「校長先生は、毎日何をしているのですか。」
この質問を受けることがあります。
教頭先生の仕事は、職員室で見える場面が多いかもしれません。
電話を受ける。
教職員と打ち合わせをする。
保護者対応をする。
校内を動き回る。
そうした姿は、教職員からも比較的見えやすいと思います。
一方で、校長の仕事は、意外と見えにくいものです。
職員室から見ると、校長先生は校長室にいる時間が長いように見えるかもしれません。
来客対応をしている。
書類を読んでいる。
パソコンに向かっている。
時々、校内を回っている。
会議に出ている。
それくらいの印象を持っている先生もいるのではないでしょうか。
「校長は校長室にいて、なんにもしていない」
と言う教職員もいますが、真に受けてはいけないでしょう。
校長の仕事を一言で言うなら、当然のことながら、「学校の方向を考え続ける仕事」です。
もちろん、日々の対応もあります。
保護者対応もあります。
事故やトラブルへの対応もあります。
教職員との面談もあります。
地域との関係づくりもあります。
教育委員会との連絡もあります。
しかし、その一つ一つの奥には、常に「この学校をどの方向へ進めるのか」という問いがあります。
校長は、学校の最終責任者です。
だからこそ、目の前の出来事だけを見て判断するわけにはいきません。
その判断が、子どもたちにどう影響するのか。
教職員にどう伝わるのか。
保護者や地域からどう受け止められるのか。
そして、数年後の学校にどのような意味を持つのか。
そうしたことを考えながら判断していきます。
例えば、ある取組を始めるとします。
教職員から見れば、「また新しいことが始まる」と感じるかもしれません。
しかし、校長としては、その取組が学校の課題とどうつながっているのかを考えています。
子どもたちにどのような力を付けたいのか。
教職員の負担はどうなるのか。
今の学校文化に合っているのか。
無理に進めれば逆効果にならないか。
そうしたことを考えながら、進めるか、止めるか、少し形を変えるかを判断します。
校長の仕事には、すぐに成果が見えないものが多くあります。
職員室の雰囲気を少しずつ変えること。
教職員が安心して相談できる関係をつくること。
地域との信頼関係を積み重ねること。
学校の強みを見つけ、伸ばしていくこと。
どれも一日で結果が出るものではありません。
だからこそ、校長には長い目で学校を見る力が求められます。
また、校長は「話す仕事」だと思われることがあります。
確かに、話す機会は多くあります。
始業式や終業式。
入学式や卒業式。
職員会議。
保護者会。
地域の会議。
学校の考えを言葉にして伝える場面は少なくありません。
しかし、実際には「聴く仕事」でもあります。
教職員の声を聴く。
子どもたちの様子を見る。
保護者の思いを受け止める。
地域の願いを知る。
教育委員会の方針を理解する。
その上で、学校としてどう進むのかを考える。
校長は、さまざまな声を受け止めながら、学校の方向を定めていく立場です。
校長の仕事で難しいのは、全員が納得する答えを出すことができない場面があることです。
ある人にとって良い判断が、別の人にとっては納得しにくい判断になることもあります。
教職員を守りたい。
でも、保護者の思いも受け止めなければならない。
学校の事情もある。
子どもの利益も考えなければならない。
そのような複数の視点の中で、最後は判断しなければなりません。
だから、校長は孤独に見えることがあります。
ただ、私は校長が一人で学校を背負うべきだとは思っていません。
教頭と相談する。
教職員の声を聴く。
教育委員会と連携する。
必要に応じて外部の力も借りる。
その上で、最後に責任を持って判断する。
それが校長の仕事なのだと思います。
管理職試験を受けようか迷っている先生には、ぜひ校長先生の仕事を少し違う目で見てほしいと思います。
校長室にいる時間。
職員会議での一言。
校内を歩いている姿。
教職員に掛ける言葉。
保護者や地域の方と話している様子。
その一つ一つに、学校をどう見ているかが表れています。
校長の仕事は、派手ではありません。
すぐに成果が見える仕事でもありません。
しかし、学校の空気や方向性に大きな影響を与える仕事です。
校長が何を大切にしているかは、少しずつ学校全体に伝わっていきます。
管理職を考えるとき、校長という仕事を「偉い人」「最終責任者」という言葉だけで捉えないでほしいと思います。
校長は、学校の未来を考え続ける人です。
子どもたちの姿を見て、教職員の姿を見て、地域の願いを受け止めながら、この学校をどこへ向かわせるのかを考え続ける人です。
その仕事を知った上で、自分はその立場に立ちたいのか。
あるいは、違う形で教育に関わり続けたいのか。
どちらの選択も尊いものです。
大切なのは、校長という仕事の現実を知った上で、自分の答えを出すことなのだと思います。