管理職(校長・教頭)への道を考え始めた先生へ―後悔しない選択をするために

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「管理職になるメリットって何ですか」
最近、このように尋ねられることが増えました。
話を聞いてみると、「管理職になるかどうか考え始めているが、大変そうで、なかなか踏み切れない」「管理職試験を受けてみないかと言われたけれど、迷っている」という先生が少なくありません。
「授業をしなくなることに耐えられるだろうか」
「人間関係の板挟みになりそうだ」
「責任が大きすぎるのではないか」
「そもそも、管理職にはどのような仕事があるのか」
「自分に務まるのだろうか」

どれも、もっともな迷いだと思います。
私自身、30代で指導主事となり、その後、教頭、校長と管理職への道を歩んできました。
ただし、決して順調だったわけではありません。
管理職になってわずか3か月後、うつ病を発症し、1年半休職しました。
その一因として自分自身が強く感じているのが、管理職になる前の「準備不足」です。
管理職への道を勧められてその気になり、仕事内容や心構えについて十分に考えないまま、その道へ進みました。
「管理職とは、実際にはどのような仕事なのか」
「自分は何のために管理職になるのか」
「自分の人生にとって、管理職になることはどのような意味をもつのか」
今振り返れば、もっと考えておくべきことがありました。
だから、『管理職(校長・教頭)への道を考え始めた先生へ』には、当時の自分が管理職になる前に
「考えておけばよかったこと」
「教えてほしかったこと」
「気をつけてほしかったこと」
「アドバイスしてほしかったこと」
を書きました。
本書で大切にしているのは、管理職になることを勧めることではありません。

管理職への道に進むかどうかを判断するためには、まず管理職について深く知る必要があります。
そして、仕事の実際だけでなく、自分自身がどう生きたいのかという「哲学」と照らし合わせて考える必要があります。管理職になることには、給与が上がるといった分かりやすい変化もあります。しかし、実際に管理職として直面する多くのことは、単純にメリットとデメリットに分けられるものではありません。
例えば、管理職になると、子どもたちと直接関わる時間より、教職員や保護者などの大人と話す時間が増えます。それをつらいと感じる人もいれば、そこに仕事の充実を感じる人もいます。同じ出来事であっても、その人の価値観や置かれている状況によって意味は変わります。
だからこそ、「管理職になると得か、損か」だけで人生の選択を決めることはできません。
本書では、「哲学」「知る」「迷い」「疑問」の4つのパート、75のテーマを通して、管理職という仕事をさまざまな角度から扱いました。

何のために管理職になるのか。
管理職の何が大変なのか。
教頭と校長は何が違うのか。
授業という日常がなくなるとはどういうことなのか。
休日の対応、給与、休暇、人事、教職員との関係、教育委員会との関係。
管理職にならないという選択や、試験を受けるタイミングについても取り上げています。
できる限り、上辺だけの情報ではなく、実際に経験してきたことや本音を交えて書きました。
原稿を書き終えた後、教員をしている親友に読んでもらいました。
返ってきた感想は、「読んだだけでおなか一杯になる」でした。
確かにそうかもしれません。
管理職の置かれている現実を正直に伝えようとすると、どうしても重い内容も入ります。それでも、嘘や綺麗事を並べて、管理職という仕事を必要以上によく見せることはしたくありません。
管理職への道に進むかどうかは、その後の教師人生、場合によっては一生を左右する大きな決断だからです。
本書では、管理職への道へ進むよう誘導する表現をできるだけ避け、「管理職の道を考え始めた人」に向けて書くことを心がけました。
読み終えた結果、
「やはり管理職を目指したい」
と思う人がいてもいい。
一方で、
「自分には向いていないかもしれない」
「今はそのタイミングではない」
「自分は教諭として生きていきたい」
と考える人がいてもいい。
そのどちらの決断にも、等しく価値があると思っています。
つまり、この本は
管理職になるための本というより、管理職になるかどうかについて、自分なりの納得できる判断をするための情報を集めた本
です。
管理職の道に進むことが、すべての人にとって幸福な選択であるとは限りません。
大切なのは、自分の人生を「どう生きるか」「どう幸せなものにしていくか」ということです。
自分の価値観や哲学、人生の目標と照らし合わせ、十分に知り、十分に迷った上で決めてほしいと思います。
「管理職試験を受けてみないか」と声をかけられた。
数年後かもしれないが、管理職を少し意識するようになった。
けれど、まだ答えは出ていない。
そんな段階にいる先生にこそ、読んでいただきたい一冊です。
管理職を目指すと決める前にも、目指さないと決める前にも、一度、管理職という仕事の現実を知っておく。
そのための材料として、本書を使っていただければと思います。
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