「学級通信を書きたいけれど、何を書けばよいのか分からない」
「学級便りを作る時間がない」
「4月の創刊号に、どのような内容を載せればよいのか迷っている」
「生徒の写真や名前を、どこまで掲載してよいのか分からない」
「紙で配るべきか、デジタルで配信するべきか判断できない」
中学校で学級担任をすると、学級通信について考える機会があります。
学級通信は、学校での学びや生活の様子、学級担任の考え、今後の予定などを生徒や家庭へ伝える方法の一つです。
ただし、学級通信は、必ず発行しなければならないものではありません。
発行回数が多いほど優れた学級経営になるわけでもありません。
学校と家庭との情報共有ができるのであれば、紙の学級通信という形式だけにこだわる必要はありません。文部科学省も、家庭との情報共有が実現できれば、「学級通信」の形式に限定する必要はないという考え方を示しています。
大切なのは、誰に、何を、何のために伝えるのかを明確にすることです。
この記事では、中学校の学級通信・学級便りを、短時間で正確に作成するための基本を26のポイントに分けて解説します。
4月の第1号、学級通信の題名、文章の書き方、レイアウト、写真や生徒作品の掲載、個人情報、著作権、デジタル配信、生成AIの活用まで、現在の学校現場に合わせて整理します。
- 1.学級通信を発行する目的を決める
- 2.学級通信を発行するかどうかから考える
- 3.読者を具体的に考える
- 4.学校と学年の方針を確認する
- 5.発行回数を目標にしない
- 6.学級通信の題名は分かりやすさを優先する
- 7.記事の見出しは内容が伝わるものにする
- 8.4月の第1号には基本情報を載せる
- 9.学級通信の基本構成を決めておく
- 10.一つの号にテーマを詰め込みすぎない
- 11.抽象的な評価ではなく、具体的な姿を書く
- 12.事実と担任の解釈を分ける
- 13.学級通信を生徒指導の道具にしない
- 14.否定的な情報を隠さず、扱い方を考える
- 15.全員の名前を掲載することを目標にしない
- 16.生徒の写真は掲載目的と配布範囲を確認する
- 17.生徒の作文や作品にも著作権がある
- 18.インターネット上の画像やイラストを安易に使わない
- 19.紙とデジタルの特徴を理解して選ぶ
- 20.デジタル配信は読みやすいPDFにする
- 21.レイアウトは一度決めたら使い回す
- 22.文章は結論から書く
- 23.一文を短くし、主語を明確にする
- 24.発行前に事実と個人情報を確認する
- 25.生成AIは「たたき台」と確認に使う
- 26.かけた時間と効果を定期的に見直す
- 学級通信を短時間で作成する手順
- 学級通信の文章例
- 学級通信についてよくある質問
- 学級通信は「たくさん書くもの」から「必要なことを正確に伝えるもの」へ
- 参考資料
1.学級通信を発行する目的を決める
最初に考えるのは、学級通信を何号発行するかではありません。
学級通信によって、何を実現したいのかを考えます。
目的の例としては、次のようなものがあります。
・学校での学習や生活の様子を家庭へ伝える
・学級で大切にしている考えを共有する
・行事や学習に取り組む生徒の姿を伝える
・今後の予定や準備物を分かりやすく知らせる
・生徒自身が学級の成長を振り返る
・家庭での会話のきっかけをつくる
目的が曖昧なまま発行すると、担任の日記や感想文になったり、予定を並べただけの連絡文書になったりします。
「家庭に何を知ってもらうための通信なのか」を一文で説明できるようにします。
2.学級通信を発行するかどうかから考える
学級通信は、学級経営の必須条件ではありません。
学校連絡システム、学年通信、学校だより、保護者向けアプリ、懇談、学校ホームページなど、情報を伝える手段は複数あります。
学年通信ですでに十分な情報が届いている場合、学級通信で同じ内容を繰り返す必要はありません。
反対に、学年通信では伝えにくい日常の学びや学級の成長を伝えたい場合には、学級通信が有効です。
「以前の担任が毎週発行していたから」という理由だけで始めないことです。
学校全体の情報発信との役割分担を確認します。
3.読者を具体的に考える
学級通信の主な読者は、保護者と生徒です。
ただし、保護者と生徒では、知りたい情報や読み方が異なります。
保護者が知りたいのは、学校でどのような学習や活動をしているのか、子どもがどのように過ごしているのか、今後どのような予定があるのかという情報です。
生徒にとっては、自分たちの取組や成長を振り返り、学級の一員であることを感じられる内容が重要です。
担任が書きたいことではなく、読者にとって必要な情報を中心にします。
4.学校と学年の方針を確認する
学級通信を個人の判断だけで発行しないことが重要です。
学校によっては、発行前に管理職や学年主任の確認を受ける決まりがあります。
また、写真、氏名、作品、行事予定、成績、提出物などの掲載について、学校独自のルールが設けられている場合があります。
最初に確認する項目は次のとおりです。
・発行前の確認者
・発行できる頻度
・配布方法
・写真や氏名の掲載基準
・生徒作品や作文の掲載基準
・デジタル配信の方法
・保存場所と保存期間
・訂正が必要になった場合の手順
個人情報の取扱いは、個々の教師の感覚ではなく、設置者や学校が定める利用目的、管理規程、情報セキュリティポリシーに基づいて判断します。公立学校では、学校が扱う児童生徒情報について、安全管理措置を含む組織的な管理が求められます。
5.発行回数を目標にしない
100号、200号と多く発行する実践もあります。
しかし、発行数そのものを目標にすると、教師の負担が増え、内容の確認が不十分になるおそれがあります。
週1回、月2回、行事後だけ、学期に数回など、目的と業務量に合った頻度を決めます。
発行予定日を厳密に固定する必要もありません。
重要な情報があるときに、短く正確に発行する方法もあります。
学級通信を続けるためには、担任が無理なく作成できることが前提です。
6.学級通信の題名は分かりやすさを優先する
学級通信の題名には、学級で大切にしたい言葉や、目指す姿を使うことができます。
ただし、意味が分かりにくい英語、難しい四字熟語、担任にしか意図が分からない言葉は避けます。
題名の例としては、次のようなものがあります。
・つながる
・一歩
・結
・挑戦
・日々前進
・○年○組通信
・○年○組だより
最も分かりやすいのは、「○年○組通信」や「○年○組だより」です。
独自の題名を付ける場合も、表紙や冒頭に「○年○組学級通信」と併記すると、文書の性質が伝わります。
7.記事の見出しは内容が伝わるものにする
「体育大会について」「校外学習を終えて」という見出しだけでも間違いではありません。
しかし、記事の中心が分かる見出しにすると、読み手が内容をつかみやすくなります。
例えば、次のようにします。
・体育大会で見えた、声をかけ合う学級の姿
・校外学習で生徒が考えた「公共の場での行動」
・定期テスト後に大切にしたい三つの振り返り
・合唱練習で変わり始めたこと
見出しは、読み手をあおるための広告ではありません。
「驚きの結果」「絶対に読むべき」といった大げさな表現や、内容を隠して興味だけを引く表現は避けます。
8.4月の第1号には基本情報を載せる
4月の創刊号は、学級通信の目的と担任の基本的な考えを伝える号です。
一般的には、次の内容を掲載します。
・担任の氏名と挨拶
・学級通信を発行する目的
・学級で大切にしたいこと
・学校や家庭との連絡方法
・当面の予定
・提出物や準備物
・個人情報に関する注意
クラス名簿、詳しい座席表、班編成などをそのまま家庭へ配布することについては、学校の個人情報取扱方針を確認します。
また、担任が一方的に学級目標や細かなルールを決め、創刊号で確定事項として示すのではなく、生徒と話し合ってつくる部分を残すことも大切です。
4月の第1号の文章例
今年度、○年○組の担任を担当します○○です。
この学級通信では、学校での学習や活動の様子、学級で大切にしていること、今後の予定などをお伝えします。
生徒一人一人が安心して学び、自分の考えを表現し、互いの違いを尊重できる学級を、生徒と一緒につくっていきたいと考えています。
学級通信の発行は不定期とし、必要な情報は学校連絡システムや学年通信と併せてお知らせします。
一年間、どうぞよろしくお願いいたします。
9.学級通信の基本構成を決めておく
毎回ゼロから構成を考えると、作成に時間がかかります。
基本構成を固定すると、短時間で作成できます。
通常号の基本構成
1.号数・発行日
2.中心となる記事
3.生徒の学びや活動の様子
4.今後の予定や連絡
5.必要に応じて振り返りや家庭への問いかけ
全ての号へ写真、予定、担任の感想を入れる必要はありません。
伝える内容に応じて項目を減らします。
10.一つの号にテーマを詰め込みすぎない
学級通信に多くの内容を入れると、どの記事が重要なのか分からなくなります。
一つの号で最も伝えたいことを一つ決めます。
例えば、校外学習後の号であれば、
・時間を守ったこと
・班で協力したこと
・施設で学んだこと
・公共の場での行動
を全て詳しく書くのではなく、中心を一つに絞ります。
ほかの内容は短い箇条書きにするか、次号へ分けます。
11.抽象的な評価ではなく、具体的な姿を書く
「みんな、よく頑張りました」
「素晴らしい学級になりました」
だけでは、何がよかったのか伝わりません。
具体的な行動や変化を書きます。
抽象的な表現
体育大会の練習を、みんなで頑張りました。
具体的な表現
練習開始時には指示を待っていた生徒たちが、最終週には、用具を準備する人、動きを確認する人、欠席者へ伝える人に自然に分かれて動くようになりました。
具体的に書くことで、生徒も自分たちの成長を振り返ることができます。
ただし、教師の望む行動へ誘導するために、生徒を過度に褒めたり、特定の生徒を模範として利用したりしないようにします。
12.事実と担任の解釈を分ける
学級通信では、担任の感想が事実のように書かれることがあります。
例えば、
「学級全員の心が一つになりました」
「誰もが楽しんでいました」
という表現は、全員の気持ちを確認していなければ、担任の解釈です。
次のように、確認できた事実を中心に書きます。
・振り返りには「友達の声かけが助かった」という記述が複数ありました
・練習後に、自分たちで改善点を話し合う姿が見られました
・当日は、全員が決めた役割に参加しました
生徒の気持ちを担任が代弁しすぎないことが重要です。
13.学級通信を生徒指導の道具にしない
学級通信で、特定の生徒や家庭を遠回しに批判してはいけません。
「一部の人が提出期限を守っていません」
「人の迷惑を考えない行動が見られます」
「家庭でもしっかり指導してください」
と書くと、誰のことか推測される場合があります。
個別に対応すべき問題は、個別に伝えます。
学級全体へ伝える必要がある場合は、個人を責めるのではなく、事実、理由、今後の対応を説明します。
書き換え例
変更前:
忘れ物をする人が多く、困っています。家庭でも確認してください。
変更後:
学習用具がそろわず、授業開始後に準備する場面が見られました。次週から、教室にも準備物を掲示します。生徒自身が前日に確認できるよう、家庭でも必要に応じて声をかけてください。
14.否定的な情報を隠さず、扱い方を考える
学級通信は、よい出来事だけを並べる広報紙ではありません。
学級で課題が生じている場合、必要な情報を家庭へ伝えることもあります。
ただし、深刻な事故、いじめ、生徒指導事案、個別のトラブルは、学級通信だけで伝えるものではありません。
管理職や関係教職員と対応を確認し、必要に応じて個別連絡や学校としての文書を用います。
学級通信で扱う場合は、
・確認できた事実
・学校が行っている対応
・学級全体で確認したこと
・家庭へ依頼すること
を区別して書きます。
15.全員の名前を掲載することを目標にしない
以前は、「一定期間に全員の名前を通信へ載せる」という実践もありました。
しかし、生徒の名前を掲載すること自体を公平性の指標にする必要はありません。
名前が通信に載ることを喜ぶ生徒もいれば、注目されることを負担に感じる生徒もいます。
氏名を掲載するときは、学校の方針、掲載目的、配布範囲を確認します。
名前を出さなくても、
「清掃後に机の位置を整えていた生徒がいました」
「話合いでは、異なる考えをつなぐ発言がありました」
と、学級の姿を伝えることはできます。
16.生徒の写真は掲載目的と配布範囲を確認する
顔が判別できる写真は、個人を識別できる情報です。
学校や設置者が定める利用目的、写真掲載の取扱い、保護者への説明、配布範囲を確認します。
写真を掲載するときは、次を確認します。
・掲載する必要があるか
・本人が嫌がっていないか
・掲載が認められている生徒か
・名札や掲示物から氏名が分からないか
・ほかの生徒が意図せず写っていないか
・位置情報や家庭情報につながるものが写っていないか
・デジタル配信後に転送される可能性を考えているか
写真を掲載しなくても、文章、図、成果物の一部などで活動を伝えることはできます。
「写真が多いほど読まれる」と考えず、必要性を判断します。
17.生徒の作文や作品にも著作権がある
生徒が書いた作文、感想文、詩、絵、写真などにも、創作性があれば著作権があります。
授業で提出された作品だからといって、教師が自由に通信へ掲載し、文章を変更できるわけではありません。生徒作品を公表するときは、掲載目的を説明し、本人の意思、氏名表示、内容の改変、プライバシーへ配慮する必要があります。
生徒の作文を掲載するときは、
・掲載することを事前に伝える
・掲載を望まない選択を認める
・必要以上に修正しない
・修正する場合は本人と確認する
・氏名を掲載するか確認する
・家庭事情などの私的情報が含まれていないか確認する
という手順を踏みます。
18.インターネット上の画像やイラストを安易に使わない
検索結果に表示された画像を、そのまま学級通信へ貼り付けることはできません。
「無料」「フリー素材」と書かれていても、利用できる範囲は素材ごとに異なります。
学校での使用。
印刷物への掲載。
デジタル配信。
加工。
クレジット表記。
これらが認められているか、利用規約を確認します。
授業中に必要な範囲で著作物を利用できる場合があっても、学級通信への掲載に同じ例外が必ず適用されるわけではありません。学校教育における著作物利用の例外は、「授業の過程」に必要な範囲などの条件があります。
自作の図、学校が契約している素材、利用条件が明確な素材を使うのが安全です。
19.紙とデジタルの特徴を理解して選ぶ
紙の学級通信には、手元で一覧しやすく、家庭内で共有しやすいという特徴があります。
一方で、印刷、仕分け、配布に時間がかかり、生徒が家庭へ渡さない場合があります。
デジタル配信には、印刷が不要で、家庭へ直接届けやすいという特徴があります。
一方で、端末の画面では読みにくい場合や、通知が多く埋もれる場合、転送や保存が容易であるため配布範囲を管理しにくい場合があります。
文部科学省は、学校と家庭との連絡手段のデジタル化を、業務負担の軽減と情報共有の改善につながる取組として示しています。
学校が承認している方法を使い、読者と内容に応じて選びます。
20.デジタル配信は読みやすいPDFにする
Wordファイルのまま配布すると、使用する端末やアプリによってレイアウトが崩れる場合があります。
編集を求めない文書は、原則としてPDF形式にすると表示が安定します。
デジタル配信用の学級通信では、次を意識します。
・スマートフォンでも読める文字サイズにする
・一段組を基本にする
・文章を短いまとまりに分ける
・色だけで情報を区別しない
・写真や画像を必要以上に高画質にしない
・ファイル名に学年、組、発行日を入れる
・学校が認める連絡システムから配信する
ファイル容量を一律に「何MB以下」と決めるのではなく、学校のシステム上限、画質、家庭での通信環境を踏まえて調整します。
21.レイアウトは一度決めたら使い回す
毎号異なるデザインにすると、作成時間が増えます。
基本となるテンプレートを一つ作り、継続して使用します。
簡易テンプレート
学級通信名
○年○組 第○号
発行日
見出し
中心となる本文
今週の学び・学級の様子
今後の予定
連絡事項
発行者
装飾は最小限で構いません。
フォント、見出しの位置、余白、記事の幅を固定します。
レイアウトを使い回すことで、教師は文章の内容と確認に時間を使えます。
22.文章は結論から書く
忙しい保護者が、全ての文章を最初から最後まで読むとは限りません。
最も重要なことを先に書きます。
基本の順番
1.何があったか
2.そこから何が分かったか
3.今後どうするか
4.家庭へ伝えたいこと
文章例
校外学習では、全ての班が集合時刻までに活動を終えました。
特に、予定より見学に時間がかかった班が、自分たちで順番を入れ替え、時間を調整していたことが印象的でした。
今回の経験を、次の宿泊行事での班活動にもつなげます。
家庭でも、印象に残った場面について話を聞いていただければと思います。
長い前置き、抽象的な格言、担任の個人的な思い出から始めるより、中心となる情報を先に示します。
23.一文を短くし、主語を明確にする
一文が長くなるほど、内容が伝わりにくくなり、誤解も生じやすくなります。
一文には、一つの内容を書くことを基本にします。
変更前
体育大会では生徒たちがこれまでの練習の成果を発揮し、学級全員で協力して取り組む姿が見られ、それぞれが自分の役割を果たしたことで、非常に素晴らしい行事になりました。
変更後
体育大会では、練習してきた動きを発揮できました。
用具の準備、応援、係活動など、それぞれが自分の役割を担いました。
競技だけでなく、互いに支える姿が見られた一日でした。
「誰が」「何をしたのか」が分かる文章にします。
24.発行前に事実と個人情報を確認する
誤字よりも重大なのは、日付、時間、持ち物、氏名、行事予定などの誤りです。
発行前には、次の順番で確認します。
1.日時、曜日、場所
2.提出期限と準備物
3.氏名と固有名詞
4.学校行事予定との整合
5.写真に写っている情報
6.生徒や家庭を特定する記述
7.著作権と素材の利用条件
8.誤字脱字
予定は、必ず学校の最新の予定表と照合します。
第三者の確認が必要な文書は、管理職、学年主任、担当者など、学校が定める確認者へ提出します。
25.生成AIは「たたき台」と確認に使う
生成AIを、学級通信の見出し案、文章構成、表現の整理、誤字の確認などに活用することは考えられます。
ただし、学校が認めていない生成AIへ、生徒の氏名、写真、成績、家庭状況、生徒指導情報、具体的な作文などを入力してはいけません。
文部科学省は、各種お便りや通知文のたたき台作成を校務での活用例として示す一方、個人情報、著作権、情報セキュリティを確保し、教職員が最終的に内容を判断する必要があるとしています。
生成AIを使う場合は、次を守ります。
・教育委員会や学校の方針を確認する
・個人情報を入力しない
・実在する生徒の出来事をそのまま入力しない
・生成された事実や引用を確認する
・偏った表現や不適切な表現がないか確認する
・最終的な文責は発行者が負う
・AIが作った文章をそのまま配信しない
生成AIは、担任が生徒を観察し、自分の言葉で伝えることの代わりにはなりません。
26.かけた時間と効果を定期的に見直す
学級通信を発行するために、毎回長時間の残業が必要になっているのであれば、発行方法を見直す必要があります。
次の点を振り返ります。
・家庭へ必要な情報が届いているか
・ほかの文書と内容が重複していないか
・生徒や保護者に読まれているか
・学級経営や家庭との連携に役立っているか
・作成に何分かかっているか
・発行頻度を減らせないか
・学年で共同作成できないか
・デジタル配信へ変更できないか
・写真や装飾を減らせないか
学校における働き方改革では、従来の業務をそのまま続けるのではなく、業務の目的や効果を確認し、連絡手段のデジタル化などによって負担を軽減することが重視されています。
学級通信を発行し続けること自体を目的にしてはいけません。
必要性が薄れた場合は、回数を減らす、学年通信へ統合する、別の情報共有方法へ変更するという判断も必要です。
学級通信を短時間で作成する手順
学級通信を効率よく作るには、次の順番で進めます。
1.今号で最も伝えたいことを一つ決める
2.見出しを仮に付ける
3.事実を箇条書きにする
4.結論から文章にする
5.必要な予定と連絡を加える
6.写真や作品の必要性を判断する
7.事実、個人情報、著作権を確認する
8.管理職や学年主任など必要な確認を受ける
9.PDF化または印刷する
10.学校が定める方法で配布する
文章を書きながらレイアウトを考えると時間がかかります。
最初に内容を書き、最後に決められたテンプレートへ入れます。
学級通信の文章例
行事後の文章例
合唱コンクールを終えました。
本番では、練習してきた強弱や言葉の伝え方を意識して歌うことができました。
結果だけでなく、練習の進め方にも変化がありました。
初めは一部の生徒が意見を出していましたが、最後の一週間には、パートごとに改善点を伝え合う姿が見られました。
振り返りには、「自分の声だけでなく、周りの声を聴くことが大切だと分かった」という記述もありました。
今回の経験を、今後の学級活動にも生かしていきます。
定期テスト後の文章例
定期テストの返却が始まりました。
点数だけでなく、どのような学習方法が結果につながったのかを振り返っています。
生徒には、次の三点を確認するよう伝えました。
・理解できていた内容
・間違えた理由
・次回までに変える学習方法
家庭でも、点数だけを尋ねるのではなく、「どのような準備をしたのか」「次は何を変えるのか」という点について話を聞いていただければと思います。
学級の課題を伝える文章例
授業開始時の準備について、学級で確認しました。
最近、チャイムが鳴ってから教科書や端末を準備する場面が増えています。
授業の最初に学習課題を確認できるよう、次週から教室に準備物を掲示し、終礼でも翌日の持ち物を確認します。
生徒自身が準備できるようにすることを基本としながら、必要に応じて家庭でも予定を確認してください。
学級通信についてよくある質問
毎週発行した方がよいですか
毎週発行する必要はありません。
目的、内容、学校の方針、教師の業務量を踏まえて決めます。
月1回でも、必要な内容が正確に伝わっていれば役割を果たします。
学級通信には、生徒の名前を多く載せた方がよいですか
名前を多く載せることを目標にする必要はありません。
氏名の掲載について学校の方針を確認し、本人の負担や配布範囲へ配慮します。
写真を載せれば読まれやすくなりますか
写真によって活動が伝わりやすくなる場合はあります。
ただし、読みやすさだけを理由に写真を増やさず、掲載目的、個人情報、本人の意思、配布範囲を確認します。
手書きとパソコン作成のどちらがよいですか
どちらでも構いません。
読みやすさ、修正のしやすさ、保存、再利用、学校の環境を踏まえて選びます。
手書きであること自体や、パソコンで作成すること自体に教育的な優劣はありません。
学級通信を読んでもらえないときはどうしますか
文章を短くする。
重要なことを最初に書く。
見出しを具体的にする。
ほかの文書との重複を減らす。
配信方法を見直す。
これらを行います。
読まれない理由を、生徒が家庭へ渡さないことだけに求めないことが大切です。
学級通信を出さないと、保護者との信頼関係が築けませんか
学級通信だけで信頼関係が決まるわけではありません。
日頃の電話、面談、学校連絡システム、授業参観、学年通信、学校だよりなどを通して、必要な情報を誠実に伝えることが重要です。
学級通信は「たくさん書くもの」から「必要なことを正確に伝えるもの」へ
学級通信は、生徒や家庭と学校をつなぐ有効な方法の一つです。
学級でどのような学びがあったのか。
生徒がどのように考え、行動したのか。
学校が何を大切にしているのか。
家庭に何を知ってもらいたいのか。
これらを具体的に伝えることができます。
一方で、発行回数や文章量を競う必要はありません。
生徒の名前や写真を多く載せることが、よい通信の条件でもありません。
目的を明確にする。
事実を具体的に書く。
個人情報と著作権を守る。
学校の方針に従う。
読みやすい形式で届ける。
教師が無理なく続けられる方法を選ぶ。
この基本を守ることが大切です。
学級通信を書くことが、教師の自己表現や長時間勤務の原因になるのではなく、生徒の学びを家庭へ正確に伝え、学校と家庭の対話を支える仕事になるようにしたいものです。
参考資料
・文部科学省「学級通信を通した家庭との情報共有」
・文部科学省「保護者へのお手紙」
・文部科学省「学校における働き方改革について」
・文部科学省「全国の学校における働き方改革事例集」
・個人情報保護委員会「個人情報保護法に関する基礎知識(教育委員会職員・公立学校の教職員向け)」
・文部科学省「教育データの利活用に係る留意事項」
・公益社団法人著作権情報センター「学校教育と著作権」
・文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン Ver.2.0」

