「飼育ケースのアマガエル、死んでるよ。」

生き物の命の大切さを伝えたい時の語りです。
中学校道徳の内容項目で言うと、
3 主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること。
(1) 生命の尊さを理解し、かけがえのない自他の生命を尊重する。
になります。
ここからスタートです。


私は母親を泣かせてしまったことが2回あります。
もう母親が亡くなって随分経ちますが、忘れることができません。
思い出すたびに、なんてことをしてしまったのだろうと今でも胸が詰まります。
最初に泣かせてしまった出来事を話したいと思います。

もう、今から数十年前、私が小学生の頃の話です。
私は生き物を飼うのが好きだったので、帰り道で生き物を捕まえては、家に持ち帰っていました。
バッタ、カマキリなどの昆虫はもちろん、飛べなくなったスズメ、池でつかまえたザリガニ、カメ、田んぼで捕まえたヌマエビやカブトエビ、道路を逃げ回っていたトカゲ、壁に張り付いていたヤモリ・・・・、思い出せば切りがありません。

夏休みの終わりの頃、いつもと同じように、生き物を捕まえてもって帰ってきました。
草の上にのっていた、小さな小さなアマガエルです。
何も考えずに飼育ケースに草とともに入れ、庭の端に置きました。
もって帰った時に母親が「育てられないなら、逃がしてあげや」と言っていましたが、何も気にとめませんでした。

その年の冬休みのことです。
私が遊びから帰ってくると、母親が布団の中で泣いていたのです。
私は母親の涙をほとんど見たことがありませんでした。
だから何かとんでもないことがあったんだろうと、母親に理由を聞きました。
しかし何度聞いても、母親は理由を答えてはくれませんでした。

あまりに気になったので、その日の夜もう一度尋ねました。
「何かあったの?」
すると、次のように疲れた表情で言ったのです。

「飼育ケースのアマガエル、死んでるよ。」

私は、急いでアマガエルを見にいきました。
寒い庭の端に置かれたままでした。
飼育ケースは、泥やほこりで中のようすが分からない程、汚れていました。
ケースを開けると、積み重なった枯れた草のいちばん奥の方で、小さなアマガエルが寒そうにうずくまって、骨だけになって死んでいたのです。

私はとんでもないことをしたのだと、その時初めて気が付きました。
母親が泣いていたことも思い出し、その場で涙がしばらく止まりませんでした。

それ以降、生き物を家に持ちかえることはなくなりました。

今でも、端でうずくまって死んでいたアマガエルの姿を思い出します。
なぜ、あの時無意味に捕まえてしまったんだろう・・・。
なぜ、餌を与えなかったのだろう・・・。
アマガエルは食べ物も水分もなく、仲間に見守られることもなく死んでいったのです。

今でも本当に後悔しています。
冬休みが始まる終業式の日に必ず思い出します。
皆さんは、生き物の命を粗末にすることはないと思いますが、生き物を飼う時は、今日の話を思い出してくれたら嬉しいです。


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