1.先輩の先生の心ある言葉
初任校で生徒指導や授業の方法など、先輩の先生方に多くを助けられました。
その中で、特に印象に残っていることがあります。
私が初めての3年生担任で、卒業式を終えた日の午後、ある先輩の先生が話しかけてきました。
「残り1週間、春野先生の他学年の午後の授業、私の午前の授業と入れ替えましょうか?」
私がその本意を分からずに返事に戸惑っていると、包み込むような笑顔で次のように言ってくれました。
「3年生の授業だけを受けもっていた先生は、これから授業がなくなるから、今まで取れてなかった有給をこの時期に取る先生が多いんですよ。でも、春野先生は、他学年の授業があるから、休めないですよね。しかも、午後。だから、授業が午前中にあったら、せめて午後は休めるでしょ。初めて3年生の担任をした後だから、自分では分からないと思うけど、相当疲れがたまっていると思うよ。4月からは先生が学年の中心になるかもしれない。それに備える意味でも、この時期にしっかり休んだ方がいいよ。手を抜くこととは、まったく違うことですからね。校長先生もそうしてほしいと思っているんじゃないですか?相手してあげたらどう?」
ありがたくあったかい言葉でした。
確かにそうだったのです。
卒業生の最後の一人を校門から送りだした後、その場でしばらく立ち止まっていたことを覚えています。
2.周りの先生に気遣いのできる先生
3年生担任をした一年間は、ほとんど自分の子どもの相手もしていなかったのです。
このような周りの先生に対する気づかいのできる先生になりたいと強く思いました。
それと同時に、これに限らず、先生同士がこのような気づかいのできる文化を広めようとも思いました。
さらに部活動で一緒に顧問をしていた先生が、私にたたみかけます。
「もう卒業式終わったから、クラブは私が見ておきますよ。」
私は、優しくて気づかいのできる先生に囲まれていたのです。
できることは、このような時間割関係のことだけではありません。
想像力を働かせればいくらでもあります。
このような先生に囲まれたら、学校は楽しくなります。
それが生徒にもいい影響を与えるのです。