管理職になったら家庭との両立はできるのか|受ける前に確認したいこと

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「管理職試験を受けてみないか」と声をかけられたとき、仕事のやりがいより先に、家庭との両立が気になる先生は少なくありません。帰宅は何時になるのか。子どもの送迎や急な発熱に対応できるのか。介護や自分の通院を続けられるのか。こうした迷いは、覚悟が足りないから生まれるのではなく、生活を守りながら働こうとする自然な問いです。

「管理職になれば家庭を犠牲にする」「工夫すれば必ず両立できる」と一つの答えにまとめることはできません。役職、校種、学校規模、地域、管理職の配置、通勤時間、家庭の状況によって負担は大きく変わります。大切なのは、気合で乗り切れるかではなく、どの条件なら引き受けられるかを具体的に確かめることです。

1.肩書だけでは両立できるか判断できない

同じ「教頭」「副校長」「校長」でも、日々の動きは同じではありません。開錠や施錠、早朝・夜間の連絡、休日行事、事故や苦情への対応、教育委員会への報告など、学校ごとに負担の現れ方が違います。管理職が複数いるのか、事務職員や主幹教諭と役割を分けられるのかでも状況は変わります。

ですから、両立できるかを考えるときは、「管理職は忙しいらしい」という一般論だけで決めないことです。候補となる役職で、通常期と繁忙期の一日がどう進むのか、緊急時に誰が対応するのかを、信頼できる管理職や経験者に尋ねてみます。武勇伝ではなく、実際の勤務の流れと支援体制を聞くことが判断材料になります。

2.家庭で守りたいものを先に言葉にする

役職を受けてから「何とか調整しよう」と考えると、家庭の予定が仕事の空白へ押し込まれがちです。先に、守りたい条件を言葉にしておきます。

  • 子どもの送迎や学校行事を、誰がどこまで担うか
  • 急病や介護の連絡が来たとき、最初に動く人は誰か
  • 通院、睡眠、食事など健康維持に必要な時間は何か
  • 休日や夜のうち、家族と過ごすために残したい時間はどこか

すべてを今までどおり守れるとは限りません。しかし、譲れないものと調整できるものを分けておけば、役職を受けるかどうかだけでなく、異動希望や通勤、家事分担についても現実的に話せます。

3.受ける前に五つの条件を確認する

管理職を考え始めた段階で、少なくとも次の五点は確認しておきたいところです。

  1. 勤務の波――年間で遅くなりやすい時期や休日対応の頻度
  2. 緊急対応――事故、災害、保護者対応などの連絡体制
  3. 役割分担――校長、教頭、副校長、主幹、事務職員の分担
  4. 異動と通勤――異動範囲や通勤時間が家庭生活に与える影響
  5. 相談と代替――休む必要が生じたときに、誰へ相談し、誰が補うのか

制度があっても、実際に使える体制でなければ両立は難しくなります。一方で、業務を抱え込まず、優先順位を共有し、組織で対応する文化があれば、管理職だけにすべてが集中するのを防げます。文部科学省も、学校における働き方改革を、個人の工夫だけではなく、業務量管理や健康確保、学校・教育委員会による取組として位置づけています。

4.家族とは「賛成か反対か」だけを話さない

家族との相談を「管理職になってもいい?」で終えると、賛成した側も反対した側も、後から負担を抱えやすくなります。「平日の帰宅が遅くなる日はどうするか」「子どもの急病と学校の緊急対応が重なったらどうするか」「半年後に無理があれば何を見直すか」まで話しておくと、判断が生活に近づきます。

家庭の状況は変わります。今は難しくても数年後なら可能かもしれませんし、引き受けた後に立ち止まる必要が生じることもあります。一度の決断を、生涯変えられない約束にする必要はありません。

5.「今はならない」も、キャリアを捨てることではない

家庭との両立が難しいと判断して、今は受験しない、打診を断る、時期をずらすという選択もあります。それは責任から逃げることではありません。反対に、条件を確かめた上で挑戦することも、家庭を軽んじる選択ではありません。

管理職になるかどうかは、教師としての価値を測る試験ではありません。以前の記事「引き受けたい仕事に向き合う」で扱ったように、自分が引き受けたい仕事と、引き受けられる条件の両方を見ることが大切です。生活や健康を守る視点については、「教師が仕事だけで人生を埋め尽くさないために」も参考になります。

6.後悔しないための材料を集める

管理職を考えるとき、必要なのは「なるべき理由」だけではありません。役割の魅力、責任の重さ、家庭への影響、ならない人生も含めて比べる材料が必要です。

拙著『管理職への道を考え始めた先生へ』は、管理職になることを勧めるための本ではなく、自分にとって納得できる選択を考えるための材料をまとめたものです。迷いをすぐに消すのではなく、何を確認すればよいか整理したい方は、書籍紹介の記事をご覧ください。内容を確かめた上で検討したい方は、Amazonの商品ページでも詳細を確認できます。

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