中学生の勉強法について先生が生徒に話しておくこと

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1.予習と復習ついての基本的な考え方

「予習と復習、どちらが大事か」
これも、中学校教師なら、答えられなければなりません。
「得意不得意」「教科」により違ってきます。
中学生の場合、教科書に書いていることを自分一人の力で理解していくのは、難しいことです。
しかしながら、得意な教科(こだわりのある教科)については、
「自分はこの授業だけは余裕をもって聞きたい。積極的に授業で発言もしたい」という場合は予習をさせてもよいでしょう。
ただ、予習するのに、極端に時間がかかってしまい、他の教科に影響を与えるのであれば、考え直さなければなりません。
また、何もせずに授業を受けたら分からないけど、国語で教科書を読んでおくと授業が理解できるなら、そのようにアドバイスしてもよいでしょう。
そういう教科が一つもないという場合は、復習を中心に勉強していきましょう。
次に教科による特性です。
国語・社会などは、教科書を読むと理解できる生徒もいます。
したがって、軽く読ませるくらいはさせてもいいでしょう。
英語や数学は、その内容を理解する前に知っておくべき内容があり、力のない子どもには特に難しいと言えます。
理科は、 2分野の「植物」、「動物」、「生物」の単元については、教科書を読めば理解できる範囲があるかもしれません。
しかし、実験や観察をする前に結果を知ってしまうことになります。
理科は、実験や観察を予想することにより、本物の力が伸びる教科です。
苦手すぎるので、結果を見ておかないと、本当に分からないという以外は、予習をしない方がよいでしょう。
復習中心に勉強していくのが基本です。
予習させる場合はその内容を慎重に考えなければなりません。

2.量と質についての基本的な考え方

「時期」、「得意不得意」、「教科」により、バランスを考えてあげなければなりません。
テスト直前は、問題を解く量を増やさなければなりません。
今まで取り組んだことのある問題を速いスピードでやっていきます。
できるだけ多くのことを暗記しておくためです。
テスト直前でない場合、得意教科については、質を中心に指導します。
例えば数学なら、あるパターンを教えた後、やや難しい問題をヒントを少なくして、時間をかけて解かします。
社会、理科の 2分野、国語の漢字などの暗記事項がたくさんある教科(単元、部分)については、量を中心に指導します。
教える側が、
「じっくり時間をかけて考える時間」
なのか、
「スピードをあげて、量をどんどんこなしていく時間」
なのかを判断しなければなりません。
量と質のバランスは、指導する側がしっかりイニシアチブをとってコントロールしていきましょう。

3.繰り返し学習することの重要さを伝える方法

記憶は繰り返すことによって確実なものになります。
特に同じものを同じ順で繰り返すことが基本です。
1回目は時間がかかり大変です。
しかし、2回目、3回目と回を重ねるごとに繰り返すスピードは速くなっていきます。
「同じものを繰り返し学習する」というと、大変な努力が必要なように聞こえるかもしれません。
しかし、実際には似たものを2冊学習しようとするよりも、かかる時間ははるかに少なく、効果は絶大なのです。
そして、このようにして得られた知識も、今後の学習の思考場面で役立つのです。
また、記憶した直後に、しない方がよいこととして、
「テレビを見る、友達としゃべる(頭に刺激を与えること)」があります。
覚えた直後は、脳に過度な刺激を与えることはよくありません。
友だちとしゃべって興奮したりすると、せっかく苦労して覚えたものが台無しになります。
覚えた直後は、リラックスする、寝るなどして時間をおいてください。

4.重要用語などを覚える時の方法

家庭教師なら、暗記する方法をたくさん知っておかなければなりません。
・読む(大きな声で、小さな声で、黙読で、など)
・書く(いらない紙に大きく、必要な紙にまとめながら丁寧に、など)
・カードを使う(大きなカード、小さなカード、など)
・壁に貼り付ける
・友達と問題を出し合う。
・友達に説明する。
ポイントは、見る、聞く、書く、話す、イメージするという作業を多くすることです。
中学生に合わせた方法を選びましょう。

5.効果的な復習のタイミング

人は覚えたことを忘れていきます。
その忘れていくようすを表したのが、エビングハウスの忘却曲線です。
12時間後には、暗記したことを半分近く忘れているのです。
自分の苦手な教科になるとさらに忘れやすくなります。
復習(覚えた内容のチェック)が、いかに大切かがわかります。
復習の効果的なタイミング・方法についても考えていかなければなりません。
学校の授業の内容などを復習するときの効果的なタイミングは、習った日の夜になります。
一番良い復習のタイミングは 、やった内容を忘れる直前(やった内容を理解しているうち)です。
となると、「その日の夜」または「次の日の朝」になります。
現実的に次の日の朝は不可能です。
だから、その習った日の夜がよいのです。
その日のうちに復習すると、授業のようすも細かく思い出せるのです。

6.時代遅れの勉強法は伝えない

自分の学生時代の勉強方法や大人の勉強方法でやらせてはいけません。
成績が優秀だった人が陥る失敗です。
例えば、次のことを強く指導することです。
・朝30分早く起きて、昨日の復習をする
・社会に強くなるために新聞を毎日読む
・学校の休み時間は、次の授業の内容を確認する
・天声人語を写す
朝30分、早く起きる習慣をつけるには、相当な精神力が必要です。
新聞を読んだら、分からないことだらけです。
学校の休み時間は、大切な友達と楽しく過ごすための大事な時間です。
天声人語を写すのに何時間かかるのでしょうか?
写して、どのような力を育みたいのでしょうか。
大人にだって難しいのです。

7.睡眠時間は何時から何時までがいいか

中学生に必要な睡眠時間は、7時間~8時間です。
午後10時~11時の間に寝て、午前6時~7時に起きるのが理想です。
しかし、実際はかなり難しいでしょう。
最低限、次の時間を守るように指示をします。
・寝る時間:12時までに
・起きる時間:7時までに
・睡眠時間:7時間以上
個人差がありますが、睡眠時間が短い子どもは「頭の体力」がありません。
頭の体力とは、集中力、聞く力、暗記力、継続力など、勉強していくうえで、必要な力のことをさします。
学校の午前中の授業で極端に眠たくなる場合は要注意です。
特に、中3になると、この体力が影響してきます。
11月頃になると、息切れしてしまう子どもが出てくるのです。
私立高校を判断する材料になる実力テストで結果を残せない子どももいます。
入試は短期決戦ではなく、長期決戦なのです。
こうならないためにも、普段から睡眠時間の大切さについて話してあげなければなりません。
元気な中学生は、聞いてみると、ほとんど11時就寝、7時過ぎ気象でした。
ただし、例外もあります。
中学1年生や中学2年生で、今までまったく勉強しなかった生徒が、「直前だけ勉強する」場合があります。
その時は、やらせてあげてもいいでしょう。
試験後に、しっかり振り返りをさせてあげたらいいのです。
また、「寝る前にしておくこと」、「してはいけないこと」があります。
寝る前は体も心もクールダウンさせなければなりません。
体も心も活発な状態では、良い睡眠をとることができません。
中学生によくある例として、寝る直前に
・友達と携帯で話したり、メールをする
・携帯や pcのゲームに熱中する
・TVを見る
・よくかまずに大食いする
(消化のためにエネルギーを使い、体を休めるためのエネルギーが少なくなる)
などがあります。
これはよくありません。
徐々に少なくなるよう、計画してあげましょう。
また、寝る場所は、
・静かな場所
・暗い場所
である必要があります。

8.スランプになったらどう対応するか

成績の伸びない時期がやってきます。
子どもは焦って勉強に自信をなくします。
エネルギーもなくなります。
泣き出すことだってあります。
スランプで落ち込んでいる子どもには、
「スランプなしで高校に合格した人を今まで見たことがない」
「成績は階段状に上がっていく」
「頑張っている人は、スランプや挫折を経験する」
ことを伝えます。
この時にやることは決まっています。
今までやってきた「できるようになった問題」を繰り返しやっていくのです。
不安になり、違う問題集や勉強法を試したくなるのですが、そこは我慢させます。
どんどんできないことが増え余計に焦ります。
悪循環です。
子どもと同じように焦ってはいけません。
指導者は、落ち着いて、やるべきことを指示しましょう。

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