私は以前、目の前で生徒がノートにうっとりするような字を書いている時、次のように褒めていました。
「〇〇さん、とてもきれいな字を書きますね!」
残念ながら、この時生徒はあまり喜んでいませんでした。
褒める時に何の工夫もしていなかったので、当然と言えば当然です。
「人間的魅力が素晴らしく、(褒められる生徒にとって)その先生が言ったことならなんでも嬉しい」のであれば、問題はないのかもしれません。
しかし、そうでない場合「当たり前のことを当たり前に言う」だけでは、思いは伝わらない場合もあります。
「先生に、動物への思いはノーベル賞級!って言われたこと、めっちゃ覚えてんでー」
先日の成人式で生徒に言われたことです。
三者面談で保護者からも「先生が授業中、子どもに△△って、褒めてくださったそうですね。子どもが家で言ってました(^^)」と言われます。
思いは保護者に伝わらない場合がありますが、褒めた言葉はそのまま伝わるのです。
記憶にも残るのです。
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1.「100の褒め言葉」の使い方
でつくります。
例えば、目の前で普段は丁寧に字を書かない生徒が、とても丁寧に美しく字を書いている時には、
「〇〇さんが丁寧に書いている姿(A)、メッチャカッコいい。大人に見える。(B)」
という褒め言葉が完成します。
もし、生徒自身がとても字がうまい生徒(自覚している)なら、
「(字を書いている姿を見て(A))〇〇さんの字、オーラが出ている(B)」
でもよいでしょう。
組み合わせ次第で、褒め言葉は無限に広がっていきます。
もちろん、Bの言葉を単独で言ってもOKです。
2.100の褒め言葉
A 褒めたい生徒の「行動や姿、状態」に焦点を当てる言葉
<行動や姿(~姿を見ると>
・~して頑張っている姿、
・テストを受けている姿、
・部活動で~している姿、
(例:声を出してる姿、アタックしている姿など)
・夢に向かっている姿、
・汗を流している姿、
・勉強している姿、
・勇気をもって~している姿
・~を続けてる姿、
・~を貫いている姿、
・見えない所で手を抜かない姿、
・一生懸命~している姿、
<状態>
・そのままの○○さん、
・失敗している〇〇さん、
・迷っている〇〇さん、
・○○さんの瞳(姿勢)、
・○○さんの笑顔、
・(解答用紙を見て)
・(その生徒の特技を見て)
・(朝読書の様子を見て)
・(質問された時に)
・(手伝ってくれている姿を見て)
・(その他、行動している姿を見て)
B-1<私や第三者の「行動や事実、気持ち」を表した褒め言葉>
・幸せになれる
・ぐっとくる
・ワクワクする
・嬉しい
・胸が高まる
・涙がでるほどうれしい
・感謝の思いで胸がいっぱい
・胸にジーンとくる
・言葉にならない(できない)
・エネルギーをもらえる
・自分にはできない
・うらやましい
・流石
・恩人
・〇〇さんの影響
・〇さんが力を発揮できた
・〇〇さんのおかげ
・晴れ中学生
・(生徒の持ち物に対して)その△△、私も~。
・〇年後がとても楽しみ
・みんなが〇〇さんに釘づけ
・頼りになる
・ドキドキする
・見ていて安心
・ありがとう
・感動
・100年かかっても追いつかない。
・〇〇さんに今度、△△の授業してほしいな。
・△△、写真撮らせてもらっていい?
・僕のこの手帳にちょっと△△してもらっていい?
・〇〇さんが△△しているところ、家に飾っておきたい。
・有名になった時、「〇〇さんサイン」を一番にもらうから。
・この△△、ガチでうらやましい。
・家族にしたい。
B–2 褒めたい生徒の状態を表した褒め言葉
・かっこいい
・よく考えている
・輝いている
・素敵
・まっすぐ
・親孝行
・いい
・性格がいい
・活躍できる
・絶妙
・さりげない
・威張ってない
・優しい
・積極的
・力強い
・努力している
・頑張っている
・才能がある
・意思が強い
・明るい
・成長した
・集中力がある
・鋭い
・一流
・みんなのことを考えている
・ナイスアイデア
・似合っている
・大人
・〇〇100段?
・〇〇中学校で一番が〇〇うまい
・〇〇の達人
・△△のプロ
・ノーベル賞級
・△△100年くらい習っているみたい
・〇〇中学校のお手本
・習字の本に載ってた字よりもきれい
・〇〇さんの△△、めちゃくちゃ品がある
・〇〇さんの△△、すごい見ていて飽きない
・単に△△がうまいだけではない。〇〇さんらしさがある
・〇〇さんの△△、繊細なのに迫力がある
・超一流
・オーラ
・センスのかたまりですね
・プライスレス
・ここの△△の部分、極めている
・将来大物になる
・大きく羽ばたく
・光っている
・将来大きなことをやり遂げる
・神
・センターを取れる
3.その他の言葉
<枕詞をつける>
・〇〇さんは、まだ分かっていないかもしれないけれど、
・〇〇さんは、気づいていないかもしれないけれど、
・自分自身ではそうは思わないかもしれないけど、
<程度を表す言葉を付ける>
・いつも
・本当に
・すごく
・ガチ
・めっちゃ
・相当(相当頑張った、相当練習したなど)
<褒める時に困った時には「嬉しい」を使う>
・嬉しい、嬉しい、本当に私は嬉しい
・~してくれて嬉しい
・~だから嬉しい
・~でも嬉しい
4.褒め言葉をさらに増やすための視点16
- 未来のことを褒める。
- 頑張りや努力を褒める。
- 褒めてほしいことを見つけてほめる。
- 外見や(こだわって)もっているものを褒める。
- 初めて~できたことを褒める。
- 継続していることを褒める。
- 「努力、過程」を褒める。
- 「細部」を褒める。
- 「ありのまま」を視点を変えて褒める。
- 「BESTであること」を褒める。
- 「ONLYであること」を褒める。
- 工夫していることを褒める。
- 当たり前のことを褒める。
- 生徒への光の当てる方向を変える。
- 生徒が自分だけの力では気づかない(気づけない)部分に焦点を当てる。
- 何にこだわっているのか、何に気づいてほしいのかに焦点を当てる。
5.褒め言葉をより効果的にするコツ16
- 間を開けずに褒める。
- 本気の顔で(怖い顔ではない)褒める。
- 体全体で褒める(身振り、手振り、顔の表情)。
- 褒め顔を友人先生などに見てもらう、鏡で練習するのがよい。
- 褒めたい生徒と良い関係でなければ、無理はしない。
- 本気でそう思っていることしか伝わらない。
- 評価ではない。上から目線はアウト。
- 生徒の名前を入れる(名前を言う時は、特に大事に心を込めて丁寧に言う。)
- 握手しながら言う(同性の生徒に対して)。
- 関係がよい生徒へは、大袈裟に褒める。
- 関係がよくない生徒へは、関係の良い先生に伝えてもらうことも考える。
- 「誰でも気づいていること」を褒めるなら、「どのように褒めるか(言葉を選ぶ)」に重点をおく。
- 「誰も気づいていないこと」を褒めるなら、「相手の何を褒めるか(視点を選ぶ)」かに重点をおく。
- 生徒、状況により、言い方を変える。
例:丁寧語(~です、ます)、断定(~だ)、単語だけを言う、砕けた言い方(~的な) - 褒めるには感性が必要である。感性を磨くことも忘れない。
- 「生徒を心から褒めたい」という気持ちがあることが大原則。常に意識していると、「褒めのアンテナ」は高くなる。
6.参考記事
「多くの真面目な生徒が、褒められることなく1週間を終えている」
「定期テスト返却時の「1分コメント」で生徒との信頼感を高める」