<指導に時間がかかる約束を安易にしない>
三者面談での会話の一場面です。
保護者「成績が下がりましたね。」
先生「そうですね。頑張ってるみたいですけどね。」
保護者「そうなんですよ。最近机に向かう時間は長くなってきたんで嬉しいんですけどね・・・。勉強のやり方があまり分かっていないようです。」
先生「家でも頑張っているんですね。それなら、少し勉強をみましょうか。例えば、朝7時50分~8時10分ならいけますよ。やり方がまずかったら指導しますので。」
保護者「そうですか。そうしてもらえると助かります。」
先生「では、明日からやっていきましょう。○○さん、大丈夫ですか。」
生徒「頑張ってみます。」
塾講師経験者、勉強の得意な先生がやる指導です。
しかし、このようなことをしていく上で、注意しなければならないことがあります。
いろいろやりすぎて消耗しないことです。
以前に「選択と集中」について、記事にしました。
ここでは長く説明はしませんが、考えられることすべてをやることなんてできません。
また、新しく始めることの「メリットとデメリット」も整理しなければならないのです。
例えば、この場合だと、次のことを事前に保護者、生徒に話しておく必要があります。
<週に何回するのか。>
「朝に勉強をみること」は、教師にとっても生徒にとっても、かなり負担のかかることです。
やってみたことのある先生なら分かりますが、本当に大変です。
ましてや、これが毎日となると・・・。
学校体制として、「担任が朝に学級の生徒の勉強をみてあげること」にOKが出たとしても、私なら「週に1回」が限度です。
また、「いつまでするのか」ということも決めておかなければなりません。
<つきっきりででみるのか、そうでないのか。>
これも重要なことです。
朝の20分は貴重です。
ずっと付きっ切りでみることが可能かどうかです。
可能だとしても、それによるデメリットを考えなけえればなりません。
例えば、その時間に「別の保護者から電話がある」時です。
この間もずっと勉強を付きっ切りでみていたら、どんどん仕事が増えていきます。
ですので「ずっと付きっ切りは難しい」ということを伝えておかなければいけません。
これがないと、例えば生徒が「今日は先生が20分のうち、5分しか来なかった」と保護者に家で言えば期待を裏切っていることになるのです。
「頑張ってみているのに、苦情がくるかもしれない状態」になるのです。
<成績が上がる見込みはどれくらいあるのか。>
「先生が朝個人的に勉強を見てくれたら、成績が上がる」
と過度の期待をされる場合があります。
期待をされること自体はいいのですが、今後の成績についての見込みも事前に話しておかなければなりません。
この場合なら、保護者には、
「個人的に見たからと言って、成績はそんなにすぐには上がりません。
少なくとも結果が出るまでに3か月以上はかかります。
また、3カ月以上やっても、家で自分が自覚してやらなければ何の意味もあありません。
そこまで気づかせられるようにできるだけ話もしますが、本人がそのように気づけるタイミングが今であるかどうかは、やってみなければ分かりません。
長い長い目で見てあげなければなりません。
大人が一喜一憂していれば、子どもがしんどくなります。」
ということは話しておく必要があるでしょう。
「本人はやったら成績が上がると思って頑張って朝に来た。でも、成績が上がらなかったから、自信をなくした。」
では逆効果なのです。
成績がすぐには上がらなくても、生徒が、
「勉強頑張ったけど、点数が上がらなかった。悔しい。だから次のテストへ向けて頑張る」
という状態であれば、成功と言えるでしょう。
「勉強した>結果が出なくて悔しい>次こそ結果を出す」
という流れは、必要な過程ですから。
<他の保護者、生徒も知っているのか。>
「○○さんだけ、朝勉強をみてもらっている。私は面談の時、何も言われなかった」
と陰で噂されないようにしなくてはいけません。
ある生徒に対して特別なことをしていくわけですから、学年教師が連携すること、管理職の考えを知っておくことも重要です。
「いろいろやりすぎる」・・・、この記事のような「面談で約束した朝の勉強」に限ったことではありません。
中学校教師の仕事は、探せば無限にあります。
アイデアがあればあるほど、やることが出てきます。
すべてをやっていくことは不可能です。
すべてをやってしまい、消耗しきってしまうことは避けなければなりません。