第13回 将来管理職への道を考える場合、初任校・2校目で意識すること・やっておくこと

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将来、管理職という選択肢を少しでも考える可能性があるなら、初任校・2校目で意識しておくとよいことがあります。
それは、特別な実績をつくることではありません。
目立つ成果を出すことでもありません。
まずは、教師としての土台を丁寧につくることです。
管理職を目指す・目指さないに関係なく大切な内容がほとんどですが、
ほんの少しでもヒントになれば幸いです。

1.授業

一つ目は、授業を大切にすることです。
管理職になると、授業から離れる時間が増えます。
だからこそ、教諭の間に授業と本気で向き合っておくことは、とても大切です。
現在求められている授業と正対しているのか。
独りよがりな授業になっていないか。
子どもが安心して発言できる授業とは何か。
学力差のある子どもたちを、どう支えるのか。
授業がうまくいかないとき、自分は何を見直すのか。この経験は、将来、教職員の授業を見る立場になったときの土台になります。
授業アンケートを実施しているのなら、真摯に受け止めることも必要です。

2.学級経営と子ども理解

二つ目は、学級経営や子ども理解を大切にすることです。

管理職になると、学校全体の子どもを見ることになります。
そのときに必要になるのは、子どもを一面的に見ない力です。
落ち着きがない子。
反抗的に見える子。
学校に来にくい子。
友人関係で悩んでいる子。
その背景に何があるのかを考える経験は、若い時期にこそ積んでおきたいものです。
子どもの行動だけで判断しない。
家庭背景や人間関係、発達特性、心の状態にも目を向ける。
この視点は、管理職になってからも必ず生きてきます。

不登校の子どもたちに心から寄り添えているのか。
いじめに対する考えはもっているのか。
支援学級在籍の子ども、特別な支援が必要な子どもに寄り添えているのか。
「誰一人取り残さない」教育に向き合っているのか。

経験年数の多少にかかわらず、非常に難しいことですが、常にアンテナを張っておくことが大切です。

3.保護対応から逃げないこと

三つ目は、保護者対応から逃げないことです。
若い頃の保護者対応は、緊張します。
電話一本でも、かなり気を使います。
厳しい言葉を受けると、落ち込むこともあります。
しかし、保護者と丁寧に向き合った経験は、将来の大きな財産になります。
保護者は何に不安を感じるのか。
学校の説明は、どのように伝わるのか。
事実と気持ちを、どう分けて受け止めるのか。
一人で抱え込まず、学年や管理職に相談しながら対応することも含めて、大切な学びです。

4.学校全体を見渡す視座

四つ目は、自分の学級や教科だけでなく、学校全体を見る習慣を持つことです。
初任校や2校目の頃は、どうしても自分のことで精一杯になります。
それでも、少し余裕が出てきたらでいいの、学校全体に目を向けてみてください。
なぜ、この行事はこの形で行われているのか。
なぜ、この会議でこの話題が出ているのか。
なぜ、教頭先生はこのタイミングで職員室に声を掛けたのか。
なぜ、校長先生は職員会議でこの言い方をしたのか。
そう考えるだけで、見える景色が変わります。
景色が変われば、意識も変わります。
利己から利他へ、一歩進めることができます。

5.主任や先輩の動きをよく見る

五つ目は、主任や先輩の動きをよく見ることです。
学年主任。
生徒指導主事。
教務主任。
研究主任。
進路指導主事。
学校には、さまざまな立場で学校を支えている先生がいます。
その先生方が、どのように人を動かしているのか。
どのように調整しているのか。
どのように若い先生を支えているのか。
そうした姿を見ることは、将来の大きな学びになります。

6.苦手に少し挑戦する

六つ目は、苦手な仕事にも少しずつ関わることです。
人前で話すこと。
会議で意見を言うこと。
資料を作ること。
行事を企画すること。
保護者に説明すること。
誰かと調整すること。
若い頃は、得意な仕事に逃げたくなることがあります。
もちろん、無理をしすぎる必要はありません。
しかし、苦手な仕事を少しずつ経験しておくと、自分の幅が広がります。
管理職の仕事は、得意なことだけでは務まりません。
若い時期の小さな経験が、後になって効いてきます。

7.リフレクションとログ

七つ目は、記録する習慣を持つことです。
うまくいった授業。
うまくいかなかった対応。
保護者とのやり取りで学んだこと。
子どもとの関係づくりで気付いたこと。
先輩の言葉で印象に残ったこと。
学校が動いた場面で感じたこと。
そうしたことを、少しでも記録しておくとよいと思います。
管理職試験のためだけではありません。
自分がどのような教師として育ってきたのかを振り返る材料になります。
管理職になったとき、同じ道を歩む後輩への支援のヒントともなります。

8.信頼の土台をつくる

八つ目は、信頼される働き方を積み重ねることです。
締切を守る。
報告をする。
分からないことをそのままにしない。
困ったときに相談する。
人の悪口で職員室の空気を悪くしない。
自分の仕事だけでなく、周りの状況にも少し目を向ける。
こうしたことは、派手ではありません。
しかし、学校ではとても大切です。
管理職になるかどうかに関係なく、信頼は日々の小さな積み重ねでつくられます。

9.主担当として何かをやり遂げる

九つ目は、主担等として、何かを一年間やり遂げる経験をしておくことです。
できれば、自分の所属学年の中だけで完結する役割ではなく、学校全体に関わる主担等を経験できるとよいと思います。
たとえば、研究、行事、生徒指導、人権教育、特別活動、ICT、研修、校内委員会など、学校全体を少し広く見る必要がある役割です。
もちろん、最初から大きな成果を出す必要はありません。
大切なのは、任された役割を一年間やり通すことです。

主担等になると、自分の思いだけでは進みません。
他の先生にお願いすることがあります。
予定を調整することがあります。
資料を作ることもあります。
会議で説明することもあります。
うまく伝わらず、思ったように動かないこともあります。
それでも、一年間その役割に向き合うことで、学校を動かすことの難しさと面白さを少しずつ感じることができます。

その中で意識してほしいのは、「ありがとう」と言われるような動きをすることです。
目立つことをするという意味ではありません。
早めに連絡する。
分かりやすく資料を整える。
困っている先生に声を掛ける。
他の先生が動きやすいように段取りをする。
終わった後に感謝を伝える。
そうした小さな積み重ねが、信頼につながります。
学校全体の役割は、一人で成果を出す仕事ではありません。
周りの先生に支えてもらいながら、周りの先生が動きやすくなるように考える仕事です。

成功体験でなくても構いません。
むしろ、思うようにいかなかった経験にも大きな意味があります。
計画が甘かった。
説明が足りなかった。
一部の先生に負担が偏ってしまった。
早めに相談すればよかった。
そうした失敗は、次の仕事に必ず生きてきます。
大切なのは、年度末に振り返ることです。
何がうまくいったのか。
何がうまくいかなかったのか。
なぜそうなったのか。
次に同じ役割をするなら、何を変えるのか。
このリフレクションをしておくことで、経験は単なる思い出ではなく、自分の力になります。

管理職という選択肢を考えるなら、学校全体の中で何かを任され、それを一年間やり通す経験は大きな財産になります。
その経験を通して、人にお願いする難しさ、信頼されることの大切さ、学校全体を見て動く感覚を学ぶことができます。
それは、将来管理職になるかどうかに関係なく、教師としての幅を広げてくれる経験になると思います。

10.自身の教師としての在り方を深掘りする

そして最後に、自分がどのような教師でありたいのかを考え続けることです。
管理職になるかどうかは、ずっと先に決めればよいことかもしれません。
しかし、自分が何を大切にして教師を続けたいのかは、若い頃から考えておいた方がいいと思います。
子どもとどう関わりたいのか。
どのような授業をしたいのか。
どのような職員室で働きたいのか。
学校をどのような場所にしたいのか。
その問いを持って働くことが、将来の選択肢を広げていきます。

11 親友・同士と呼べる真の信頼関係のある人とつながっていくこと

十点目は、ネットワークを広げておくことです。
ただし、ここで言うネットワークとは、名刺を交換した人数を増やすことではありません。
SNSでつながっている人を増やすことでもありません。

大切なのは、困ったときに相談できる関係、そして相手が困ったときにこちらも力になろうと思える関係を少しずつつくっておくことです。

学校の仕事は、一人では抱えきれないことがあります。
授業のこと。
子ども理解のこと。
保護者対応のこと。
学級経営のこと。
学校組織のこと。
若い頃は、自分の学校の中だけで何とかしようと考えがちです。
もちろん、自校の同僚や管理職に相談することは大切です。
しかし、同じ学校の中だけでは、見え方が限られることもあります。
外の人と話すことで、「そういう考え方もあるのか」と視野が広がることがあります。

できれば、自校だけでなく、他校の先生ともつながっておくとよいと思います。
同じ市内の先生。
研修で出会った先生。
研究会で知り合った先生。
前任校で一緒に働いた先生。
そうした人との関係は、後になって大きな支えになることがあります。
学校が違えば、文化も違います。
同じ課題でも、別の学校では違う方法で取り組んでいることがあります。
その違いを知ることは、自分の学校を見る目を広げてくれます。

さらに言えば、全国の先生とつながることにも意味があります。
地域が変われば、学校の課題も変わります。
小規模校の悩み。
大規模校の悩み。
都市部の課題。
地方の課題。
ICT活用、不登校支援、授業改善、校内研修、学校組織づくり。
全国の実践に触れることで、自分の学校だけを基準に考えなくなります。
管理職という選択肢を考えるなら、この「自分の学校だけで考えない感覚」はとても大切です。

また、同業だけでなく、他業種の人とつながることも大切だと思います。
学校の中にいると、学校の常識が当たり前になります。
しかし、企業、福祉、医療、行政、地域活動、NPOなど、他の世界には別の考え方があります。
会議の進め方。
組織のつくり方。
人材育成の考え方。
情報発信の方法。
困っている人への支援の仕方。
他業種の人と話すことで、学校の外から学校を見る視点が得られます。

ただし、ネットワークは表面上の関係だけでは意味がありません。
「知っている人が多い」ことと、「信頼できる人がいる」ことは違います。

本当に大切なのは、日頃から誠実に関わることです。
相手の話を大切に聴く。
自分が助けてもらったら感謝を伝える。
自分にできることがあれば、相手の力になる。
都合のよいときだけ頼るのではなく、普段から関係を育てる。
そうした積み重ねが、本当の信頼関係につながります。

困ったときに相談できる人がいることは、大きな安心になります。
一人で考えていると、問題が必要以上に大きく見えることがあります。
別の人に話すだけで、整理されることがあります。
違う立場の人から見てもらうことで、自分の思い込みに気付くこともあります。
管理職になれば、なおさら一人で抱え込まない力が必要になります。
その土台は、若い頃から少しずつつくっておくことができます。

ネットワークを広げるとは、人を利用することではありません。
自分も誰かに支えられ、誰かを支える関係をつくることです。
相談できる相手がいる。
意見を聞ける相手がいる。
自分とは違う世界を見せてくれる相手がいる。
そして、自分も相手に何かを返そうとする。
そうした関係があると、教師としての視野は広がります。

初任校・2校目のうちから、無理に人脈を広げようとしなくてもよいと思います。
ただ、出会った人との関係を大切にすることです。
表面上のつながりではなく、困ったときにお互い助け合える関係を少しずつ育てることです。
その積み重ねが、いつか自分を支え、学校を支える力になっていくのだと思います。

<最後に>

将来どの道を選ぶにしても、初任校・2校目での過ごし方は大切です。
若い時期に、教師としての土台を丁寧につくっておくこと。
それが、いつか管理職という選択肢を考えるときにも、自分を支えてくれるのだと思います。

管理職(校長・教頭)になるかどうか迷っている方に向けて、書籍を出版予定です。出版日や書籍のタイトル等が決まれば、ブログやXでお伝えします。

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