年度末、中学校で効果的・効率的に1年間の総復習をする方法

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1.一般的な総復習方法の課題

年度末や学期末、単元の総復習の方法については、例えば次のような方法があります。
 ・まとめプリントを短時間で説明 → 総括的テスト
 ・小単元毎の小テスト(やや簡単なもの) → 短時間で説明
しかしながら、この方法「だけ」だと、説明や演習中心の授業となり、よほど工夫しないと、授業が面白くなくなります。
学力に課題のある生徒にとっては、「できないこと」が多すぎてストレスにもなります。
塾でやっていたときもそうでした。
「全単元を終了した後のモチベーションの維持」が課題だったのです。
また、教科に関係がないレクリエーションを長時間するのも、何か後ろめたい気持ちがありました。

ここでは、「えっ、そんなこと?」と思われる方法かもしれませんが、「動画」も用いて復習する方法です。
「復習に動画も使う」と聞くと、悪いイメージを持つ先生もいらっしゃるかもしれません。
私も「理科で実験をすべき場面で、実験をせずに代わりに動画を見せること」は、大反対です。
この記事では、そういうことは考えていません。
単純に、既習事項について、然るべき動画を見せて復習する方法です。
私は、NHKforSchoolの「10minボックス」 を復習教材動画として使用しています。
塾講師を10年、中学校教師を17年やってきましたが、最高の復習教材の1つです。

2.NHKforSchool「10minボックス」 の配信内容

例えば、NHKforSchoolの「10minボックス 理科」 を検索してページを表示すると、次のような配信リスト(合計40本)が見られます。
それぞれ10分間のムービー(クリップ)になっています。

第1分野
(1年生の範囲)
第1回
光とレンズ
第2回

第3回
力のはたらき
第4回
圧力
第5回
物質の性質
第6回
気体の性質
第7回
状態変化
第8回
物質を分ける
(2年生の範囲)
第9回
静電気と電流・電圧
第10回
電流と磁界
第11回
電流とエネルギー
第12回
物質と原子・分子
第13回
化学変化
第14回
化学変化と質量
(3年生の範囲)
第15回
力と運動
第16回
力学的エネルギー
第17回
酸・アルカリとイオン
第18回
水溶液とイオン
第19回
エネルギーの変換
第20回
科学技術の発達

第2分野
(1年生の範囲)
第1回
植物のからだ
第2回
植物のなかま
第3回
火山活動
第4回
地震
第5回
地層
(2年生の範囲)
第6回
生物と細胞
第7回
心臓のつくりと血液
第8回
消化と吸収
第9回
動物の反応と行動
第10回
生物の進化
第11回
天気の変化
第12回
日本の気象
(3年生の範囲)
第13回
細胞分裂と成長
第14回
生殖
第15回
遺伝と遺伝子
第16回
日周運動と太陽
第17回
年周運動と太陽高度
第18回
月と惑星の満ち欠け
第19回
自然環境の保全
第20回
自然の恵みと災害

NHKforschool 理科10minボックスHPより

教科書の実験内容にも準拠しています。
私は全国の公立高校入試問題を全都道府県15年以上見てきました。
観察・実験に関する問題が増えています。
そのような問題にも十分対応しています。

課題のある生徒も集中して見ます。
時間も10分と、ちょうどいい長さです。

他の教科もあります。
理科と社会は特におすすめです。
復習教材ではありませんが、「道徳」「総合」「特別活動」などもあります。

3.動画による復習~授業での使用方法~

ポイントは教材の使用方法です。
「見せておしまい」では、効果も半減します。
私の方法は次の通りです。
(1)B5用紙(白紙)を配布する
(2)生徒への指示「分かったことを箇条書きにします」
(3)クリップ視聴
  ・できるだけ大画面
  ・いい音が出るように工夫(出力をコンポにするなど)
(4)回収して、高速で生徒の成果物を表示(名前を分からないようにして)
  ・生徒への指示「分かりやすいのはどれかを考えながらみます」
  ・高速で学級生徒人数分を見ることも、復習になる。
(5)生徒への指示「分かりやすく書いているものに挙手します」
  ・高速で再度表示しながら、「これ、これ、・・」と言って、挙手させる。
(6)ベスト3の作品を表示する
  ・生徒への指示「何が分かりやすいですか」(自由発言か挙手)
  ・場合によって、「これは○○さんの提出物でした。拍手!」
(7)指導書に付属している「評価問題プリント」をする
(8)テスト後、すぐに解答・解説を配布し、自分で丸つけ。
(9)解説を見て、分からない問題について、学び合い
(1)~(9)を超高速でやっていきます。
25分以内でできれば、50分の授業で2セットできます。
NHKforSchoolに限らず、動画の復習教材であれば、この方法は有効です。

4.続けているうちに起こる生徒の変化

最初は、白紙のプリントを書ける量が少ないですが、繰り返していくうちに、信じられないくらいの量を書けるようになります。
理科が苦手な生徒も、頑張って取り組みます。
認知特性が視覚優位の生徒は、特に集中します。
10分の視聴で、B5両面が文字で埋まる生徒も出てきます。
イラストや矢印、表などを使う生徒が出てきます。
教材提示装置で提示して、たくさん褒めてあげて、全体に共有していきます。
その後の単元テスト、総括テストも、それなりの点数を取ることができます。

先日の全府一斉のテストで、府平均との差が一番でした。
この方法でやっていることも、1つの要因だと思います。
授業内で十分な時間が取れない場合もあります。
そのような場合は、自宅等でインターネットで動画を見ることもできますので、生徒に伝えます。

5.動画を見せている間に私がやっていたこと

3月は、1年間の総決算の大切な時間です。
生徒とゆっくり話す時間ももちたいところです。
賛否両論あるところですが、私は教室の後ろに一人ひとりよんで、未来へ向けての話をします。
この時期の生徒はとても素直です。
4月のスタート時期と同様、特別な時間です。
「高校生(中3、中2)になったら何をしたい?」
「学年末テストどうやった?」
「(部活動の)試合どうやった?」
「次の学年で頑張りたい事ある?」
こんな質問を温かくできれば、本当に良い時間になります。

それもすべて終了したら、動画を見ている生徒を後ろから眺めながら、自身の1年間を振り返るのです。
振り返る方法については、
自分を振り返る時間がなければつらい体験も単なる徒労で終わる
中学校教師が年度末にする「今年度の振り返り」と「次年度の準備」
をご覧ください。

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