認知バイアスとは
例えば誰かに何かを指摘されたとき、言われる人によって、捉え方が変わることはないでしょうか。
「信頼している先生」から言われれば、「確かにそうだなぁ」と感じます。
「嫌いな先生」から言われると、「お前に言われたくない」と感じます。
これは「認知バイアス」がある状態です。
認知バイアスとは、思い込みや先入観によって、同じことを言われても(同じ現象があっても)、受け取り方に偏りがある(判断が歪められる)ことをいいます。
「あるからダメ」、「ないからいい」という話ではありません。
まずは、自分自身にそのような思考の偏りがあるかないかを知ることが第一です。
何らかの思考の偏りがあることを知ったとき、今後その偏りをどのようにしてくかを判断するのは自分自身です。
私も少なからず認知バイアスがあります。
友人に相談すると、「なんでそんなに腹を立てているの?××にすれば済む話じゃない?」とよくなだめられます。
「認知バイアス」という言葉を知ってからは、「言われている人」ではなく「言っている内容」に焦点を当てるように努力しています(当たり前のことなんですけどね・・・)。
ストレスがかなり軽減された気がします。
「自分だけは大丈夫」「自分だけは特別な存在」とは思わないことが、「認知バイアス」による悪影響を受けない方法の1つだといえます。
以下に有名な認知バイアスをいくつかあげます。
私は心理学の専門家ではありません。
心理学の専門家が読んだら、「それは違う」ということがあるかもしれません。
気になる部分を調べていただき、思考を深めていただければ幸いです。
後知恵バイアス
問題や課題に直面した時に、それが事前に予測可能であったと考えてしまうことを「後知恵バイアス」といいます。
例えば、A先生がBという方法で生徒指導してうまくいかなかったとき、「Bの方法ではだめだと思った」と事後に発言するケースです。
本当は予測できなかったのに、「○○だと思った」と考えてしまう傾向のある先生は、「後知恵バイアス」の陥っている可能性があります。
確証バイアス
自分に都合の良い情報だけを切り取ってしまうことです。
例えば、
・血液型の性格判断で、自分に当てはまる部分に焦点を当てて「血液型の性格判断、当たっている」と判断してしまう(占いなども同じ)。
・研究紀要を作成する際、書籍やネット、アンケートで、自分が主張しているないように合致する内容を中心に作成してしまう。
自分にとって都合の悪い情報にも意識的に焦点を当てるようにしましょう。
成功者バイアス(生存バイアス)
生存した物や成功したものに重きをおいて判断してしまうことです。
例えば、ある部活動で厳しい練習を耐え抜いて結果を出したとき、「その方法が絶対的に正しい」と判断するケースです。
その成功の裏で、多くの生徒がドロップアウトしている場合を想定できない状態です。
コンコルド効果(サンクコスト効果)
自分がお金や時間などを費やしてきたものに対して、誤った価値判断をするケースです。
未来の判断にも影響を与えてしまう場合もあります。
例えば、研修やセミナーで高額のお金を払うとします。
その時に、多くの資料や情報を受け取ります。
その資料を読んでしっくりこなくても、
・途中で止めることなく最後まで資料を読む
・セミナー講師が話したことをすべて実践しようとする
バンドワゴン効果
「多くの人が選択しているから」という理由で判断してしまうケースです。
・口コミがとてもいいから
・人気のセミナーだから
・ベストセラーだから
「多くの人が・・・」という理由で選択することもありますが、それだけで物事を判断しないようにすることが大切です。
認知的不協和
自分の考えに矛盾する「新しい事実」があった時に感じる不快感のことをいいます。
この認知的不協和を解消しようとするとき、
・自分の考えを否定する(新しい認知を追加する)
あるいは
「新しい事実(価値)」を否定する(自分を正当化する)
という立場をとります。
世代論を持ち出してはいけませんが、経験年数が長い先生ほど、認知的不協和に直面する場面で、「新しい事実(価値)」を否定し、自分を正当化する立場をとる先生が多いように思います。
「次年度、生徒指導主事になりたかった。でも、校長先生に選ばれなかった」
そんな時に、
「生徒指導主事は、力のない先生が成長するためにある役職。だから、私は選ばれなくて当然だ」
と考える場合です。
ハロー効果
教員採用試験対策でも一度は聞いたことがある言葉かもしれません
特徴的な一面に影響され、他の特徴の評価が下がってしまう場合などを言います。
例えば、ICTに詳しければ、「他の領域でも詳しい」と思い込んでしまうケースです。
また、よくあげられる例として、SNSのフォロワーが多ければ「この先生の言っていることは間違いない」という判断もそうでしょう。
「××市○○研究委員」と肩書きがあれば、その先生の指導をそのまま踏襲することも「ハロー効果」の一面であると考えていいでしょう。