1.直前に白プリントを配布しない
やってはいけないことは、テスト前日(又は前々日)にまとめて多くの白プリントを配布することです。
短期間で多くのことを覚える能力のある生徒が有利になります。
時間をかけないと覚えられない生徒は、不利になります。
以前、生徒からの訴えがありました。
「社会のA先生、テストの3日前に授業中に白プリントを一気に3枚も配ってん。こんなにたくさんの量を直前にもらっても覚えられない!」
当然の主張です。
私は、A先生に聞きました。
「なぜ、そんな直前にたくさんのプリントを配布したのですか」
すると、
「テスト範囲を完全に終わらせてから配ろうと思っていました」
「直前に配布した方が、生徒が授業で集中してやるからです」
「直前に配らないと、生徒がプリントをなくしてしまうのです」
と答えられました。
確かにそうなのですが、冒頭で述べた問題点の方をまず考えた方がよいでしょう。
2.白プリントを配布する時期
テスト範囲の白プリントは、少なくともテスト1週間以上前に配布するのが基本
です。
土日を挟んでおくべきでしょう。
・「直前に配らないとなくす生徒」のために「真面目にコツコツ勉強する生徒」を犠牲にしている
・時間をかけて真面目にコツコツする生徒の存在を軽視している
この2つがA先生の問題点といえるでしょう。
という事実を理解できないのです。
少し考えれば分かるのです。
直前で授業でやらせることは、白プリントの解答部分を見えないように生徒に折らせて、別のノートやいらない紙に解かすことです。
授業中に白プリントを「できる」状態にできれば理想です。
3.「過去問を試験直前に、力試しで解かす」はNG
「入試指導」でも同様のことが言えます。
例えば、「過去問(赤本)」の使い方。
読者の皆さんは、中学3年生に、いつやるように指示を出しますか。
「入試の1~2週間前くらいに、本番のつもりで解かす」指導は、NG
です。
もし、入試の1週間前にやって全然できなかったら、どうするのでしょうか。
残り1週間で生徒は対策を立てられるのでしょうか。
これは無理です。
自信をなくします。
では、自分が受験する高校の入試問題をいつやらせるのか。
地域によっても違いますが、
ここでは、2月に試験があるとした場合、
「11月中旬以降で、受験する高校が決まったらすぐ」
あるいは、
「11月中旬以降の定期テストが終了したらすぐ」
です。
おそらく、できない部分が多いでしょう。
それでもいいのです。
4.過去問を使う目的
自分ができない部分を把握するために、過去問があるのです。
できていない部分が分かれば、残り数か月を使ってできなかった部分を勉強できる
のです。
まだ、習っていない範囲はやらなくて構いません。
私が進路指導主事をしていた頃は、10月にある保護者説明会でも、
「過去問は、自分の弱点を知るために、受験校が決まったらすぐにやってください。習っていない範囲(やらなくてもよい問題)が分からない時は、教科担当に聞いて、印をつけてもらってください。」と説明します。
もちろん生徒にも同じことを言います。
どうしても、「力試し」として直前にやりたいのなら、「1年分」だけを残しておけばいいのです。
それでも私はすすめませんが・・・。
生徒へのちょっとの配慮で多くの生徒が救われるのです。