中学生にTikTokを指導する

TikTok、中学生

「子どもがTikTokで友達と盛り上がっているのですが、何か注意することありますか・・・。」と、保護者から聞かれたらどのように答えるでしょうか。
LINE等、他のSNSと同じように、慎重にかつ正確に答えたいところです。
実際にTikTokを使っている小学生、中学生、高校生は増えているようです。
「TikTokで画像見たことある人」と生徒に聞いてみると、9割以上の生徒が「見たことがある」、と答えました。
また、「アップしたことがある」生徒もいました。
「TikTokのことを知らない」では済まなくなってきている問題です。
「学校外のことは、学校は関知しない」も、保護者から理解してもらえない場合もあります。
「使わせない指導」だけでは、問題の解決に至らないケースも出てきます。
何も知らずに生徒が使っていると、「いじめられる(いじめる)」「損害賠償を請求される」場合も考えられます。
さて、そうした中、先生側が最低限知っておいたほうがいいと思うことを、自分自身のメモを参考にまとめました。
まだTikTokを見たことがない先生は、最初にどのようなものかを確認していただくのがいいと思います。
YouTubeの検索画面で、「TikTok おもしろ」等と検索すれば、投稿された動画をすぐに見ることができます。
また、がっちり知りたい先生は、実際にこのアプリをインストールするのもよいでしょう。

(本記事は、TikTokを否定するものではありません)

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1.TikTokが中学生に親しまれる理由

(1)「投稿するためのハードル」が低い

https://www.tiktok.com/jp/about/ には、次のような説明があります。

「TikTokはショート動画配信アプリです。私たちのミッションは、スマートフォンから世界中のクリエイティブな動画、知識、生活を見つけられるようにすることです。TikTokでは誰もがクリエイターになれ、動画を通じてユーザーにエモーショナルでクリエイティブな表現を共有することができます。」

実際にTikTokでは、BGMをリストから選択し、ほぼ完成しているフォーマットに合わせて踊る動画を撮影すれば、投稿動画が簡単に出来上がります。
また、動画の撮影時間は15秒です。
この15秒と、BGM等の選択時間を合わせ、ほんの数分で撮影から投稿まで行うことができます。
TikTokはYouTubeとも比較されます。
YouTubeは、元となる動画に音楽、テロップ、アニメーション等の加工を加えて投稿する場合が多くあります。
動画を加工することは、中学生にとってはハードルの高い作業です。
これもYouTubeよりもTikTokを選択する理由の1つになります。

(2)共感性が高い

上記説明にある通り、TikTokは「ショート動画配信アプリ」です。
もととなる音楽のフォーマットがあり、それをもとに多くの人が投稿しています。
投稿カテゴリーには、ダンス系、おふざけ系、かわいい系があります。
また、フォーマットとなる音楽には、 ミュージック系、ネタ系、ワンシーン系があります。
この音楽に合わせて、みんなでワイワイやりながら楽しく投稿しています。
SNOW等と同様、顔などを「盛る」こともできます。
顔はそのまま丸出しで、投稿しているケースも多く見受けられます。
また、後にも説明しますが、「仲間と校内で撮影した」と思われる投稿が多くあります。
これも見れば分かりますが、本当に楽しそうに盛り上がって撮影しています。
「仲間と」「手軽に」「誰もが知っている音楽や」「簡単にできる踊りで」等、共感性が高いアプリです。

(3)その他

・(アプリ内課金をしなければ)無料であること。
・一般的な他のSNSよりも、コメントやフォローをしやすい。
・面白い動画が多くある。
・素人だけど、「かっこいい人」「かわいい人」がいて、見ていてあきない。

2.実際に起こりえる問題

「こんなに若い子が、顔を丸出しで大丈夫なのか」
「仲間から何も言われないのか」
「保護者からの了解は得ているのか・・・」
実際に、研修その他の情報で聞いた問題は次のようなものです。
・投稿動画を見た知らないユーザーから「今度会いに行きます。○○中学校ですよね。近く通った時に校門で待ってます」とコメントが届いた。
・校内で休み時間にTikTok動画を教室内で撮影していた。たまたまそのとき、撮影しているとは知らず、教室の端の後ろの方で着替えをしている生徒がいた。投稿した後、そのことに気づき、動画を削除したが、すでに拡散していた・・・。
・ある公園で、動画を撮影していた。後ろに通行人がたくさん通っていたが、まあ顔も小さいし大丈夫だろうと思って投稿したが、そのうちの一人がDV被害から逃げている人だった。それを見た加害者側が、居場所を特定できた。
・制服を着たまま動画を撮影して投稿した。同じような制服はたくさんあるから、どこの中学校かばれないだろうと思っていたが、制服を画像検索されて自分の中学を特定された。その後、ストーカー被害にあった。
・仲良しだったグループの一人が投稿動画を見て、「最近、子、調子乗ってない?」といじめが始まった。
・母親のスマホでアプリをインストールし、アカウント連携(後述)でLINEを選択し、誤操作をしてしまった。その結果、親の個人情報を漏洩させてしまった。

3.より安全に使うために注意すること、やっておくこと

(1)TikTokサービス規約について

TikTokサービス規約(https://www.tiktok.com/jp/terms/)を読んでおきましょう。
かなりの長文ですが、ざっと目を通して、特に気になる部分があれば詳細に読めばいいでしょう。

(2)アカウント連携ログインについて

他のアカウントからの連携を利用したログインが基本となります。
2018年9月現在、TikTokアカウントに登録するには、Twitter・Instagram・LINE・facebook・Google・カカオトークのいずれかのアカウントと連携させる必要があります。

何も知らずに、例えば、「LINE」でログインするとどうなるか。
LINEの中の登録情報(すべての情報ではない)が、TikTokを運営している会社にわたる可能性があります。
また、連絡先が連携されると、その情報から個人を特定できる可能性も高くなります。
アカウント連携を利用してログインする場合は、「利用頻度が少ないアカウント」を使用する方が安全です。
例えば、ほとんど使っていないTwitterやGoogleのアカウントを利用するのも1つの方法でしょう(サブアカウント)。
もし、そのようなアカウントを持っていないのであれば、新たに作成してからTikTokを利用するという方法も考えられます。

(3)プライバシー対策について

<アプリ側の「プライバシー設定」>
他のユーザーに自分の動画のダウンロードを許可する→OFFにする
自分とデュエットできる人→OFFにする
自分にメッセージを送ることのできる人→OFFにする
<スマホ本体側の設定>
アプリの位置情報→TikTokに対してOFFにする

これだけではありませんので、しっかり調べてより安全な設定にしておきましょう。

4.一般的なスマホアプリやTVゲーム等で注意すること

・荒野行動、Fortnite、LINELIVE等、最新アプリ、人気アプリの実態について普段からアンテナを立てておく。
・保護者の個人情報や友人の連絡先を通して、情報が洩れる危険性を理解しておく。
・アカウント連携・・・設定で「LINEから登録」では情報が洩れる可能性が出てくる。どんなアプリもそうだが、「新規登録」や「あまり使っていないアカウント」から始めるようにする。
・各アプリの設定画面、スマホ本体側で、位置情報、連絡先等の情報が漏れない設定にしておく
・ツイッター、フェイスブック等のSNSは、自分が検索されないようにするのが基本。見つけやすさと連絡先はOFFにする。
・Nintendo Switch サポートの「みまもり設定(保護者による使用制限)」

みまもり設定(保護者による使用制限)|Nintendo Switch サポート情報|Nintendo
Nintendo Switchの「みまもり設定(保護者による使用制限)」をご案内します。

はとても参考になる。確認しておく。
・子どもがどれくらいの時間使っているかの確認・・・設定、バッテリー、時間の管理(1day,1week,1month等)も確認する。
・「ゲーム依存は病気である」・・・WHO(World Health Organization、世界保健機関)の「国際疾病分類」“ゲーム依存症”を確認する。
http://www.who.int/features/qa/gaming-disorder/en/
(英語サイトですが、ブラウザの翻訳機能を使用すれば、おおよそ理解できる日本語になります。)

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