中学校学級の生徒指導|初心者でも最悪のシナリオを描く

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1.最悪のシナリオを描く理由

生徒指導のベテランは、今までの経験から多くのシナリオを描くことができます。
初任者にはこれが難しいのです。
経験が少ないから当然です。
何か生徒指導があって対応するときでも、「こうなってほしいな」という希望的シナリオを無意識のうちに描いてしまいます。
だから、想定外のことがあると、対応できなくなります。
すべてを想定するのは難しいかもしれませんが、「最悪のシナリオ」を描く練習をしておけば、いざという時でも慌てずに対応できるようになります。
例えば、次のような問題です。
Aさんが「B君に悪口を言われた」と、先生に訴えに来ました。
その後、昼休みに、B君に確認すると、事実だと確認できました。
B君もAさんに謝ると約束したとします。
放課後の教室で、「B君がAさんに謝る」という設定です。
ここで、普通なら放課後5分程度ですぐに解決するでしょうが、「最悪のシナリオ」を考えてみます。
B君が誤った後、突然次の言葉を付け加えました。
「Aさんだって、僕の悪口を、Cさん、Dさん、Eさんと一緒になって言っていたと、F君から聞いた。それを謝ってほしい」
Bさんは、「言っていない」の一点張り。
再度事実確認が必要だと考えたので、一旦終了。
次の日に、事実を確認した後、もう一度話をする約束をして、帰らせた。
その日の夜、Aさんは、このこと(B君への悪口)を多数の友人に「LINE」で流す。それが拡散する。

そのうち、B君はこのことを知り、保護者に言う。
帰ろうと思って、20時過ぎに職員室を出ようとした瞬間、B君の保護者から、苦情の電話。
1時間、話をする。
保護者の怒りが頂点に達し、「今から学校に行きます」。
その日は、「次の日に、事実を確認した上で、もう一度電話する」ということで帰ってもらう。
次の日、B君が学校を休む。
家に電話すると、
保護者が、「子どもが学校へ行きたくないと言っている。どうしてくれるのだ。」
その日、事実確認しようとするも、Aさんは「LINE」で流していないと主張。
その他の友人も、「何のことか分からない」と主張。
このことを保護者に報告。
保護者は更に激怒。
次の日から、B君は不登校に。
保護者は、教育委員会に電話。

2.「初期対応」「スピード」を変える

こういう最悪のシナリオをイメージできれば、初期対応も違ってきます。
言うことも違ってきます。
事実確認の重要さが分かってきます。
事前に手を打つこともできるのです。
このような、「最悪のシナリオ」を描く力があれば、いざという時も、焦らなくて済みます。
初期対応の時点から、生徒指導担当の教師や、学年主任の教師に報告しておくことの意味も理解できます。
「最悪のシナリオ」を描くことで、生徒指導力を高めることが必要です。

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