「辛くて辛くてもう教師を辞めたい」と思っている先生に相談されたら

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「もう教師を辞めたい」と思っている教師から相談されたら考えること

「もう教師を辞めたい」と思っている教師から相談されたら、

「自分だけで解決できるのか」
それとも、
「自分だけでは解決できないのか」

を、すぐに判断しなければなりません。
あなたの判断が、辞めたいと思っている先生の人生を左右することになるかもしれません。
では、どのように判断すればよいのか。
例えば、「うつ病」の判断基準として、アメリカ精神医学会は、DSM-Ⅳで次のような基準を設けています。
5つ以上あてはまれば、可能性があるということです。

1 その人自身の訴えか、家族などの他者の観察によって示される。ほぼ1日中の抑うつの気分。
2 ほとんど1日中またほとんど毎日のすべて、またすべての活動への興味、喜びの著しい減退。
3 食事療法をしていないのに、著しい体重減少、あるいは体重増加、または毎日の食欲の減退または増加。
4 ほとんど毎日の不眠または睡眠過多。
5 ほとんど毎日の精神運動性の焦燥または制止。
6 ほとんど毎日の易疲労性、または気力の減退。
7 ほとんど毎日の無価値感、または過剰であるか不適切な罪責感。
8 思考力や集中力の減退、または決断困難がほぼ毎日認められる。
9 死についての反復思考、特別な計画はないが反復的な自殺念虜、自殺企図または自殺するためのはっきりとした計画。

私は、これに1つでも当てはまるようなことをその先生が言ったなら、「自分では解決できない」と判断します。
「ようすを見ながら」ということは絶対にしません。

では、そのように判断したら、次にどのようにすればよいのか。

次にすること

「相談してきた先生の許可を得て、管理職に相談する」

のです。
「管理職の先生には相談したくない」
と言われたら、専門の相談機関に行くように説得します。
説得しきれなかったらどうするか。
最終的には、
「どうしても心配だから、管理職の先生に私から言わしてください。どうしてもそうさせてください」
というようなことを言います。
ここまでしなければなりません。
これは、

相談された側の責任

です。
かつて私の大切な友人が経験したことです。
彼女の教師人生の中で最も辛かった時の記録です。
同じような立場の方のために記事にしてほしいと彼女に言われたので、記事にしました。
以下は、当時の記録の抜粋になります。

教師2年目だった私は、あることがきっかけで先輩教師に怒鳴られました。
その先輩教師はあまりに理不尽だったのですが、言い争うことが大嫌いだった私は、ただただ30分間謝り続けました。
それから、その先輩教師からの厳しい仕打ちが始まりました。
細かいことでも、いろいろと言われました。
会議で提案しても、必ず食いつかれました。
しょうがない、あと半年で学年が終わるから、それまでは我慢するしかない、そう思いながら過ごす日々が続きました。
それが、地獄の始まりでした。
・9月◯日
やばい、何もやる気がでない。
しんどい。
少しでも楽になりたい
面白くない。
何のやる気もでない。
楽しいことをしたい。
これからどうしよう。
劇的に良くならないと、やっていける自信がない。
なんでこんなことになっちゃったんだろう。
・10月◯日
まだ、しんどいです。
しんどくて、しかたありません。
どうしよう。
カウントダウンしよっかなー。
頭も痛い、やばい。
は~、は~。
誰か助けてくれ~。
しんどいよ~。
ほんまにしんどいです。
眠たいし。
もう嫌だ~、嫌だ、嫌だ~。
・12月◯日
生きてきた中で最も辛い4ヶ月が終わった。
後、4ヶ月。
・12月◯日
ほんまに疲れた~。
嫌だ~。
アウト~。
後1日で土曜日だ。
しんどいな~。
しんどいな~。
・1月◯日
いよいよ、休みが明けて仕事が始まる。
あ~、やばい。
気持ちアウト。
3月まで持たない。
やばい、力が入らない。
シャレにならない。
しんどい~。
仕事に行きたくない!!
絶対嫌だ。
Aに絶対に会いたくない!
もう、ほんま、メンタルやばい。
ほんまいなくなってほしい。
ほんまいや。
ノイローゼなる。
・2月◯日
そう言えば、最近ボヤキ少ないかな~。
なんでだろう。
しんどいピーク過ぎた?
あきらめ?
やられすぎて、心がなくなった?
しんどすぎる。
よく分からない。
あ~~~~。
・2月◯日
仕事を休みたい。
やばい、ほんまやばい。
校長に相談しよう。
やばい。
もう無理。
助けてほしい。
今日は、私がいなくなってもいいように、机の周りを整理しよう。
・2月◯日
いつでも休めるように。
もう限界。
やばい。
なんでこうなってしまったのだろう。
月の朝なのに、疲れは、金の夕方のようだ。
何でこうなっちゃったんだろう。
楽しく生きたい。
もう、体がもたないです。
いなくなってしまいたい。
・2月◯日
どうやったら休めるのだろう。
嫌なことから逃げている自分を認める。
逃げている自分を認める。
まっ、いいか。
・2月◯日
人生なるようにしかならない。
上手に諦める。
手放す。
今できることに集中。
それでもいいか。
そんなもんか。
パーフェクトな自分を諦める。
・2月◯日
しんどい。
早く家に帰りたい。
ほんまやばい。
ほんまやばい。
休みたい。
休みたい。
どうしたらいいんだ。
必要と最低限なことだけ。
Aと仕事時間がかぶらないようにしよう。
そういう自分を認めること。
春野先生(私のこと)に相談したら、「管理職の先生に言いなさい」とアドバイスされました。
次の日、校長先生に相談しました。
A教師と仕事が一緒にならないように、若干の校務分掌の変更を提案してくれました。
校長先生は、言ってくれました。
「そんなに苦しい思いをしていたのに、気がつかなくて申し訳なかった」
これで私は救われました。
何とか、3月を乗り切れました。
4月からは、A教師は別の中学校へ配置転換となりました。
もし、校長先生に配慮してもらえず、そのまま仕事を続けていたら「うつ病」になっていたかもしれません。

(当時の記録終了)
私は当時、彼女とは別の中学校にいました。
このことを彼女から相談されたのは、2月下旬でした。
校内に彼女がこのような思いをしていることを誰も知らない、ということだったので、校長先生にだけは相談するように伝えました。
さて、このような状況になってしまった時に、正論を言う人がいます。
例えば、
「A先生は悪気があって言っているわけではない」
「そんなん、A先生を無視しといたらいい」
「気にしなくていい」
「言うことを聞いているフリをしていたらいい」
「A先生なんか、言い返したったらいい」
ようなことです。
そんなことを言われても、決して楽にはならないのです。
余計にしんどくなるのです。
言われなくても、分かっているのです。
分かっているけど、自分だけではそうできないのです。
具体的に何をすれば、彼女が元気になれるのか、という視点が必要です。
1「病院に行くように進める」
2「管理職や専門機関に相談するように言う」
そして、それと並行して
3「とにかく、話を聴く」
4「ストレス発散のために、スポーツなどを一緒にする、飲みにいく」
ことをしていきます。
誰か分かってくれる人がいるだけで、楽になれるのです。
くれぐれも、自分だけで全てを背負ってしまわないことです。

「教師を辞めたい」と思っている人が近くにいたら、中途半端な対応は許されません。
私は、諸富祥彦先生の本をたくさん読みました。
諸富祥彦先生は、「教師を支える会」の代表をされています。
ぜひ、本を一度読んで勉強されることをお勧めします。
教師の悩みとメンタルヘルス(諸富祥彦著:図書文化)
プロカウンセラー諸富祥彦の教師の悩み解決塾(諸富祥彦著:教育開発研究所)
教師の資質 できる教師とダメ教師は何が違うのか?(諸富祥彦著:(朝日新書)
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