多くの先生が、新聞記事等で生徒に紹介したのではないでしょうか。
さて、春野もマララさんを切り口にした授業を創りました。
教材作成は、「旬な人物やネタを中学校で道徳授業にする方法~錦織圭選手を例に~」に基づいています。
1.道徳の内容項目
4 主として集団や社会とのかかわりに関すること
(10)世界の中の日本人としての自覚をもち,国際的視野に立って,世界の平和と人類の幸福に貢献する」
2.目標とする生徒の感想
・マララさんは勇気があるだけではない。
・考え方がしっかりしているだけではない。
・危険を顧みず、自分の置かれた環境を世界中に訴えている。
・パキスタン人の自覚をもっている。
・普通なら、「やめてほしい」と周囲に訴えるだけにとどまる。
・しかし、そうではない。その考えが素晴らしい。
・今自分にははっきり言って、何もできることはない。
・しかし、人生のうちで、自分にも世界の平和について、人類の幸福のために考える時が必ずくる。
・その時がきたら、自分が何かできるチャンスが来たら、迷わず挑戦していきたい。
・判断のポイントは、「国際的視野」「世界の平和」「人類の幸福」。
・そのような視点をもって常に進路も選択していきたい。
3.留意点
Keynote(キーノート)など、パワポに限らないプレゼンテーションソフトでももちろんオッケーです。
なお、本記事は、マララ・ユスフザイさんスピーチの原文を参考にしています。
原文は、
Copyright (c) The Nobel Foundation, Stockholm, 2014
です。
また、日本語訳については、英語の苦手な春野が独自の解釈を入れながら訳したものです。
原文や関連の書物を見て、適宜追加訂正等をしてくださればと思います。
マララ写真の写真については、著作権上掲載できませんので、インターネットや新聞、書籍等の写真をご使用ください。
なお、インターネット上の写真は、「マララ 画像」と検索すれば探し出すことができます。
発問、答えさせ方などの授業の基本については、中学校 授業の基本技術・授業のネタのページの中学校の授業の基本 4つのチェックポイントなどをよろしければ参考にしてください。
パワーポイントのデータは、記事投稿日時点でのものです。
実施日により、適宜変更してください(年齢など)。
4.「ノーベル平和賞マララ・ユスフザイさんスピーチより」授業案
スクリーン1
T:誰の写真ですか。
T:分かった人は、手を挙げます。
(挙手した生徒を指名)
S:「マララさんです」
T:マララ・何さんなのか、言える人はいますか?
(指名)
S:「マララ・・・、ユスフザイさんです」
スクリーン2
T:そうです。その通りです。
T:マララ・ユスフザイについて知っていることを、ワークシートの(1)に書きます。
T:○○さん、どうぞ。
(列指名1列程度)
S:「ノーベル平和賞を受賞しました」
S:「17歳だったと思います」
S:「銃で撃たれた人です」
T:「他、ある人で言える人はいますか?」
(挙手した生徒を指名)
S:「パキスタン人です」
S:「本も書いています」
S:「学校を創ろうとしています」
T:たくさん出ましたね。
スクリーン3
1997年7月12日生まれ
(17歳)
パキスタン出身
サハロフ賞(2013年)
シモーヌ・ド・ボーボワール賞
ノーベル平和賞(2014年)
2012年10月9日、通っていた中学校から帰宅するためスクールバスに乗っていたところを銃撃される。頭部と首に計2発の銃弾を受けた。
パキスタンで「女性が教育を受ける権利」を訴える活動をしている
国際連合本部で演説し、銃弾では自身の行動は止められないとして教育の重要性を訴える
書籍
「武器より一冊の本をください」「わたしはマララ」など。
スクリーン4
マララ・ユスフザイさんは、先日のノーベル平和賞の授賞式で、スピーチしました。
一部抜き出します。
私が10歳の時、美しく観光で有名であるワストは、テロの場所へと変わりました。
400以上の学校が破壊されました。
罪のない人が殺されました。
私たちの誰もが苦しみました。
私たちの美しい夢は、悪夢となりました。
しかし、私の住んでいる世界が突然変わった時、私の優先順位も変わりました。
私には、2つの選択肢がありました。
1つ目は、黙ったまま殺されるのを待つことです。
そして2つ目は、( )から殺されることです。
私は2つ目を選びました。
( )に入る言葉を、ワークシートの(2)に書きます。
(列指名。正解の発表)
スクリーン5
T:どちらにしても、殺されると覚悟していたのです。しかし、マララ・ユスフザイさんは、自分の考えを言うことを決意しました。自分を考えを言えば、より命を狙われるかもしれません。より残酷な目にあうかもしれません。それでも、自分の考えを表明したのです。
T:マララ・ユスフザイさんは、なぜ自分の考えを表明したのでしょうか。
プリントの(3)に書きましょう。
(列指名)
S:「パキスタン人のため」「自分のため」「家族のため」「世界の子どものため」
S:「世界の平和のため」「世界にこのパキスタンの現状を知ってもらうため」
T:スピーチの内容を続けます。
※正解はないので、どの意見も基本的に、肯定して褒めながら進めていく。
スクリーン6
私と友人は、パキスタンで通学途中にイスラム過激派組織に襲撃されました。
でも、生きのびました。
彼らの銃弾は、勝つことができなかったのです。
私たちの声は、むしろ大きくなっていったのです。
私は、自分自身だけの話を語っているのではありません。
多くの少女の話を伝えているのです。
私は、学校に行けない6600万人の少女のうちの一人として皆さんに話しているのです。
スクリーン7
1.戦争するためにはそんなに「強気」になれるのに、( )をもたらすことには、なぜそんなに「弱腰」になってしまうのか。
2.銃を与えることはそんなに簡単にするのに、( )を与えることはなぜそんなに難しいのか。
3.戦車を作ることはそんなに簡単なのに、( )することはなぜそんなに難しいのか。
( )にあてはまる言葉をワークシートの(3)に書きます。
※列指名後、正解を発表する。列指名の発問は、「1.~3.の中で自分が発表できる部分を1つ選んで言います」でよいでしょう。
マララ・ユスフザイさんは、何を願ってこの1.~3.のメッセージを伝えたのでしょうか。
プリントの(4)に書きます。
(列指名)
S:「パキスタン人のため」「自分のため」「家族のため」「世界の子どものため」
S:「世界の平和のため」「世界にこのパキスタンの現状を知ってもらうため」「世界の子どもたちに教育を受けさせるため」
T:マララさんのスピーチを続けます。
スクリーン8
※クライマックスに迫っていきます。教師がいい声で、温かい声で、ややゆっくり読んでいきます。
だからみんなのために平等、平和、正義をもたらしましょう。それは、単に政治家や指導者だけのためではないのです。自分たち自身のために必要なのです。それは、私たちの義務です。
だから私たちは、行動しなければなりません。もう、これ以上待ってはいけないのです。
私は世界中の仲間たちの子どもに立ち上がるよう呼びかけます。
親愛なる姉妹兄弟たちよ、私たちが最後になる決心をした最初の世代になりましょう。
空の教室、失われる子ども、可能性のないこと・・・、これらのことを私たちと終わらせるのです。
スクリーン9
工場で働く少年少女が子ども時代に工場で働くことは、もう終わりにしましょう。
少女が結婚を若いころに無理やりさせられるのは、もう終わりにしましょう。
戦争でまだ幼い子どもの命が奪われるのは、もう終わりにしましょう。
教室が空のままになるのは、もうこれで終わりにしましょう。
犯罪の道や正しくない道へ少女を教育するのはもう終わりにしましょう。
子どもが学校に行けないのは、もう終わりにしましょう。
これらのことを終わりにしましょう。
私たちと共に。
そして、今ここでより良い世界をつくりましょう。
ありがとうございました。
スクリーン10
T:マララの願いは何でしょうか。プリントの(5)に書きましょう。
S:
「こどもたちが学校に行けること」
「子どもたちの平和」
「世界の平和」
「戦争がなくなること」
「よりよい世界をつくること」
スクリーン11
マララさんは現在も、
・学校に行けない世界の子どもたち
・戦争で不幸になっている世界の子どもたち
のために、活動を続けています。
皆さんの意見にもありましたが、それは自国だけのことだけを考えているのではありません。いつも「世界の子どもたちの幸せ」「世界の平和」のことを考えているのです。
今の皆さんには、話しが遠すぎて実感がわかないことかもしれません。できることは何もないかもしれません。
しかし、長い人生で考えた時、
「世界の平和」、「世界の人々の幸福」のために考える時が必ずきます。そんな時には、マララさんの考え方を思い出して、ほんの少しでもできることをしてほしい、あらたな挑戦をしてほしい、そう願っています。
今日の授業で、分かったこと、気づいたこと、感想を(6)に書きましょう。
5.「ノーベル平和賞マララ・ユスフザイさんスピーチより」授業素材(パワーポイント、ワードファイル)ダウンロード
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