなかった生徒が、週5日全日制の高校に通えるようになる可能性は残念ながら低いのが現状です。保護者や生徒は「高校になれば、行けるようになるだろう」と希望的観測で考えてしまいがちです。専門医が話していたことですが、希望している高校に登校できるかどうかを判断する方法があります。平日の「実際の登校時間」に「同じ経路」で、3日連続で登校できるかどうかを確認させます。実際に3日連続で登校できる確率は非常に低くなります。そこからが本当の勝負です。保護者や生徒は、現実に向き合って考え始めるようになります。この段階で、保護者や生徒の希望は大きく2つに分かれます。
・「3日間でさえもいけないのなら、通信制併修の学校や、自由に時間割を選べるコースを選んでいこう」
・「高校からは心機一転頑張ろうと思っているので、みんなと同じ全日制の通常の高校に行きたい」。
私の経験で言えば、高校からは心機一転頑張ることを選択した生徒で、実際に高校から登校できた生徒は少ないように思えます(これは私の感覚的なものです。地域により、違ってくる場合も多くあるでしょう)。そのようなこともあり、私は生徒には、ゴールを「高校合格」に設定せず、「その先」を考えるように話をします。例えば、「その先」が「大学合格」なら、週に数回登校して、残りはレポート提出の高校でもいいのです。そのような話をしながら、「みんなと同じような一般的な高校」から「実際に通学できる進路先」へシフトさせていきます。それと同時に、生徒へは、実際に通学可能な高校(登校型の通信制高校)を数校紹介します。実際に高校見学等に行き、体験するように伝えます。
結果、多くの場合は最終的に通学中心の高校から通信中心の高校に変更します。ただ、最初から、「通信制ありき」にしてしまうと、本人や保護者のモチベーションにも影響してきます。そんな場合は、「最初は通学コース。調子が悪くなってきたら通信コースに変更できる高等学校」などを提案するとよいでしょう。

□成績のつけ方や進路の話を「いつ」「どの程度まで」しておくのか

不登校になると、保護者や生徒は進路について、特に大きな不安を抱きます。
保護者や生徒へは、できるだけ早期に成績のつけ方や進路についての話をしなければなりません。
よくトラブルになるのが、次のようなケースです。
「中学2年生で不登校になった。テストも受けなかった。中3の最初の懇談で『中2の時にテストを受けていなかったから総合的な成績が悪い』と言われた。これは納得できない」というようなケースです。
学校側の義務として、中学2年生の時点で、進路について想定される内容を説明しておく必要があります。また、テストや授業を欠席している場合、「どの程度成績が不利になるのか」、「テストで点さえ取ることができれば大丈夫なのか」、「実技4教科で出席していなくても、実技のテストを受けることができれば成績をつけてくれるのか」、「提出物はどれくらい考慮してくれるのか」、そんなことをすべての教科で調べ、保護者に説明する必要があります。特に実技教科の細部にわたる確認は重要です。それが保護者や生徒の不安感の軽減につながります。


□生徒との関係で心地よいリズムを早い段階でつかむこと

1年間、関係を続けるという姿勢が大切です。
間隔を空けすぎず、詰め過ぎず、心地よいリズムを早い段階でつかむことが大切です。
現実的なタイミングは、不登校の生徒が、そろそろ先生来る頃かなと思った時に家庭訪問することができればベストでしょう。
そのリズムが、1カ月に1回かもしれません。
2週間に1回かもしれません。
1週間に1回かもしれません。
とにかく保護者や生徒と話す中で、いいリズムをつかんでいきましょう。

□本人が気になっていることをすぐに正確に伝えること

本人が気になっていること、情報をすぐに正確に伝えることが大切です。
代表的なものは、入試のシステムです。
いつまでにどんな手続きがあり、いつ入試がありということです。
電話で質問されて、次の日に資料をポスティングできれば、より信頼を得ることができるでしょう。
他にも、成績のつけ方、学校のようす(本人が気になっている場合)、行事の日程などがあります。何事もそうですが、早期対応が基本です。

□家庭訪問の適切な時刻・時間

これも繰り返しになりますが、保護者や生徒の希望をとにかく聞くことが大切です。希望を聞いた上で、例えば次のようなことを確認してはどうでしょうか。
・そもそも家庭訪問をする方がいいのか、しない方がいいのか。
・家庭訪問する頻度はどれくらいがいいのか(学期に1回・月に1回・週に1回・テストや行事のタイミング・保護者から希望があるときなど)
・月~金のうち、いつがいいのか。時刻はいつ頃がいいのか。
・ポスティングはどのような方法がいいのか。
・保護者のみで会うのがいいのか。生徒だけがいいのか。生徒と保護者は同時がいいのか。
・何分くらい滞在すればいいのか。
「今なら行けるので、今から行ってもいいですか」と直前に電話をして行くような対応は、私は反対です。また、担任の先生の思いや熱意を家庭訪問する頻度で表現することも避けなければなりません。
ただし、保護者や生徒にそのような希望がない場合もあります。そのようなときは「これがいい」という意見をもってイニシアティブをとらなければならないこともあります。それも考えておきましょう。


□SC、保健室の先生との情報交換の方法

とにかく連携を密にすることがポイントです。不登校生は大人の本心を見抜きます。「相性」という言葉を使いたくはありませんが、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、保健室の先生との相性も大切です。「この先生は生徒と相性が悪い」と感じたなら、接触を控えておく方が無難でしょう。

□別室登校(たまに登校)できた時の対応

基本的には(学年で)授業のない先生が対応することになるでしょう。いつ登校しても大丈夫なように、プリント等の周到な準備をしておくことは必須です。「どの先生が」「どこで」「何を」ということを担当の先生は考える必要があります。今日来るかもしれないのなら、学年等の職員朝礼や打ち合わせで、「今日○○さんが来るかもしれません。来た時には△△の対応をお願いします」としっかり伝える必要があります。連絡黒板(ホワイトボード)に、登校時のマークをする等の工夫も必要です。登校した場合は、授業と授業の合間に、「今、○○さんが△△教室に来ているので、よろしければ、声掛け等お願いします」と、周知するのもいいでしょう。ここで、絶対にやってはいけない対応があります。他の先生との連携がうまくとれておらず、登校した時に、生徒を見た先生が驚いたり、バタバタしたりして対応することです。これはよくありません。「私が来ても、みんな忙しそうにしている。私なんか来ない方がいい」と考える場合もあります。来ることを想定しないような対応(準備ができていない状況)では、生徒は学校にますます来なくなることも考えられます。くれぐれも受け入れ態勢をしっかり整えておきましょう。

□提出物を出せたときの留意点

頑張って作成した提出物は、生徒にとってとても大切なものです。それを「見ました」スタンプだけを押して、返却するのはあまりに非情です。
基本はコメントを書いて、生徒が別室登校をしている時等に、担当の先生がそのコメントページを開いて読んであげるくらいの対応が私は必要だと思っています。
登校していない生徒であれば、コメントを書いている部分に付箋等を貼っておき、より少ないエネルギーでそのコメントを生徒が見られるような工夫も必要です。さて、コメントの内容ですが、これも使い古された言葉ですが、「いい部分を探して褒める」が基本です。
丁寧な字で、長い文章が基本です。思いを込めていることが一目瞭然で分かるコメントです。「○○さん、難しい問題にもかかわらず、本当によく頑張りました。特に、△△や□□の場所は、非常によくできていました。もし分からない部分があれば、いつでも(電話でもいいので)聞いてくださいね。」等、がいいでしょう。また、最後にスタンプをだけを押すよりも、課題をしたページ毎にスタンプを押すのがいいでしょう。中学1年生段階であれば、ページ毎にソフトペンで花丸をすることも1つの方法です。


□不登校生の机の整理

学級での不登校生の机の状態は極めて重要です。たまに来た時の机の状態が、
・後ろの生徒が机を前に移動していて、間隔を詰めており、不登校生が座れない状態になっている
・机の上が、他の生徒の物置になっている
・机の中が、配布物で乱雑になっている
これは絶対にやってはいけません。
そのような状態であれば、二度と来なくなる生徒も出てくるでしょう。保護者も、なんとも言えない残念な気持ちになるでしょう。
「保護者がやっとの思いで家を送り出した」、そんな保護者に思いを馳せましょう。
基本は、整然と配布物が整理されている状態です。多くの学校では、前後左右の生徒に配布物の整理などをさせていると思います。ただ、生徒だけに任せるのはよくないとも思いますので、担任の先生等で放課後等にチェックすることも必要でしょう。

□配布物の渡し方のポイント

頻度の確認を保護者や生徒としておきましょう。
多くの回数を持っていくことがいいとは限りませんし、逆にこれがプレッシャーとなり、悪い方向に進む場合だってあります。
配布物については、教室で配布されたものをそのままの状態でもっていくことはNGです。
・少なくとも各教科や各種通信に分けておく
・教科のプリントも、やり方や答え(他の生徒のコピー)も準備しておく。
などの対応を可能な範囲でやればいいでしょう。
また、
・教科のプリントだけにするのか
・教科のプリントならどの教科にするのか
・学級通信はいれるのか
・学年通信はいれるのか
・学校便りはいれるのか
・学校から連絡しなければならない必須のプリントはどうするのか
そんなことを保護者や生徒と確認しておきましょう。実感として、「特定の教科(本人が得意な教科)だけを自学できるように整理してポスティングしたことが多かったように思えます。

□友人に持って行ってもらうことの是非

これは意見が分かれるところですが、私の場合は、学級等の友人に持って行ってもらうことは、特別な場合を除き、あまりしていませんでした。よく「学級の力を利用して」とありますが、これは難易度の高いことだと考えています。また、学級の友人が来られるのは嫌だと思う生徒もいます。
もし、学級の友人に持っていくとう選択をするなら、少なくとも「その友人が心からその生徒のことを心配していて、自分から行きたいと思っている」ことが条件だと思います。

□欠席連絡の方法

私の場合は、保護者、生徒とも校務用メールアドレスを利用して連絡のやりとりをしていました。これも、最初の保護者との面談で、保護者にとっても生徒にとっても負担のかからない方法を考えていくのがよいでしょう。間違っても、「毎日休む生徒にも関わらず、保護者が毎日学校へ欠席電話をする」ことは避けるべきでしょう(保護者がそのようにすることを希望するなら話は別です)。経験的に言うと、「来るときだけ電話をしてもらい、休む場合はメール連絡してもらう(あるいは、連絡をしない)」という連絡方法が、今までで一番多かったように思えます。

□他の先生への不登校生の状況の伝え方のポイント

担当の先生が「(不登校生のことを)家でずっと寝ているらしい」と説明もなく学年の先生に言ってしまえば、「あいつさぼっている」と受け取られかねません。起立性調節障害特有の辛い状況を他の先生にもしっかりと伝えておきましょう。「そのような体調の中でも本人は頑張ろうとしている」ということを関わっている先生方に伝えておけば、本人が登校してきたときにも、温かく受け入れてもらえる可能性も高まります。

□ポスティングをどこまで

効果的なポスティングのために、次のことを考えておきましょう。
①誰がもっていくのか(近い人、仲のいい人、部活の友人、先生)
②インターホンを押すのか
③いつ訪問するのか
④どのくらいの間隔でもっていくのか。
⑤何を持っていくのか。
⑥持っていくものの注意点は何か。
⑦メッセージを入れておく方がよいのか。
⑧保護者宛にするのか、生徒宛にするのか。(「大きな封筒を準備し、外側は保護者の宛名、その中に生徒宛の封筒を入れる」という方法もあります)
これも「こうすれば絶対にうまくいく」という方法はありません。保護者や生徒に思いを馳せながら、考え抜いていきましょう。


□家庭学習の方法で考えること

これも悩ましい問題です。
課題や提出物は、学校の授業が理解できていないと、自力でできることは少ないでしょう。かといって、習い事に外へ出ることもハードルは高いものです。保護者や生徒にとっては八方塞がりの状態になります。皆さんも聞いたことがあると思いますが、最近多くの不登校の生徒が利用しているのが、動画での学習です。
例えば、
・スマイルゼミ
・YouTubeの学習動画(葉一氏等)
・スタディサプリ
などです。「外には出られないけど、勉強がしたい」という場合には、このような方法も進めてみるのも1つの方法でしょう。ただし、学校でできることを抜きにして(提案せず)、この方法だけ示すのは、学校としては責任の放棄とも言えます。教育支援センターや校内の支援教室があることも、しっかり説明しておきましょう。

□三者面談で考えること

普段家庭訪問しているからといって、省略してはいけません。「保護者が絶対にやりたくない」、という場合は別ですが、基本は「落ち着いた場所でしっかり3人で話をしましょう」という担任の姿勢を示しましょう。
学校への登校か無理なら「学校で保護者と二者でする」、「玄関先で短時間でも三者でする」等の対応が必要かと思います。
先生側が、「もう、今まで家庭訪問してきているから、なしでもいい」という考えがあると、軽んぜられていると思う保護者もいるかもしれません。そこは注意してください。

□「不登校は甘えだ」と思う保護者も一定数いることも理解する

その一方で、残念ながら、不登校生に対する理解ができない保護者も一定数いることも事実です。「学校に行くことは当然のこと」という考えで何十年も生きてきたのですから、仕方のないことです。このような場合、その保護者との関係性にもよりますが、無理をせず長期的に指導していくことも視野に入れておきましょう。「相手を変えよう」と思いすぎてはいけません。


□その他の調べておきたいワード・資料

以下の内容について、インターネット等で情報を仕入れておきましょう。
不登校生の保護者は、情報を知りたがるのが通常です。しっかり調べて、積極的に情報発信をして、信頼を勝ち取るようにしていきましょう。
・不登校特例校
・文部科学省「フリースクール等に関する検討会議」資料
・文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について」
・教育支援センター
・フリースクールなどの民間施設やNPO等
・OHC

□不登校生への原因の追及について

不登校になってしまうと、「どうして学校にくることができないの?」と生徒に質問したくなることもあると思います。初期の場合は構いませんが、不登校になってある程度時間か経ってしまっているのに、それでもなお、理由を聞き続けるのは避けたいところです。明確な理由がある場合は別ですが、生徒自身が学校に行けない原因を分からない場合も多いのです。また、「分かっていても言いたくない」と思う場合もあります。初期にある程度原因に注目した後は、「今後どうしていくか」ということに焦点を当てていきましょう。

□外出するリズムを考える

家の中でじっとしていると、気が滅入ってしまいます。保護者の方に頑張ってもらって、週に1回は、外出する機会を意図的につくってもらうようにしましょう(保護者と生徒の関係が悪い場合は別ですが)。生徒自身が気の進むことがいいでしょう。外食、散歩、好きな運動等々。いろいろな提案をしていきましょう。

□「学校に来ないのはわがまま」ではない

焦らないことが大切です。
一番苦しんでいるのは本人です。
それを「学校に来た方がいいよ」などと指摘しても問題の解決にはなりません。
先生側のそもそもの考えとして、「学校へ登校させようとする」というものがあります。
そのようになっている原因は、「不登校生」に対する時代にそぐわない考え方が影響していることが多くあります。
例えば、
「学校に来ないのはわがまま」
「親が甘い、過保護」
「単に学校から逃げているだけ」
異論もあるかとは思いますが、私から言わせてもらえば、これらはじだいさくごの考えです。
後にも述べますが、生徒・保護者の気持ちを理解しようとする姿勢がなければ、解決へ進むことはありません。
「理由は分からないが、学校に登校できないこともある」というスタンスでいきましょう。

□「中学校での登校」は本物のゴールではない

繰り返しになりますが、「中学校で登校させることがゴールではない」ということを肝に銘じておく必要があります。
不登校生が幸せな気分で過ごせること、家で落ち着いて過ごせることが目標です。
心のどこかに、「学校に来させたい」「学級のために」というような心があると、それは難しくなるでしょう。
それは生徒にも伝染し、生徒の焦りもつながります。結果としてエネルギーを奪うことになります。
とにかく焦りや不安感を煽る指導はしてはいけません。

□近い未来の希望的観測を言わない理由

以前の話になりますが、副担任をしている不登校の生徒宅へ訪問した時のことです。
保護者が落ち込んでいるようだったので、原因を聞きました。
すると次のような返答が返ってきました。
「○○先生(担任)が4月に来てくださって、『○○君(生徒の名前)なら、大丈夫ですよ。この子だったら、GWまでには来られるようになると思います。以前に似たような生徒を見ていたのですが、○○君も大丈夫だと思います』と言ってくれたのですが全然よくならないんです。むしろゲームをたくさんするようになりました。」
担任の先生は、過去の数例の成功事例で「この子だったら、学校に来られるようになれますよ」
と確定的な内容を伝えていたのです。
明るく堂々と話すことは大切ですが、これでは、そうならなかったとき(そうならないことの方が多い)、相手に与えるダメージは想像以上に大きいのです。
希望的な観測で物事を言わないよう、内容には気をつけたいものです。

□生徒が大事にしているものに対しての考え方

「生徒が大事にしているものを否定しない」
生徒の信頼を得る上で守りたい原則の1つです。
例えば、漫画やゲーム、そしてスマートフォン。
先生側からすれば、「マンガを読みすぎて勉強しなくなる」「ゲーム中毒になる」「スマホは身体に悪い」、こんな声が聞こえてきそうです。
結論から言わせてもらうと、不登校生に対し、「ゲームをやりすぎてはいけない!」「マンガを読みすぎてはいけない!」という周りの大人からの生半可な指導で、「ゲームや漫画の時間を守るようになった」という事例を1度も聞いたことがありません。
それでやめるようであれば、保護者からの指導で止めているはずです。
また、不登校生は、そのように指導されると、「この先生、何もわかってくれていない」「会っても嫌なことを言われるだけだから会わない」と思うようにもなってしまいます。
「不登校生が大事にしているものを否定しない。理解しようとする。」が基本です。その思いが生徒に伝われば、他の話も聞いてくれるようになるのです。

□会うときのエネルギーレベル

自分の今のエネルギーレベルで話さないことも大切です。
よくやってしまいがちなのは、部活動終了後、教員自身が元気すぎる状態のままで家庭訪問してしまうことがあります。
「○○(生徒の名前)、元気かー?遅くなってごめんな!今までクラブがあって。どう?元気か。今日何時に起きた?・・・」というように話すイメージです。
これも生徒からすれば、疲れます。
エネルギーのある人の話を聞くのは、やはりエネルギーが必要になるのです。
意識的に元気な(エネルギーに満ちた)対応をすることもありますが、基本は、生徒がもっているエネルギーより少し元気なくらいのテンションがちょうどいいでしょう。

□正論で責めない

「学校に行かなければならない」
「家で勉強しなければならない」
「早く起きなければならない」
「規則正しい生活をしなければならない」
「三食きちんと食べないといけない」
こんなことを、たまに家庭訪問での会話の内容の中心に据えてはいけません。
生徒は、自分自身のことをよくない状態であることは百も承知です。
正論を振りかざしてそのことを言われてしまうと、エネルギーを奪われます。
先生と話したいと思うようにもなりません。
「ダメだと分かっていて生徒自身もどうしようもないこと」に、最初のうちから、あるいは、信頼関係を築くまでは、着目しない方が無難でしょう。

□生徒の不安への対応

不登校の生徒は、家でいろいろなことを考えてしまいます。
「今日はみんな学校で何しているのかな」
「高校に行かなくても大丈夫かなぁ」
「勉強についていけるかどうか心配だなぁ」
「学級に置いていかれないかなぁ」
そんな時に先生が、「勉強は、いつ始めても遅くないよ」「いつ始めてもおそくないよ」「先生も実際に学校の先生になろうと思ったのは、26歳になってからですよ。それから、資格とって・・・」などと心の底から思っていることを、体験談を交えて話します。
保護者へも「休む時期と割り切ってしっかり休むことが大事です」。そんなメッセージを伝えられたらいいでしょう。先生が生徒との会話の時に、先生が心からそのように思っていなければ、生徒に本心はばれてしまいます。生徒は敏感です。大人の本心をすぐ見破ります。
例えば先生が「ほんの少しでも学校に来たほうが良い」「行事は参加したほうがいい」「昼夜逆転はいけない」「ゲームをしたらいけない」「夜スマホをやりすぎないほうがいい」「日中は運動しなければならない」、などと言う考えを根本にもって、それを前提としてはいけないのです。「(本当に心から)今はしっかり休む時期。」という思いをもっていないと、生徒の信頼を得ることは難しいし、生徒はエネルギーを貯めることができないし、生徒が安心感をもつこともできません。

□不登校生を特別扱いすることについて

自分のせいでいつもと違う日常になっていることを嫌う不登校生は多いと思います。
また、不登校生に対し、腫れ物を触るような対応してしまうと、「自分が相手をより不快にさせている」と感じるようになり、自分に自信がなくなってしまう場合やイライラしてしまう場合があります。普段通りの対応をすれば、「(学校に行けない)こんな自分になっても、変わらなく接してくれている」と安心できるでしょう。周りを取り囲んでいる大人は、理由を聞いたり、しつこく質問攻めにしたり場合も多いですが、そこは我慢して、ありのままを受け入れて普段通りの生活をするように心掛けましょう。そのような姿勢を周りが示すことで、自分の本音も打ち明けるようになる場合もあるのです。

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