第5回 管理職は罰ゲームではありません

「管理職って、罰ゲームですよね。」
最近、この言葉を耳にする機会が本当に増えました。
SNSを見ても、そのような投稿を見掛けることがあります。
管理職試験を勧められた先生からも、
「管理職って大変なんでしょう。」
「なるものじゃない、と言われました。」
そんな話を聞くことがあります。
そのたびに私は思います。
管理職は、本当に「罰ゲーム」なのでしょうか。

確かに、大変な仕事です。
責任は重くなります。
保護者対応もあります。
教職員への対応もあります。
学校全体を見ながら判断しなければならない場面も増えます。
現在の制度や仕組みでは、残念ながら勤務時間だけでは終わらない仕事もあります。
教員だった頃とは、仕事の質が大きく変わります。
ですから、「大変ではない」と言うつもりはありません。
実際に管理職を経験した立場から見ても、大変な仕事であることは間違いありません。

ただ、「大変」ということと、「罰ゲーム」ということは、同じということではありません。
世の中には、大変だけれどやりがいのある仕事がたくさんあります。
医師もそうでしょう。
消防士もそうでしょう。
教師もそうです。
管理職も、その一つなのではないかと思っています。

私自身、管理職になってから、「今日は本当に疲れた」と思った日は何度もあります。
思うようにいかないこともありました。
判断に迷ったこともありました。
「これで良かったのだろうか。」
そう考えながら帰宅した日も、一度や二度ではありません。
(そんな日のほうが多いかもしれません)

一方で、管理職にならなければ経験できなかった喜びもありました。
若い先生が少しずつ自信を付けていく姿。
教職員同士が自然に助け合うようになっていく職員室。
学校全体が少しずつ良い方向へ変わっていく様子。
声の大きな教職員と対話できた瞬間。
そうした場面を見ることができたのは、管理職だったからこそでした。

教員だった頃は、子どもの成長が何よりの喜びでした。
管理職になると、それに加えて教職員の成長も喜びになります。
若い先生が保護者対応をやり切った日。
初めて学年主任を務めた先生が自信を持って話している姿。
研究授業を終えた先生の安堵した表情。
そんな姿を見るたびに、「この仕事には意味がある」と感じます。

もちろん、誰にでも管理職を勧めたいわけではありません。
向き・不向きもあります。
家庭の事情もあります。
人生には、それぞれ大切にしたいものがあります。
だから、「管理職になるべきです」と言うつもりはありません。

ただ、「罰ゲームだからやめておこう」という理由だけで判断するのは、少しもったいないと思うのです。
管理職の大変さだけが独り歩きし、その仕事のやりがいや魅力があまり語られていないように感じるからです。

もし、今、管理職試験を勧められて迷っているなら、一度だけ管理職の先生に聞いてみてください。
「管理職になって良かったことは何ですか。」
と。
きっと、大変だった話も聞けるでしょう。
でも、それ以上に、その先生だからこそ語れる喜びも聞けるはずです。

管理職という仕事は、決して楽な仕事ではありません。
だからといって、「罰ゲーム」という一言で片付けられるほど、薄い仕事でもありません。
私は、管理職になったからこそ見えた景色がありました。
その景色を知った上で、自分はどうするのか。
その答えを出すのは、誰でもない、あなた自身なのだと思います。

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