「うーん、そういうことじゃないんだけどなー」
「えっ?ひょっとして僕って、流行りの聴く姿勢で聴いてもらっているだけ?」
「この先生、何を言っても、好きなことやったらいいとか、あなたは正しい、としか言ってくれないな・・・。本当はどう思っているか、アドバイスもらいたいのに・・・」
相談したのに、こんな感じで残念なことになってはいませんか?
「いいアドバイスをもらえない教師の共通点」と「それを解決する方法」を少しだけ書きました。
相談するくらいですから、おそらく「模範解答」はないのでしょう。
それでも「解決のための方法を本音でズバッと言ってほしい」場合は参考になさってください。
1.あと1歩の会話例
例を挙げて考えます。
相談する相手を、「授業力のある、信頼のおける年配のA先生」とします。
<相談したい内容>
・授業がどうしても騒がしくなる
・その理由を具体的に知りたい
こんな時に、どのように相談しますか。
これを次のように話し始めたら、一気に「聴く姿勢」モードへ突入し、相手は本音を言ってくれなくなるでしょう。
NG会話例————————————
相談する側(以降、B先生)
「今日の○○科の授業で、ずっと○○(生徒の名前)が授業中喋っているんですよ。で、注意をしたら、その時は静かになるんですけど、すぐまたうるさくなるんです。自分では静かにさせたいから、毅然と対応しているつもりなんですけど、悪循環なんです。本も読んでるんですけどね・・・。どうしたらいいですか?」
相談される側(以降、A先生)
「それはたいへんですね。先生、自分が授業中に話している内容を録音したことありますか?」
B先生
「いや、ないですけど・・・。」
A先生
「一度、録音してみたらどうですか。その後、もう一度それを聞いたら、うるさくなっている原因が分かるかもしれませんよ。」
B先生
「分かりました。そうしてみます。ありがとうございます!!!」
————————————
一見何も問題がなさそうに見えるこの会話ですが、A先生は言いたいことの半分も言えてないでしょう。
原因は、
・B先生は、A先生に本音を言ってほしいと伝えていない
・B先生は、A先生にどの程度の覚悟があるかが分からない
・A先生は、「言われたことに何か意味がある」と考えながら聞いていない
からです。
おそらくA先生は、言いたいことがあったのでしょう。
しかし、それをいきなり指摘したらいけない(傷つく)と感じ、それをB先生に気づかせようとして「録音とかしたことがありますか」と聞いたのです。
相談するくらいの相手ですから、きっとB先生の課題を分かっていたのです。
2.OK会話例
それを言ってほしかったのなら、次のような視点が必要です。
・本音を絶対に言ってほしいと伝えること
・どんなに厳しいことを言われても、受け入れる覚悟をしていると伝えること
・意見をもらった時、質問された時、言われたことにどんな意味があるか、頭をフル回転させて考えること
このような視点があれば、次のような会話に変わります。
OK会話例————————————
B先生
「今日の○○科の授業で、ずっと○○(生徒の名前)が授業中喋っているんですよ。で、注意をしたら、その時は静かになるんですけど、すぐまたうるさくなるんです。今日は、その理由をA先生にどうしても本音が聞きたくて質問しました。何を言われても受け入れる覚悟はできています。何が原因でしょうか。」
A先生
「それはたいへんですね。先生、自分が何を授業中話しているとか録音とかしたことありますか?」
B先生
「いや、ないですけど・・・。(僕の話し方とかに問題がありますか?ではなく)僕の話し方とかに問題がありますよね・・・。」
A先生
「ホントに、ズバッて言っちゃって大丈夫ですか?」
B先生
「(元気一杯の声で)大丈夫です。」
A先生
「じゃあ、言いますよ。B先生、授業中しゃべりすぎです。ずっと聞きっぱなしだったら、誰でも嫌になると思いませんか。」
B先生
(この時に、ずっとしゃべりっぱなしではないと思っていても、うなずく。ここで、「聴く姿勢」。メモも取る。)
「はい、そう思います。」
A先生
「だから、ずっとしゃべりっぱなしではなく、5回は変化を入れてください。」
B先生
(5回の内容を質問したくても、ここではしない。)
「なるほど。分かりました。(続いて、他にありますか?ではなく)他にもありますよね・・・。」
A先生
「そうですね。かなりハードルを上げて言うと、先生の声、音が高すぎるんですよ。だから、ずっとその調子で聞いていたら、イライラってする生徒もいるんじゃないですか。」
B先生
「・・・。うわー、痛い所つかれてます・・・。もっとありそうですね・・・。まずはここまでの部分を録音して直します。明後日結果報告します。あと・・・、最後に、A先生から見て僕がどうしても聞いておかなければならないことってありますか?」
A先生
「言っていいんですか?」
B先生
「お願いします。」
A先生
「B先生、人と話すとき、相手の目を見ていないでしょ。正確には、見ているふりをしているだけです。眼力って大事ですよ。しっかり鏡で練習してください。具体的な方法は・・・・」
————————————
と、こんな感じで続きます。
色を変えた部分がポイントです。
A先生が言いやすいように配慮をするのです。
またA先生は、B先生が落ち込まないか心配しています。
だから、「ハキハキ、元気に」会話しなければいけません。
こうやって聞いたアドバイスやヒントは、今後の教師人生に大きく影響するでしょう。