知的で強かな意見を言うための文の組み立て方

私は我慢なりません。「気が強い教師」「心無い教師」の影響で、「気の優しい」」「心ある」先生が自分の持っている力を十分発揮できない状況を。
そしてこれを打破するために、いつも以上に心を込めて記事にしました。
次のような先生はぜひ参考になさってください。
1.話す力、自己主張する力をつけたい先生
2.会議で意見を言いたいのに言えない(言わない)先生、アイデアを気の強い先生に潰されたことのある先生
3.身近にいる「2.」の先生に対して、何かアドバイスしたい先生
4.「心ある先生が、楽しく仕事をできる職員室」にしたい先生

<目次>
1.なぜ、自己主張が必要なのか
2.自己主張の基本

(1)心構え
(2)考え方
(3)準備
(4)目指すべきゴール
(5)決裂した場合
(6)パワハラやセクハラまがいのことを言われた場合
(7)1対1で話をしたい場合
3.見た目や言い方10の基本
4.実践「自己主張」

(1)自己主張する時の基本型
(2)想定場面
(3)YESの8つの言葉
(4)YESからBUTへとつなげるための9つのクッション言葉
(5)BUTの「4つの型と21の言葉」
—<1>質問型の7つの言葉
—<2>確認型の6つの言葉
—<3>提案(代替案)型の6つの言葉
—<4>依頼型の2つの言葉
(6)BUTで使ってはいけない22の言葉
(7)クロージングで使う4つの言葉
(8)想定場面の解答例
5.まとめ
6.「中学校教師の自己主張の型と言葉」縮小版(手帳貼り付け用)ダウンロード

中学校教師、教育、ブログ、仕事術
1.なぜ、自己主張が必要なのか
会議で意見を言いたいのに言えない(言わない)先生、アイデアを気の強い先生に潰されたことのある先生が、全国にはたくさんいます。
本来なら心ある先生が、ワクワクしながら仕事を続けられるようにしなくてはいけないのです。
本当に残念なことです。

ほとんどの先生は、優しいです。
仕事の仕方も丁寧に教えてくれます。
いざという時にも守ってくれます。
そういう先生だけなら、中学校教育の未来は明るいと思っています。

しかし、心無い教師がたった一人でもいるだけで、組織のバランスが崩れます。
なぜか?
その一部の心無い教師を止められる先生は極めて少ないからです。
「ちょっとそれは違うな」って思っていても、なかなか指摘できないのです。
指摘して混乱して面倒なことになるくらいなら、適当に距離をおいてしまうのです。
ちょっと強く言い返されたら、一歩引いてしまうのです。
この逆のパターンもあります。
強い先生が「強い指摘」をしてケンカになる場合です。
お互いが意地になり、組織全体の力が減退していきます。

そして残念なことに、世代が大きく変わっていく中で、このような心無い教師が増えていきます。
このままの状態にしておくと、ますます「言ったもの勝ちの職員室」になってしまいます。
だからこそ、強かで知的な自己主張が必要なのです。
強かで知的な自己主張ができる先生が手を組めば、明るい明るい職員室になるのです。
それが、生徒や周りの先生の幸せへとつながります。
最終的に自分の幸せにもつながります。

2.自己主張の基本
自己主張する時、普段とは違うモードにならないといけない、春野はそう考えています。
私が自己主張モードになっている時に意識していることをまとめます。

(1)心構え

・心無い教師の前では、「聴くこと」を意識し過ぎない。
・心無い教師の前では、「沈黙は金、雄弁は銀」ではない。
・相手の圧力に絶対に屈しない。包丁を首に突き付けられても、「それで」と言える自分をイメージする。
・心は感情的になっていいが、実際に発する言葉は決して感情的であってはならない。
・社会人としてのマナーは必ず守る。大人な対応をする。特に先輩、年配、役職が上の先生の場合はそう。あくまでも仕事である。
・そして何より、「私はこう思う」と言うためには、強かで知的な言葉と気持ちをもっておかなければならない。
・何を主張したくて、どこまで覚悟しているのか、深く深く考える。相手を言い負かせたいのか、WIN-WINを目指しているのか?もし、相手を言い負かせたいのなら、この先は読んではいけない。
・普段から、相手を「無視する」、「挨拶しない」、「露骨に嫌な態度を示す」、「陰口を言う」、これは社会人の意思表示の方法としてNG。相手の怒りエネルギー、不審エネルギーも増大させる。
・問題を大きくしたり複雑にしたりしない(周りの先生や生徒を巻き込む、○○先生の味方か?など。これは最も不幸。)
・自己主張は、周りに迷惑をかける、自分のことしか考えていない自分勝手とは違う。
・「自分の言っていることが間違っているから」ではなく「話し方や態度がダメだから」自分の意見が軽んじられる場合も結構ある。残念ながらそういう事実があることを理解する。

(2)考え方

・精神論で解決してはいけない。具体的な(合意した)行動で解決する。
・相手の気持ちへの感度を下げ、相手が言った内容への感度を上げる。心無い教師の「気持ち」に焦点を当てたら完全にLOSEする。
・相手の望ましくない、改善してほしい「行動」に焦点を当てる。
・人とその人が抱える問題を分けて考える。人を考えると、相手を全否定してしまう思考になってしまう。
・あえて自分の話す量を増やす。相手の言った内容に対して、「ハイ」だけで終わらせない。
・非建設的な主張だけをしない。
・相手の大事にしていることと自分の共通点を随所に入れる。
・共感と同意の違いを理解しておく。「共感=同意」ではない。
・ゴール、目的を設定しておく。(ゴールについては後述しています)
・相手の意見を勝手に深読みして、悪い方向へ考えてはいけない。
・可能なら、意見の一致しているところから話を始める
・こちらにミスがあると分かった場合、潔く謝る。「私の○○で、大変なご迷惑をおかけしました。本当に申し訳ございませんでした。今後このようなことがないよう、○○は十分配慮します。」

(3)準備

・「私はこう思う」と言えることが大事。「私はこう思う」と言うためには、「何を主張したいのか」、「何を言いたいのか」「自分の気持ちの根っこは何か」これを十分な時間をかけて考えておく。
・相手の反応や言われそうなことを想定すること。
・相手が何に満足するのか。何にこだわっているのか。何に腹を立てているのか。事前に焦点を当てておく。価値?周りからの評価?プライド?メンツ?

(4)目指すべきゴール

基本は、いわゆる「WIN-WIN」(双方の利益がある状態)で終えることです。
自分・・・相手に○○するという行動をとりつけた。相手の言動が変わった。
相手・・・あなたの正直な意見を聞けてよかった。
それが目標です。
それが達成できないのなら、あなたはLOSEです。
「自分の言い分をしっかり言えてよかった。相手は勝手に怒っていたけどね」
ではいけないのです。このような状態は、一見すればWINなのですが、相手がLOSEであれば、その反動はいつかやってきます。
そうならないように、「周到な準備」が必要なのです。

(5)決裂した場合

さて、そうは言っても残念ながら決裂する場合があります。
「周到な準備」をしてダメだったら仕方がないと考えましょう。
どんな結果になろうが受け入れるのです。

少なくとも、今回のような言い方をすれば、うまくいかなかったことが分かったのです。後悔することではありません。
ひょっとしたら、「なんて生意気だ!」なんて陰口を言われるかもしれません。
しかし、そんなことはあなたの今後の行動には関係ないのです。
いつも通り坦々と仕事をすればよいのです。
現状を変えたいのなら、最悪の結果である「決裂」を覚悟しておくのです。

(6)パワハラやセクハラまがいのことを言われた場合

・話をしている途中、パワハラやセクハラまがいのことをされたり言われたりしたら、まずは、「御冗談ですよね」、「手厳しいですね」、「○○と言うのはやめていただけますか」と強かにNOを伝えましょう。それでも、そのようなことを言われ続けるのなら、「今の言葉をそのまま、校長先生に報告させていただきます。」「県のパワハラセクハラ窓口に報告しますがよろしいでしょうか。」と伝える。相手が「それはやめてほしい」とその時になって言ったとしても、必ず伝えること。言うことが相手の先生のためにもなるし、自分のためにもなる。
・難しいことで相手が話をそらそうとする場合は、「ところで」「そもそも」とつなげ、焦点に戻す。

(7)1対1で話をしたい場合

・1対1で話をしたい場合は、「お忙しい所申し訳ございません。どうしても仕事のことでお話ししたいことがあります。時間を空いている時にお時間頂けますでしょうか。」と言ってスタートすればいいでしょう。

3.見た目や言い方10の基本
自信があるような見た目や言い方を意識します。
鏡を見ながら、徹底的に見た目(見え方)や言い方を鍛えましょう。
・基本は、普通の表情で友好的風に。坦々と。
・視線・・・相手の目を見る。眼力を鍛える。
・顔の向き・・・相手の顔とあえて正対する。下を向きながら相手に視線を向けたら(上目使い)滑稽。自信がなさそうに見える。
・声・・・低い声、いつもとは違う声。実際声に出して言ってみる。声を小さくしない。はっきり言う。
・胸を張る。姿勢をよくする。感情が高ぶっても、声をうわずらせない。
・手振り、ジェスチャー・・・動かしすぎない。普通にしていればよい。
・おどおどしない、動じない、ハキハキする。
・媚びない、へつらわない、機嫌をうかがわない。
・言いにくいからと言って、語尾を曖昧にしない。回りくどく言わない。内容をはっきり伝える。
・途中で話をさえぎられても、最後まで言い切る。言葉を飲み込まない。

4.実践「自己主張」

(1)自己主張する時の基本型

有名なYES-BUT法を軸に考えます。
相手の意見に対して、反対意見、それは違うと思う意見である場合、
1 相手の意見を一旦共感(同意ではない)して、= YESの言葉
2 YESからBUTへつなげる言葉を入れて、= クッション言葉
3 自分の意見や問題点を言う = BUTの言葉
方法です。
中学校教師の自己主張の技術
それぞれを詳しく説明していきます。

(2)想定場面

先生A:担任、4年目
先生B:学年主任、14年目
生徒C:課題を抱えた生徒

生徒指導について、A先生はいつもB先生の言われた通りにしているが、うまくいかないことが多い。以前自分が考えた方法ではダメかと聞いたことがあったが、とても機嫌が悪くなった。それ以来、A先生は何も言わずに、B先生の言われた通りにやっているが、それが原因でストレスフルな毎日を送っている。
そんなとき、学年主任のB先生が担任のA先生に生徒Cへの対応がまずかったとダメだしの指導している。A先生は、自分の思いをしっかり伝えたいと思っている。

このような場面で、A先生が今後どのような自己主張をすればいいかを考えます。

(3)YESの8つの言葉

いきなり主張してしまうと、角が立ちます。一旦、YESの言葉を入れて、「感謝」「感激」「感動」などを表します。
・ありがとうございます。
・鋭い考え方ですね。
・流石ですね。
・そういう視点もあるのですね。
・なかなか私ではそのような考えは思いつきません。
・なるほど(感嘆を示す)
・私が○○先生の立場なら、同じように感じます。
・経験に裏打ちされていますね。

(4)YESからBUTへとつなげるための9つのクッション言葉

・念のため(確認したいのですが)、
・恐れ入りますが、
・誤解かもしれないのですが、
・申し上げにくいのですが、
・私の思い違いかもしれませんが、
・もしかして、私の勘違いかもしれませんが、
・大変失礼なのですが、
・生意気かもしれませんが、
・間違っていたら言ってください。

(5)BUTの「4つの型と21の言葉」

<1>質問型の7つの言葉
疑問点や納得していないこと、主張したいことを、質問を利用して主張します。
相手への質問は、最大の攻撃であり防御となります。
ただし、疑い深い感じで質問するのではありません。
「謙虚に教えてほしい」姿勢を示します。
・いくつか質問してもよろしいでしょうか。
・~は本当なのでしょうか。
・○○先生の言っている内容の根拠となっているのは、○○先生のどのような考えからですか。
・○○という問題が出てきますが、どうしたらいいでしょうか。
・○○は、どうすればできるでしょうか。何かコツはありますか。
・~について、詳しく聞かせていただけないでしょうか。
・なるほど、○○という面もあると思いますが、いかがでしょうか。
<使用例>
相手の先生の意見を聞いて「○○はできない」と、思ったのなら、
NG「○○は、私にはできません。」
OK「○○は、どうすれば私にもできるでしょうか。何かコツはありますか。」

相手の先生の意見を聞いて、理解不能・無理!と思ったのなら、
NG「~は、私は理解できない部分があります。」
OK「~について、詳しく聞かせていただけないでしょうか。」

どうでしょう、徐々にイメージが湧いてきたでしょうか。


<2>確認型の6つの言葉
疑問点や納得していないことを、(疑ったような)疑問型ではなく、自然な感じの確認の言葉を利用します。嫌味を醸し出しながら、話してはいけません。堂々と普通に話すのです。基本は、「私がYESと言うことによりこんなデメリットが出てくる(他の仕事がおろそかになるなど)」ことを確認の言葉で主張します。

・○○先生がおっっしゃりたいのは、~ということでしょうか
・~という事実はあるのでしょうか。
・~と理解してよろしいでしょうか。
・~ということでよろしいでしょうか。
・~と考えてよろしいでしょうか。
・~となりますがよろしいでしょうか。


<3>提案(代替案)型の6つの言葉

むげに否定するのではなく、代替案を示します。
代替案を準備しておくことが必要です。
・~と私は考えていますがいかがでしょうか。
・~なら何とかできるのですが、いかがでしょうか。
・そもそも、○○ではないでしょうか。
・~ついては、7割までなら(達成度条件)できます
・~ついては、○○なら(単純条件)できます。
・~ついては、来週中なら(期間条件)できます。


<4>依頼型の2つの言葉
・1つだけお願いしてもいいですか。
・~してください。よろしくお願いします。

(6)BUTで使ってはいけない22の言葉

ポイントは次の2つです。
・弱い言葉を使わないようすること
・いかにも相手がBUTと感じてしまう言葉を使わないようすること
癖になっている場合も多いので、普段の会話から気をつけておきましょう。
・いや、
・ただ、
・しかし、
・でも、
・だから、
・そういうことではなく、
・ですから、
・そうはおっしゃいますが、
・っていうかですね、
・あの・・・、
・それをやってしまうと、
・○○先生、あの時○○と言ったではありませんか。
・えっと、
・たぶん、
・おそらく
・ような、
・(自分の意見なのに)~と思います。
・(自分の意見なのに)~という気がします。
・(明らかにNOなのに)考えておきます。
・それは嫌です。(「嫌」は気持ちとなるのでNG。きちんとした内容を言う。)
・~は違うと思います。(相手の意見を直接否定して反論しない)
・(悪くもないのに)すみません。

(7)クロージングで使う4つの言葉

クロージングで使う言葉
・(こちらこそ)○○先生と話をさせてもらいよかったです。
・これからも、ご指導お願いします。
・お忙しい中時間をとってくださいまして、ありがとうございました。
・~してくださって嬉しいです。

(8)想定場面の解答例

以上のことを踏まえて、先の想定場面でのA先生の自己主張例です。
B先生のダメだし指導の会話の続きです。

A先生
・「ありがとうございます。」(YESの言葉)
・「なかなか私ではそのような考えは思いつきません。」(YESの言葉)
・「念のため確認したいのですが、(クッション言葉)
・「いくつか質問してもよろしいでしょうか。」(BUTの言葉、質問型)
B先生
・「どうぞ」
A先生
・「○○という問題が出てきますが、どうしたらいいでしょうか。」(BUTの言葉、質問型)
B先生
・「それなら、例えば△△はどうでしょう。」
A先生
・「△△は、以前試しましたが、やり方がまずく、うまくいきませんでした。」(事実ベースでNOを伝える)
・「△△は、どうすればできるでしょうか。何かコツはありますか。」(BUTの言葉、質問型)
B先生
・「・・・・。」(歯切れが悪くなっていく)
A先生
・「○○先生がおっっしゃりたいのは、××ということでしょうか。」(BUTの言葉、確認型)
B先生
・「まあそうとも言えますね」
A先生
・「××を7割ぐらいのできなら、何とか達成できます。いかがでしょうか。」(BUTの言葉、提案(代替案)型)
B先生
・「うん、やってみて」
A先生
・「お忙しい中時間をとってくださいまして、ありがとうございました。これからも、ご指導お願いします。結果についてはまた報告させていただきます。」(クロージングの言葉)

実際には、こんな簡単にはいきません・・・。

5.まとめ
「強かに」「知的に」自己主張できる先生になるには、強かで知的な「言葉」と「気持ち」が必要である。
そんな言葉や気持ちをもつ(準備する、学ぶ)には、エネルギーが必要である。
そのエネルギーの源は、「楽しく仕事をしたい」という思いである。
準備もせず、学びもせず、文句だけ言えば、組織は後退する。

6.「中学校教師の自己主張の型と言葉」縮小版(手帳貼り付け用)
A4サイズ1枚にまとめています。
拡大縮小して、手帳等に貼り付けられます。
画像クリックでPDFファイルが表示されます。
syutyou

<参考文献>
ハーバード流交渉術 必ず「望む結果」を引き出せる!(ロジャー・フィッシャー、ウィリアム・ユーリー(著)、岩瀬 大輔 (翻訳):三笠書房)
人に嫌われない 自己主張の技術(箱田 忠昭 (著):中経出版)
人に好かれる ものの言い方・伝え方のルールとマナー(古谷治子(著):日本実業出版社)
するどい「質問力」!(谷原誠(著):三笠書房)
15秒でツカみ90秒でオトすアサーティブ交渉術(大串 亜由美(著)、ダイヤモンド社)