何度繰り返しても、用語を覚えられない中学生に試してほしい勉強法

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1.一般的な方法をまずは確認する

勉強法について、多くの書籍に書かれている勉強法があります。
・同じ問題を繰り返し解く
・間違った問題は正解を数回書く
・適切なタイミングで解き直す(復習する)

実際に多くの生徒が、効果の差こそあるものの、この方法で覚えられるでしょう。
しかし、多くの先生が感じておられる通り、この方法だけではすべての生徒が重要な用語(言葉)を覚えられるようになりません。
そこで、このようにしても覚えられない生徒に対し、試してほしい勉強法があります。

2.最初から書かせないこと

「なんだ、そんなことか」
「中学生には、そんなことをさせることができない」
と思われるかもしれませんが、

最初は、書いて覚えさせるのではなく、復唱させる

のです。
中学生にも有効な方法です。
頑張って書く勉強法では結果のでなかった生徒に対し、次回の定期テスト等に向けて試してほしい勉強法です。
中学1年生のある生徒、学力面に課題のある5教科合計200点前後の生徒を例に説明します。
中学生、勉強法、定期テスト、覚えられない、特別支援教育
2015/09/14(mon)天橋立が見えるコテージより

3.個別指導の具体的な指導法

「先生に言われている通り、同じ問題を繰り返し解いているけど、解けるようにならない」

真面目に取り組むのですが、覚えることが苦手な生徒が訴えに来ました。
やり方が悪いのだろうと思い、放課後2日間、勉強を見ることにしました。
すぐに効果の出やすい社会(地理の範囲)を中心に指導します。
白プリントの表面(基本問題=合計15問)を1時間×2日で完成させる(できるようにする)予定でした。

基本的な内容の理解も不足していたので、私が問題を読んで答えを言う、それを生徒が解答欄に書き写すという作業をします。
まず5問だけ繰り返しました。
その後、解答欄を隠して、同じ問題を解かせました。
当然のことながら解けません。
間違った問題の解答を2回書かせ、再度同じ問題を解かせます。
5問中2問できるようになりました。
丁寧な字を書くのですが、その分書く速度が遅くなるので、ここまでで既に20分かかっています。
間違った問題を再度2回書かせ、その後に3回目をやらせます。
それでも、3問しか解けません。
同様に間違った問題の解答を2回書かせて、再度問題を解かせます。
4回目です。
ここにいてようやく4問解けるようになりました。
28分かかっています。
ここで作業を一旦中断し、翌日に同じ問題を解かせます。
5問中、できたのは1問だけです。
すべての教科を考えると、気の遠くなるような作業になります。
何よりも、できるようにならない状態が、生徒の自己効力感をなくさせます。
ここまで極端な生徒は少ないかもしれませんが、何度書いても、何度同じ問題を解いても、できるいようにならない生徒がいることは事実です。
もしくは、覚えることはできても、極端な時間がかかってしまう・・・、次の日には忘れてしまう・・・。

前置きが長くなってしまいました。
このような生徒に試してほしいこと、それが、

「最初は、書いて覚えさせるのではなく、復唱させる」

ことです。
特別支援教育に詳しい先生から聞いたことです。
「書く」中心の勉強法から、「聞く」、「話す」中心の勉強法に変えるのです。
まず1回目。
問題を私が読んで、解答も私が言います。
その後、解答を生徒に「復唱」させます。
書かせないことがポイントです。
例えば、答えが「葉緑体」という問題。
「葉緑体」と書かせると21秒かかっていましたが、復唱させると、1秒で終わります。

これを5問繰り返します。
その直後、問題を私が読んで、生徒に「言って」答えさせます。
すると、5問中4問正解しました。
間違った問題を3回復唱させました。
その後、再度5問読んで問題を出題します。
その生徒は5問とも正解できたのです。
ここまで4分。
生徒本人も驚いた様子でした。
次に書けるようにする作業に入ります。
書くと時間がかかってしまうので、「指書き」をさせます。
実際に声に出して言いながら、机上に人差し指で字を書くのです。
声に出すだけよりも時間はかかりますが、それでも書くよりもはるかに短時間で終わります。
実際に書く場合に比べ、手もあまり疲れません。
回数は迷いましたが、ここでは3回指書きをさせました。
生徒へのストレスもかなり軽減されているようでした。
それを5問とも繰り返します。

4.最後の最後に書かせてみる

そして、最後に「書けること」を確認します。
5問とも正解しました。
ここまでかかった時間は、8分弱。
しかも短い時間で、かつ、5問とも正解できている状態です。
また、次の日に同じ問題を出したところ、5問中4問正解したのです。
書くだけの時よりも、より多くの量を覚えられていたのです。
この生徒は、自分自身の力で「言う」→「指書きする」→「書く」という作業をできるようになりました。

私は脳科学の専門家でもありませんし、特別支援教育についてもまだまだ素人です。
詳しくは、聴覚優位等をキーワードに、調べてください。

<まとめ>
「書く」中心の勉強法だけでは覚えられない生徒は、「聞く」、「話す」に重点をおいた勉強法を試してみる

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