「管理職試験を受けてみないか。」
そう声を掛けられたとき、すぐに前向きな気持ちになれる先生は、どれくらいいるのでしょうか。
もちろん、「挑戦してみたい」と思う先生もいると思います。
一方で、多くの先生は、少し立ち止まるのではないでしょうか。
「自分に務まるのだろうか。」
「教頭や校長は大変そうだ。」
「今のまま教員を続ける方がよいのではないか。」
「家族との時間はどうなるのだろう。」
そのような迷いが出てくるのは、とても自然なことだと思います。
私自身も、管理職という仕事を十分に分かった上で歩み出したわけではありません。
管理職になる前に見えていた景色と、実際に管理職になってから見えた景色は、ずいぶん違いました。
教頭の仕事。
校長の仕事。
保護者対応。
教職員との関係。
重大な事案への対応。
授業から離れる寂しさ。
子どもとの距離感の変化。
それらは、外から見ているだけでは分かりにくいものです。
管理職の仕事は、大変です。
これは、はっきり言えます。
責任は重くなります。
判断を求められる場面も増えます。
人と人との間に立つこともあります。
誰からも十分に理解されないまま、学校として判断しなければならないこともあります。
「大変そう」というイメージは、決して間違いではありません。
ただ、「大変そう」だけで管理職という仕事を判断するのは、少しもったいないとも思っています。
管理職になったからこそ見える景色があります。
教職員が少し前を向く瞬間。
職員室の空気が少し温かくなる瞬間。
学校全体が少しずつ良い方向へ動いていく感覚。
子どもたちを、直接ではなく学校全体から支えるという実感。
それは、教諭の頃とは違う喜びでした。
だからといって、私は「管理職になった方がいい」と強く勧めたいわけではありません。
管理職になる道もあります。
ならない道もあります。
どちらが上という話ではありません。
教諭として子どもたちと向き合い続けることも、本当に尊い仕事です。
主任として学校を支えることも大切な役割です。
管理職として学校全体を支えることも、一つの道です。
大切なのは、自分で考え、自分で選ぶことだと思っています。
そのためには、まず管理職の現実を知る必要があります。
「罰ゲームらしい。」
「大変らしい。」
「自分には無理らしい。」
そうした言葉だけで決めてしまうのではなく、実際にはどのような仕事なのかを少しずつ知ってほしいと思います。
そして、自分自身にも問い掛けてほしいのです。
自分は、どのような教師人生を送りたいのか。
子どもと直接関わることを、どれくらい大切にしたいのか。
教職員を支えることに、やりがいを感じられるのか。
学校全体を見て考える立場に、少しでも関心があるのか。
この連載では、管理職を目指すかどうか迷っている先生に向けて、管理職の現実を書いていきます。
きれいごとだけを書くつもりはありません。
大変なことも書きます。
迷ったことも書きます。
後悔したことも書きます。
その上で、管理職になって初めて分かった喜びや、見えるようになった景色についても書いていきたいと思っています。
今後は、次のようなテーマで書いていく予定です。
・「私なんかが管理職で大丈夫ですか?」という相談を一番多く受ける理由
・管理職になる理由は、「勧められたから」でもよいのか
・管理職試験を受ける前に、一度だけ考えてほしいこと
・管理職は、本当に罰ゲームなのか
・教頭は、一日何をしているのか
・校長の仕事は、なぜ見えにくいのか
・管理職になると、授業ができなくなる現実
・管理職になると、子どもとの距離は遠くなるのか
・管理職になって、一番大変だったこと
・管理職になって、一番驚いたこと
・管理職になって、一番うれしかったこと
・管理職になって、一番後悔したこと
・管理職は、本当に孤独なのか
・管理職になって変わった、自分の考え方
・リーダーシップがない人でも、管理職になれるのか
・管理職に必要なのは、話す力ではないということ
・特別な能力がなくても管理職は務まるのか
・完璧な管理職を目指さなくてよい理由
・管理職は、失敗しながら成長する仕事
・声の大きい先生がいる学校で、管理職が考えること
・重大な事案が起きたとき、管理職が最初にすること
・保護者対応で管理職が一番大切にしていること
・教職員を育てることが、子どもを育てることにつながる理由
・温かい職員室をつくるために必要なこと
・管理職になって、失ったものと得たもの
・管理職を勧められたとき、家族と話し合うべきこと
・もし、もう一度教員人生をやり直せるなら
・管理職になるか、ならないかという人それぞれの答え
・あなたは管理職になるべきか
管理職になるかどうかに、簡単な正解はありません。
迷ってよいと思います。
むしろ、迷うことは大切です。
その迷いの中に、自分が大切にしているものがあるからです。
この連載が、管理職への道を考え始めた先生にとって、少し立ち止まり、自分の教師人生を考えるきっかけになれば幸いです。
